麻布大学いのちの博物館と連携に関する覚書を締結しました!

麻布大学と相模原市は平成26年に「麻布大学と相模原市との包括連携に関する協定書」を締結し、連携を深めているところですが、両者の有する博物館施設の展示・教育活動の更なる連携を進めるため「麻布大学いのちの博物館と相模原市立博物館との連携事業に係る覚書」を締結しました。

麻布大学いのちの博物館

5月11日、いのちの博物館の島津徳人館長が渡邉志寿代教育長を訪問されました。

懇談する島津館長(左)と渡邉教育長(右)

これまでにも、いのちの博物館への当館のミニ展示の巡回や、当館での学生による出張展示解説を行うなど連携してきましたが、今後はよりスムーズな情報交換と手続きにより、相互の特性を生かした事業展開を行っていく予定です。

覚書の締結を記念した講演会も企画しています。

麻布大学いのちの博物館×相模原市立博物館連携講演会
令和5年7月9日(日)午後2時~4時
相模原市立博物館 大会議室 定員200名(当日先着順)
講師 麻布大学いのちの博物館 島津徳人館長
相模原市立博物館    秋山幸也学芸員

内容など詳細は近日中に博物館ホームページなどでお知らせします。

ところでこの日の日没近く、東の空に大きな虹が出ました。

博物館屋上から撮影した虹(5月11日18時ころ)

まるで2つの博物館の架け橋を象徴するかのような風景でした。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: おしらせ, 今日の博物館 | タグ: , , | 麻布大学いのちの博物館と連携に関する覚書を締結しました! はコメントを受け付けていません

ナワシロイチゴ

博物館のまわりの樹林地やそのフェンス沿いで、ナワシロイチゴの花が咲きだしました。

ナワシロイチゴの花

遠目に見るとぼんやりした印象なのですが、近くで見るととても美しい花です。ノイチゴの仲間の花は白色が多いのですが、ナワシロイチゴは紅梅色と言えばよいでしょうか、なんとも繊細な色合いです。開いた花も良いのですが、閉じた花もまた美しい造形です。

花弁を閉じた状態のナワシロイチゴ

梅雨の頃に実って真っ赤な果実をつけます。ジャムなどに利用されますが、果実の粒が小さく、しかもアリなどがたくさんついていたりして、収穫するのは少々難儀なノイチゴです。
近くではガマズミも咲いていました。

ガマズミの花

林内で純白の花がボウッと灯(ともしび)のように浮き上がって見えました。この花もよく見ると雄しべがツンツンと飛び出していて、かわいらしい花です。

ガマズミの花

連休終盤の雨のせいか、植物が生き生きとしているように見えました。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | ナワシロイチゴ はコメントを受け付けていません

今日から愛鳥週間

毎年5月10日~16日の1週間は、愛鳥週間(バードウィーク)です。
戦後間もない1947年、アメリカ人鳥類学者のオリバー・L・オースチンの提唱により、4月10日をバードデーと定めました。しかしこの時期、北日本ではまだ積雪もあるという理由で、1950年からは1か月遅らせた5月10日~16日を愛鳥週間と定めました。以来、野鳥保護思想の普及に努めることを目的とした様々なイベントが行われてきました。
さて、このブログでも愛鳥週間にちなんで、相模原市の鳥であるヒバリを紹介します。

ヒバリ(オス)

ヒバリは畑地や河原、草原などを主な生息場所とする野鳥です。相模原台地はかつて広大な桑畑や畑、カヤ場(ススキ原)が広がっていたことから、この地域はヒバリの密度が非常に高かったと推測されます。市の鳥の選定理由は「元気良くさえずる声が躍進する市の姿を象徴している」(1974年)なので、生息環境や生息密度は理由に含まれていません。しかし、ヒバリの囀りがとても身近だったことは選定の背景にあったと思われます。

飛びながらさえずるヒバリのオス

せっかくなので、2006年~2007年にかけて相模原市と合併した旧津久井郡四町の鳥も紹介します。
旧城山町の鳥はメジロです。

メジロのつがい

旧津久井町の鳥はウグイスです。

ウグイス

旧相模湖町の鳥はオシドリです。

オシドリのメス(左)とオス(右)

旧藤野町の鳥はヤマセミです。

ヤマセミ(オス)

いずれも地域の環境に見合った鳥が選定されていました。
この時期は野鳥の繁殖活動が最も盛んな季節です。巣立ったヒナがおぼつかない足取り、危なっかしい飛び方でウロウロしていてハラハラしますが、近づかずにそっと見守ってください。
「ヒナを拾わないで」キャンペーンも実施中です。詳しくはこちらをご覧ください。
野鳥たちの生活を、一歩下がって、温かい目で見守る意識を高めるための愛鳥週間としたいですね。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | 今日から愛鳥週間 はコメントを受け付けていません

石の顕微鏡写真、専門雑誌の口絵を飾る!

