3月2日の夕方の空をお見逃しなく!~令和4年度研究機関等公開講座JAXAコース開催しました~

2月25日、生涯学習センターと博物館の共催で「研究機関等公開講座」JAXAコースを開催しました。昨年度から試行的に、プラネタリウムでの全天周映画観覧後に講演、という趣向にしています。今年度は、「はじめての宇宙科学」と銘打ち、小さなお子様から大人まで、みなさんが楽しめるような内容で企画しました。おかげさまでたくさんの方にご参加いただきました。参加者のみなさん、講師の大川先生、ありがとうございました。

はじめての宇宙科学 ポスター

当日の講演は、講師の大川先生も一緒に観覧した全天周映画「ノーマン・ザ・スノーマン~流れ星のふる夜に~」にちなみ、まずは流星群のお話から始まりました。大川先生が撮影した数々の流星の写真を披露いただきました。とっても素敵でしたね☆

そのあとは地球の話から、太陽系、銀河系、そしてブラックホールの話などなど。楽しい質疑応答もたっぷり。そして、最近の夜空のお話・・・それがタイトルの「3月2日の夕方の空をお見逃しなく!」です。

当日のお話から、この天体ショーのお話をみなさまにおすそ分けしますね!

みなさん、最近の夕方の空、お気づきでしたか?日によっては、月と木星と金星が一緒に輝いているのを見ることができました。あの明るい星は何だろう?と気になっていた人もいるのでは?

これは2月21日に、とある職員の自宅から撮影したもの。

神奈川県内で撮影

(解説入り)

そしてこちらが2月26日に、博物館の駐車場から撮影したもの。(だいぶ拡大しないと見えないかも・・・)

博物館駐車場で撮影

(解説入り)

3月2日にはこの金星と木星が大接近するそうです。どうぞお見逃しなく!

この二つの惑星がどのくらい近づいて見えるのか、国立天文台のこちらのページに詳しい解説があるのでご覧ください。

 

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「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」番外編 視線を下げると・・・

現在開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」。県内を中心とした優品が多く、時々展示品を眺めています。

今回は、考古担当学芸員から考古資料を面白く見るコツを紹介します。
キーワードは「視線を下げると・・・」

勝坂式の土偶 吊り目がユーモラスです。

こちらは土偶のコーナーの一角です。

 

穴が見えます。

写真ではやや見えにくいですが、中央の土偶には穴があります。これは土偶を作る時におそらく木製の芯棒があり、土偶を焼いたときに燃え尽きて穴として残ったものです。

続いては、こちら。

台形土器と粘土塊

中期の土器の近くにあり、注目は右端の「粘土塊」。土器の材料である粘土を縄文人が握ったものです。

指の跡!

指のあとが3か所ほど確認できます。握るとなると親指かもしれません。どんな気持ちでニギニギしたのでしょうか??

最後はこちら。綾瀬市上土棚南遺跡から出土した土器と磨製石斧です。(綾瀬市教育委員会所蔵)
縄文時代後期のもので、この資料は、磨製石斧を納めた土器が地面に埋められていたものです。展示では発掘調査現場の写真も掲示されています。

土器の中に磨製石斧7本が納められていました。

磨製石斧を横から眺めます。

横から見ると凹凸がなく、滑らかであることがわかります。

刃先をみると・・・

次は刃先をみてみます。刃先が横一直線になっており、かつ光沢があります。
これは縄文人が丁寧に研磨して先鋭な刃先に仕上げた結果です。

土器も視線を下げてみてみましょう。

縄文が施文されています。

土器の上部が失われており、人為的に土器を打ち欠いてサイズを調整したものと推測でき、磨製石斧を埋めるための縄文人の工夫がみられます。

いかがでしょうか。いろいろな視線からモノをみることは意外と発見があり、大変面白く感じます。ちなみに展示室で視線を下して見学されている方をみると、こちらも「おおっ」と思っています。

今回の展示は3月5日(日)までです。まだご来館いただいていない方はぜひお越しください。3月4日(土)には展示解説があり、担当学芸員が見どころを紹介します。

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生きものミニサロン「スギ花粉の正体を見てやろう!」を実施しました

2月25日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは、2月恒例のスギ花粉の観察です。
花粉症の代表的な原因物質であるスギ花粉ですが、煙のように舞っているのを見たことはあっても、実際どんな形なのか見たことの無い人も多いようです。そこで、博物館の公用車の上に降り積もった花粉を自分で採集し、それを顕微鏡で観察してもらいます。
スギの花粉は小さくて見るのが難しいため、練習がわりに前庭で咲いているウグイスカグラの花粉も観察することにしました。

ウグイスカグラの花

顕微鏡観察も野外で行います。プレパラート(顕微鏡観察できる状態にした試料)の作り方と、顕微鏡の使いかたを説明します。

顕微鏡の使い方を説明

ウグイスカグラの花粉を落としたスライドグラスへ、慎重に水滴を落とします。

水滴は1滴で!

