企画展「砂展~日本の砂・海外の砂~」開催中!

現在、企画展「砂展~日本の砂・海外の砂~」を開催中です。

相模川の砂をはじめ、日本各地や海外の砂を展示しています。銀河連邦各共和国の砂も展示しています。鳥取砂丘や沖縄のサンゴ礁、サハラ砂漠や南極の砂などを展示しています。南極の砂はなかなか手に入れることができない珍しいものです。

詳しくはこちらをご覧下さい。


5月28日(日)には展示解説を行いました。意外と奥深い砂の世界に、ご興味を持っていただけたようです。

展示解説は、6月11日(日)6月25日(日)にも開催いたします。
また、6月18日(日)には砂を顕微鏡で観察するイベント「いろいろな砂を顕微鏡で見てみよう」を開催いたします。

砂は身近にあって、ごくありふれたものですが、じっくりと砂粒まで観察することはあまり無いと思います。場所によって砂は違います。これは地球環境の違いを反映しています。今回の展示をきっかけにして、砂や地球環境に興味を持っていただければと思います。

砂展は7月2日まで開催しています。皆様のご来場をお待ちしております。

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6月を待たずにほぼ終息 今年のキアシドクガ

博物館駐車場には今、無数のキアシドクガの亡骸が散乱しています。

地面に累々と横たわるキアシドクガの死骸

まだ飛んでいる成虫もいますが、ちらほらというところです。
昨年と比べると、成虫の発生量は何分の一かという少なさでした。幼虫(毛虫)は何倍もの量でしたが、やはり飽和量を大きく超えてしまっていたようです。成虫の乱舞は6月を待たずに終息したと言えます。過去の経過から推測すると、平成26年から急激に増大したキアシドクガの大発生自体も、今年がピークとなり、来年あたりでほぼ終息するものと考えられます。来年は他の昆虫や鳥による捕食圧も大きくなるので、少なくとも今年のような発生量には遠く及ばないはずです。
さて、食べられて丸坊主だったミズキはというと・・

休眠芽(きゅうみんが)から再生したミズキの新葉

しっかりと新しい葉を伸ばし始めています。相当ダメージはあり、体力を消耗していることは間違いありませんが、光合成によって栄養を自ら作り出すことができるのは植物の特権です。これから夏に向けて、どんどんと緑を濃くしていくことでしょう。

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カイコの授業始まる!

今年も博物館から蚕種(さんしゅ=カイコの卵)を提供する小学校へ向けた授業が始まりました。その1校目(5月30日)は上溝南小学校です。体育館で4年生の全クラスに集合してもらい、1時限の授業を行いました。

体育館での授業風景

とても集中して、熱心に話をきいてくれました。しかも、事前学習をしっかりやってくれていて、前もっていただいた質問にはかなり高度な内容も含まれていて驚きました。
各クラスに回して見てもらっているのは・・

興味津々で見つめているものは・・

博物館で一足早く飼育を始めたカイコ(3齢)です!

3齢のカイコ

これから全部で10校をまわって授業をする予定です。ペットの飼育と異なる、カイコを飼うという農作業の意義や、繭を作った段階でカイコの命を止めてしまうことがなぜ必要なのかといったことを理解していただくための授業です。カイコの到着を心待ちにしている児童のみなさんとお会いするのが楽しみです!

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軍都さがみはら探訪~矢部から淵野辺周辺をめぐる~を開催!

5月28日(日)に軍都さがみはら探訪~矢部から淵野辺周辺をめぐる~を開催しました。
今回紹介した軍都関係にかかわる施設は、相模陸軍造兵廠(現在の在日米陸軍相模総合補給廠)と旧陸軍兵器学校です。

相模陸軍造兵廠は昭和13年に開設した戦車、火砲の牽引車、砲弾等を製造したところで、東洋一の規模といわれ、当時2万人もの人が従事していました。残念ながら中には入れませんので、今回は矢部駅前周辺の造兵廠の碑や造兵廠内への線路の引込み線を見ました。
東洋一の規模とは言いますが、戦車の月産台数が20台にも満たなかったそうです。

造兵廠の戦車の月産台数は20台未満!

次に、旧陸軍兵器学校は昭和13年に東京小石川から移転してきた施設です。
今回は造兵廠との境となる西端側から北端側の弾薬庫跡、学校内にあった神社「細戈神社跡」、東門跡、正門跡、工科・兵器学校の碑を見学しました。今回は、旧陸軍兵器学校の敷地のほぼ全範囲を一周したことになります。

現在の大野北中学校の所に細戈神社がありました

昔の正門、本部棟付近にある「陸軍工科・兵器学校の碑」

その後、淵野辺駅から兵器学校正門に向うために造られた銀杏並木道を通り、淵野辺駅で一旦解散となりました。
ですが、今回はさらに希望者には、細戈神社が移転されている新田稲荷神社へもご案内しました。
ちなみに「細戈」(くわしほこ)とは、「精巧なる武器」という意味で、これは日本をあらわす別名に「細戈千足国」(くわしほこ ちたるくに=精巧な武器が十分ある国)に由来します。まさに兵器学校らしい神社名です。