現在、相模原市立博物館にて企画展「石のステンドグラス2〜偏光顕微鏡の世界〜」が開催されています。6月25日(日)までです。

このポスターとチラシに使った写真が専門雑誌「博物館研究」2023年第5号のカラー口絵ページに掲載されました。

「博物館研究」に掲載された写真

「博物館研究」はA4サイズの月刊誌で、美術館・博物館に関わる論文や全国の展覧会情報などが掲載されている専門的な雑誌です。カラー口絵ページには美術作品が掲載されることが多く、岩石の偏光顕微鏡写真が掲載されるのは初めてのことではないかと思われます。

「博物館研究」はインターネットでは公開されておりませんが、相模原市立博物館2階 市民研究室でご覧いただけます。

「博物館研究」に掲載された写真は企画展会場奥の「石のステンドグラスコーナ」に展示してあります。

他にも岩石の美しい偏光顕微鏡写真が展示してありますので、ぜひご来館いただき、一味違った岩石の世界をお楽しみ下さい。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | 石の顕微鏡写真、専門雑誌の口絵を飾る! はコメントを受け付けていません

フデリンドウのその後

4月初旬から中旬にかけて博物館周辺で花を楽しませてくれたフデリンドウも、花期が終わり、周りの植物の背が高くなってすっかり埋もれてしまいました。今、どうなっているのでしょうか。
注意深く探さないと見つからないのですが、このような姿です。

現在のフデリンドウ 若い果実がふくらみつつあります

フデリンドウは越年草(えつねんそう)で、春の終わりに結実して株の周辺に種子が散ると、あっさりと枯れてしまいます。ほかの植物の成長が旺盛な夏は種子のまま休眠し、秋の終わりに芽生えます。

フデリンドウの芽生え 真冬の1月に撮影したもの

小さな芽生えのまま冬を越し、早春に花径が伸びて花を咲かせます。一生のサイクルとしては一年草ですが、秋に芽生えて年を越すこのような草花を、越年草と呼びます。

フデリンドウの花 2023年4月撮影

フデリンドウの種子が実る様子もなかなか面白いので、今月末頃、このブログでそんな姿もお伝えできればと思います。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | フデリンドウのその後 はコメントを受け付けていません

ヤマトシロアリの飛び立ち

5月4日、博物館お隣の樹林地を歩いていると、朽ちかけた木柵の表面が動いているように見えました。近づいて見ると、ヤマトシロアリの有翅虫(ゆうしちゅう)がうごめいているのでした。

木柵の上にたまるヤマトシロアリ

シロアリと言うと家屋害虫(主にイエシロアリ)ですが、ヤマトシロアリは野外で普通に見られるシロアリで、湿った場所の朽ち木をすみかにしています。乾いた木柵から出てくるのはちょっと意外でしたが、有翅虫が飛び立つところはタイミングが良くないと見る事ができないため、動画も撮影してみました。

家屋内では害虫のシロアリですが、自然の中では枯れ木を効率よく分解させるための前処理(ボロボロに崩す)をするため、生態系の中で重要な役割を担っています。
春が進み、生きものの動きが活発になっています。近くの地面では、ムクドリが一心不乱に何かをついばんでいます。

オオヒラタシデムシを捕まえたムクドリ

オオヒラタシデムシを捕まえたようです。おそらくオオヒラタシデムシは抵抗して強烈な臭いを出しているはずですが、ムクドリはお構いなしです。さらに、別のムクドリが草むらへ首を突っ込んだかと思うと、ニホンカナヘビをつまみ出しました。

カナヘビを捕まえたムクドリ

尾を自切して抵抗したものの、ムクドリには通用しなかったようです。
食べる-食べられるの関係は生態系の重要な要素ですが、生々しいシーンを目にすることが多い季節になりました。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , | ヤマトシロアリの飛び立ち はコメントを受け付けていません

賑やかな春の河原

市内緑区の相模川の河川敷は、春真っ盛りです。早春から繁殖期が始まるエナガは、すでに巣立ち雛が元気に飛び回っています。

エナガの巣立ち雛

一方、親鳥はこちらです。1回の繁殖で10羽前後のヒナを育てるため、ちょっとやつれ気味ですね。

エナガの親鳥

湧水が染み出た場所の近くでは地面にモンキアゲハが集っていました。

吸水中のモンキアゲハ

関東地方では最大級のチョウです。もともと南方系の種で西日本に分布していましたが、近年は東北まで分布を広げています。

飛び交うモンキアゲハ

今年は春の花の多くが早めに開花していて、例年、連休後に咲き始めるジャケツイバラがもう咲いていました。

ジャケツイバラの花

新緑も日に日に濃くなって、河原は春から初夏の様相へと変化しています。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | 賑やかな春の河原 はコメントを受け付けていません

さがみんクイズにチャレンジしよう!