ウグイスカグラの花粉は大きくて、すぐに見つかりました!角度によって五角形にも見える、不思議な形です。

ウグイスカグラの花粉の写真(60倍で撮影したものを切り抜き)

そしていよいよ、スギ花粉の採集です。絵筆を使って掃き集めます。

公用車のフロントガラスから採集します

ピント合わせなどに苦労しながら花粉を探します。

ウグイスカグラよりも花粉がだいぶ小さいので、探すのに苦労します

それでもみなさん、次々に見つけてくれました。そして、倍率を上げると、スギ花粉の特徴的な形も見ることができました。

見えるかな?

スギの花粉は、まん丸くて突起が一つあるのが特徴です。

スギ花粉(博物館の室内で撮影したもの:600倍)

昨年は、スギ花粉の飛散量が少なくて採集できなかったため、標本から採った花粉を見ていただくことになってしまいました。しかし今年はたくさん飛んでいるためか(それはそれで困ったことですが)、全員が採集、観察できました。
参加された方にうかがってみると、大人のほぼ全員が花粉アレルギーをお持ちでした。“敵”を知るのも必要と、みなさんしっかり観察していました。
次回は3月25日(土)12時からです。

 

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いよいよ明日2/26は・・・「一日限りのあかつきトークライブ!」当日の配信は・・・

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先日思わせぶりに予告したもの、実はこれだったのです!

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、中村先生、今年度末でご勇退とのことで、実は博物館の大会議室で、JAXAのあかつきチームのリーダーとして登壇いただけるのはこれが最後のチャンスなのです!

@JAXA


あかつきトークライブに何度もご参加いただいている方にも、そして今まで参加の機会がなかった方にもぜひぜひ聴いていただきたい講演です。

配信につきましても、たくさんのリクエストもいただいているところです。機材などの関係もあり、当日の生配信は予定しておりませんが、講演部分については後日、アーカイブを博物館公式YouTubeチャンネルで公開の予定ですので、当日参加できない方(そしてもう一度お話しを聴きたい方)も、どうぞお楽しみに。

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相模川で探鳥会、第二弾!

2月23日、エコパークさがみはらが主催する相模原市自然環境観察員制度のイベントとして行われた相模川(南区新戸~下溝)の野鳥観察会(探鳥会)のお手伝いをしてきました。1月9日にも実施しているので、第二弾となります。
朝は少し曇っていましたが、集合場所のJR相模線相武台下駅を出て、相模川へ差し掛かる頃には薄日が射し、川に入って間もなく雲が消えていき、気持ちの良い晴天となりました。

気持ちの良い晴天になりました!

河原はすでに春を迎えていて、カワヅザクラがあちらこちらで満開、そこにメジロが蜜を吸いにやってきていました。

カワヅザクラの花の蜜を吸うメジロ

磯部頭首工(いそべとうしゅこう:頭首工は、農業用の取水堰)では、カワアイサのオスとメスがいました。すでにペアになっているのか、ずっと一緒に行動していました。

カワアイサのオス(左)とメス(右)

ペアと言えば、モズも、オスとメスが一緒にいました。ついこの間まで、ギチギチと鳴きながら縄張り争いをしていたのですが・・、モズの繁殖期は早く、そろそろ抱卵に入るころです。

モズのメス(左)とオス(右)

上空を飛ぶミサゴも観察できました。

ミサゴ

ちょうどお昼に、終点の「三段の滝展望広場」に到着。確認した鳥の種類を数えたら、37種となりました。半日でこれだけ観察できるとは、さすが、相模川です。
自然環境観察員制度では、こうした観察会や調査を定期的に行っています。ご興味のある方は、エコパークさがみはらへぜひお問合わせください。