細戈神社のある淵野辺新田の鎮守新田稲荷神社

現在の細戈神社・・・神社名の碑は昭和16年製

今は開発が進み、矢部~淵野辺周辺に戦時中のものはほとんど残っていませんが、今回ご案内してその当時を物語る痕跡はいくつも残っていることを知っていただくことができたと思います。

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生きものミニサロン キアシドクガの産卵シーンも!(写真あり)

今日(5月27日)は毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。
今回のテーマはずばり、キアシドクガ!数十年に1度あるかないかという大発生のタイミングで、この観察のチャンスを逃すわけにはいきません。

乱舞するキアシドクガ

せっかく手の届くようなところに飛んでいるので、何匹か捕まえて、手に取って見ていただきました。もちろん、毒の無いドクガのなかまであるということをみなさんに説明したうえでの観察です。

手にとってじっくり観察しました

みなさんの感想は・・「意外とかわいい!」
用意しておいたウスバシロチョウの標本と見比べて、キアシドクガには口にあたる口吻(こうふん)が無いことなども虫めがねで観察しました。キアシドクガは成虫になって1週間くらいしか生きられないという、はかない命にみなさん思いを馳せていました。
そして、こんなふうにミズキの幹にたくさんとまっているということは・・

ミズキの幹にとまるキアシドクガ

そうです、メスが産卵しているのです。

産卵中のメス

お好きでない方にはキツい画像かもしれません。こちらが卵です。完全にミズキの幹に同化した保護色です。

キアシドクガの卵

あまりの数の多さに驚かれるみなさん。

1本の幹に無数の卵がうみつけられています

でも、おそらく来年はキアシドクガの発生量が今年よりもぐっと減るはずです。自然界では、ある生きものが急に増えると、それを食べたり、寄生したりする生きものが後を追って増えるのが常です。そうして長い目で見ると平衡を保っていくのです。自然の摂理を目の当たりにできそうな来年以降も、キアシドクガから目が離せません。

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明日のミニサロンは ずばり!キアシドクガです

明日(5月27日)は毎月恒例の「生きものミニサロン」(原則として第4土曜日の12時から)を実施します。
このタイミングで、この生きものを扱わないわけにはいきません。テーマはずばり!毒を持たないドクガのなかま、キアシドクガです。

キアシドクガの成虫

今年の大発生は、幼虫の段階ではすさまじいほどの量でしたが、成虫となった現在、昨年よりも飛んでいる成虫の数が少ない状況です。今日(5月26日)は朝から雨のためさらに少なく、ほとんどが葉陰や草にとまってひっそりと翅(はね)を休めています。

草の芽生えにつかまって休むキアシドクガ

サクラの葉の裏は居心地がいいのか、とくにたくさんとまっています。

サクラの葉裏にとまるキアシドクガ

力尽きて地面に落ちているものも多く、短い一生のなれの果てを無残にさらしています。

力尽きて地面に落ちたキアシドクガ

それでも成虫になれれば良い方で、フェンスや木の枝についた蛹(さなぎ)を見ていると、茶色くなって死んでいるものが多く見られます。さらに毛虫から変態できずに干からびてしまっていたりして、食糧不足の結果が顕著に出ています。
明日のミニサロンでは、大発生のこうした現実の面も含めてキアシドクガをしっかりと観察しようと思います。

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春も終盤

昨日(5月24日)は、相模原植物調査会のみなさんと緑区の小倉山へ調査に行きました。この5年ほど、貴重な照葉樹林の調査に入っている場所です。そこで、何かのメッセージ!?という物体に遭遇しました・・

どんなメッセージが託されているのか!?

この物体、こんな怪しげな植物の葉の上にありました。

天に向かってまっすぐ伸びるつる

と・・じつはなにも怪しいこともなく、キジョランというつる植物を食べるチョウのアサギマダラの卵が正解です。
かなり急な斜面を登り下りしながらの調査でしたが・・

健脚揃いの植物調査会のメンバーですが、結構きつかったです

春の終わりを彩るオカタツナミソウや・・

涼しげな色合いのシソ科の植物です

今年はちょっと花期が遅めのジャケツイバラを堪能できる楽しさも味わいました。

強烈なトゲを持つつる植物のジャケツイバラ

そして調査を終えて下ってくると、出迎えてくれたのはモミジイチゴの果実!