相模原市立博物館の自然・歴史展示室と天文展示室内に設置している「さがみんクイズ」が、このたび約3年ぶりにリニューアルしました!

自然・歴史展示室の入口には、さがみんクイズのサインパネルが!

さがみんクイズとは、相模原市マスコットキャラクター“さがみん”が館内の常設展示にちなんだクイズを出題してくれるもので、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」が企画・制作しました。

正解は…めくって答え合わせ

クイズは当館の常設展示を構成する各分野のコーナーから出題されています。さがみんがどこにいるか探しながら、展示をヒントにクイズに挑戦してみてください!

クイズと答えはどこにあるか、探してみてくださいね!

また、今年のゴールデンウィークは市民学芸員による「五月人形展示」を開催しています。5月5日(金・祝)には、お子様限定関連イベントとして、折り紙の独楽(コマ)のプレゼントやこどもの日にちなんだ格好で写真撮影できるフォトスポットを用意します。
市民学芸員の新作さがみんクイズと合わせて、ぜひお楽しみいただければと思います。

(歴史担当職員)

カテゴリー: おしらせ, 天文, 市民学芸員, 生きもの・地形・地質, 考古・歴史・民俗 | タグ: , , , | さがみんクイズにチャレンジしよう! はコメントを受け付けていません

ギンラン開花

博物館の前庭で、ギンランが開花しています。

ギンラン

野生ランの中では比較的普通に見られる種類ですが、それでもやはり盗掘に遭いやすく、また、環境の変化に敏感なため、市内の緑地でも分布は局地的です。
背丈は10~20センチメートルほどと小さく、よく目を凝らさないと見つかりません。それでも、まぎれもなくランの仲間だけあって、立体的でとても美しい花です。

ギンラン ランの花らしく、立体的で複雑な形の花

今年は春の花の開花が軒並み早いのですが、ギンランは例年どおりの開花でした。連休いっぱいくらい、清楚な花を楽しめそうです。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: | ギンラン開花 はコメントを受け付けていません

枯損木の見分け方の講習を行いました

4月16日に市内緑区のキャンプ場で起きた大変痛ましい事故を受け、4月26日、市観光・シティプロモーション課主催で枯損木(こそんぼく)を見分け方を学ぶ講座を実施しました。講師として当館生物担当学芸員が出向き、座学と野外講習を担当しました。会場には市内のキャンプ場関係者など約20名のみなさんが集まりました。

青野原野呂ロッジキャンプ場のご協力を得て実施しました 報道各社も取材に来ています

樹木が生きたまま倒れるのは、災害レベルの強風や地滑り、土石流、落雷など外から大きな力が加わった場合です。つまり、周りの木が倒れていないのに、ある木が突然倒れるとしたら、それは枯死していたからです。今回は、そうした枯死に至る主な原因やその過程について見方を紹介しました。

樹皮がささくれたりめくれたミズキの枯死木

周りが青々した葉が伸びているのに、枝に葉が無い枯死木(ミズキ)

木が枯死に至る場合、多くは枝葉末節から枯れていきます。周りが青々した葉をつけているのに、葉のついていない枝が目立つとしたら、その木はかなり不健康な状態になっています。そうした木がいずれ全体的に枯れて倒れる可能性がある様子を、雨が弱まった野外でも見ていただきました。

野外で講習

現場でも、枯死して中折れした木がありました(野外講習の会場は閉鎖中の野外活動施設です) つる植物が異様に巻き付いているのも枯死の前兆です

野外活動におけるリスクマネジメントの基本は、危険の予測と把握、回避です。しかし、これをバランスよく行わないと、究極的に危険を回避するためには「野外活動を行わない」という逆説に行きついてしまいます。博物館でも様々な野外活動を行います。危険の可能性をどこまで把握して受け入れた上で野外活動を行うかを考えるきっかけにもなりました。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | 枯損木の見分け方の講習を行いました はコメントを受け付けていません