モミジイチゴの果実

この地域を代表する木イチゴのなかまです。

甘さと酸味が絶妙のラズベリー(木イチゴ類の果実)です

疲れが吹き飛ぶ美味しさを味わうことができました。

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技術の共有

心なしか、キアシドクガの乱舞が日曜日よりも数が少ないように感じられます。風が強いだけなのかもしれませんが・・
やはり、幼虫の数が多すぎて自滅してしまった個体が多いのかどうか。まだ1週間くらいは推移を見守る必要がありそうです。
今日(5月23日)はキアシドクガから少し離れ、気分を変えて、駐車場をさささっと歩いていたハンサムなカナヘビの写真をアップします。

カナヘビ

この時期、草むらなどで頻繁に見られますが、館内にもよく入っていてしまい、受付業務の人たちを困らせています。
さて、カナヘビの写真を撮りつつ葉っぱ素材を調達に外へ出ていたのですが、そのわけは、こちらです。

シュロやシャガ、ススキの葉が材料です

葉っぱ工作のいくつかを、麻布大学の先生へ伝授させていただきました。緑区青根の里山を学生さんたちと共に元気にしようという活動をされている「あざおね社中」のワークショップで使いたいということで博物館を訪ねて来られたのです。
折り紙と違って、形がそれぞれ違う葉っぱを扱うのはちょっと難しく、悪戦苦闘されています。

手でおぼえるのが大切です!

それでも、いくつかの工作をマスターされていきました。明日、学生さんたちにも伝授するとのことです。
ちなみに、こちらの草ヘビは、複雑な工程のため、断念されました。

草ヘビは、難易度4(5段階)くらい?

博物館では今年も、雨の日の「生きものミニサロン」などで葉っぱ工作のワークショップを行っていきたいと考えています。

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キアシドクガの大乱舞とムクドリの楽園

真夏のような暑さで迎えた日曜日(5月21日)、キアシドクガの成虫が博物館の駐車場や、お隣の樹林地で大乱舞しています。

写真ではなかなか表現できませんが、ものすごい数がとんでいます

やはり、昨年と比べて成虫のサイズが全体的に小さく、フェンスなどについている蛹を見ても、かなりの比率で中で死んでいるものがいます。栄養不良は明らかですね。

昨年よりもサイズが小さな成虫

さて、駐車場の脇に1本のエゴノキがあります。キアシドクガの幼虫はエゴノキも食べると図鑑などに書かれていることがありますが、ここのエゴノキは少なくとも食べられていません。そのため今ちょうど、満開を迎えています。エゴノキに集まるキアシドクガを見ていると・・

それは違うよ!と言いたくなるくらいよく似ています

相手を間違えているようにも見えます。エゴノキの花は、ご丁寧におしべの葯(やく)が黄色いのでいっそう、キアシドクガに似ています。
キアシドクガの成虫は口が無く、何も食べません。飛び回っているのは、交尾の相手を探すためです。ただ、サクラなど食草とは無関係の木にも集まっていて、葉の裏にとまって休めればよいようなので、相手を間違えているのかどうか本当のところはわかりません。
さて、これだけいる昆虫を、鳥が見逃すはずはありません。ムクドリが力尽きて地上に落ちている成虫を次から次へと拾い上げ、口いっぱいにほおばっていました。

キアシドクガを口いっぱいにくわえたムクドリ

毛虫の時から食べまくっていたので、ムクドリにとって今の博物館駐車場は楽園です。日向で翼を広げて日向ぼっこなんぞしていました。

気持ちよさそうですが、寄生虫退治をしているところです

余裕しゃくしゃくですね。

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チョウと蛾(写真有)

連日、昆虫の話題となりお好きでない方には申し訳ないのですが・・
緑区のある場所で採られた(正確には荷物に紛れ込んでしまっていた)チョウ(蝶)が持ち込まれました。

ウツバシロチョウ 腹部の先に受胎嚢が付けられている

アゲハチョウのなかまのウスバシロチョウといいます。腹部の先に受胎嚢(じゅたいのう)があるので、メスということがわかります。受胎嚢とは、交尾をしたオスが、メスが他のオスと交尾できないようにつけるもので、ウスバシロチョウの場合はとても目立ちます。
ウスバシロチョウはその名のとおり、翅(はね)が半透明です。

名前のとおり、翅(はね)が透けています

顔をアップにすると、口吻(こうふん)がくるりと巻いています。

ストロー状の口吻(こうふん)

ところで、今博物館のまわりをたくさん飛び始めたキアシドクガの顔に、このような口吻はありません。

キアシドクガには口吻が無い

チョウや蛾のなかまは花の蜜や樹液などを、口吻を伸ばして吸うイメージがあります。しかしじつは、蛾のなかまの多くはこのように口吻を持ちません。つまり、成虫になると何も食べることなく、繁殖活動だけして1週間から10日くらいで衰弱して死んでしまうのです。
チョウと蛾は違うように見えて、じつは明確な区別点はありません。ワシとタカ、クジラとイルカなども、やはり分類学上の区別はなくて、だいたいのイメージで分かれているだけです。しかし、あえてチョウと蛾の違いをあげるとするなら、その一つがこの口吻です。チョウのほとんどに口吻があり、昼間、力強く飛び回って栄養をとりますが、蛾の多くには口吻が無く、弱々しく飛びまわるに過ぎません。ただしこれも例外がたくさんあって、明確な定義というわけではありません。

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