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博物館収蔵資料紹介~信仰や祭りの資料

前回(https://www.sagami-portal.com/city/scmblog/archives/31363)に引き続き、さまざまな信仰に関する資料を紹介します。

お稲荷さんをまつる稲荷講は、市内でも盛んに行われていたことを紹介しました。最初の写真は、稲荷講の際に飾った幟(のぼり)です。稲荷講では、2月の初めての午(うま)の日である初午の日に仲間が宿(やど)に集まって講(こう)を行う一方で、こうした幟を2月1日に宿になった家の庭に立てました。

ここには文政10年(1827)と書かれた幟があり、写真の幟は新しく見えますが以前からあった幟を年代などそのまま新調したものです。寄贈当時(昭和60年[1985])の稲荷講には新しい幟を使い、博物館に古い幟が寄贈されました(収集地・南区当麻)。

 

神社や寺院からはさまざまなお札が出され、ご利益があるようにいろいろなところに飾ります。次の写真は、栃木県の古峯(ふるみね)神社のもので、中央区田名の久所(ぐぞ)集落では講を作って火災除けとして信仰し、枝の先にお札をはさんで、火を使う場所に刺しておきました。                   

 

次の写真の左側には、神棚などにお神酒(みき)を供える徳利(とっくり)が写っており、徳利の口には、細かく割った竹をきれいに編んだ神酒の口(みきのくち)と呼ばれるお飾りが差してあります(徳利、神酒の口ともに収集地・南区磯部)。

そして、神酒の口は形によって名称が付けられていて、真ん中が橘(たちばな)、右側が一つ玉(ひとつだま)です。神酒の口はお飾りとして正月前に購入しました。                  

南区新磯地区には神酒の口を作って売る人たちがいて、前の写真の橘や一つ玉は、昭和60年(1985)に南区新戸(しんど)にお住まいだった、地域で神酒の口を作ることができる最後の方に製作をお願いしたものです。写真はその時の様子です。                  

 

中央区田名八幡宮で1月6日に行われる的祭(まとまち)は、地域の四名の子どもたちが順番に大きな的に向かって弓で矢を射て、その当たった結果で新年を占う行事として有名です。                  

博物館では昭和50年(1975)に寄贈された弓矢を保管しており、田名の的祭は相模原市を代表する行事として、市の無形民俗文化財に指定されています。                    

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2月22日、猫の日に

本日、2月22日はにゃんにゃんにゃん!で猫の日です(=^・^=)
ということで、目つきのよろしい、相模川の河原で見かけた猫(ノネコ)の写真です。

相模川のノネコ

相模川のノネコ

博物館周辺の樹林地内にもノネコが3頭います。野性味があり、人が近づくとすぐに警戒して逃げます。ただ、こうして人になついていないということは、食べ物を人間に頼っておらず、自然界で食料を調達しているということになります。犠牲になっている野生の鳥獣や小動物がいるわけで、生態系保全の観点からは問題です。野外に自由に暮らす猫がいる風景は微笑ましく感じるかもしれませんが、それはあくまでも外来種です。決して望ましい状態ではないことも認識する必要がありますね。
そんな問題提起だけでは味気ないので、猫にまつわる植物について紹介します。身近な雑草の一つ、エノコログサ(別名ねこじゃらし)です。

エノコログサ

実際にこの穂をネコの前で揺らすと、見事にじゃれてくれます。実は、野外で見られるエノコログサには2種類あります。上の写真と下の写真はいずれもエノコログサです。

エノコログサ

こちらは、見た目はそっくりなのですが、アキノエノコログサです。

アキノエノコログサ

その名のとおり、エノコログサが春から穂をつけるのに対して、アキノエノコログサは夏から秋にかけて穂をつけます。穂のつぶつぶの一つを小穂(しょうすい)と呼びますが、この部分が少し大きく、形もちょっと違うのですが、あまりにもマニアックなのでここではスルーします。
こちらは、小穂や、そこから伸びる芒(のぎ:細い針のような毛)が紫色に染まるムラサキエノコロです。河原や乾いた草地などにあります。

ムラサキエノコロ

こちらはキンエノコロです。芒が金色に輝き、とても美しい植物です。

キンエノコロ

そして、エノコログサと言えば忘れてならないのが、五穀にも含まれるアワ(粟)です。アワは古くから利用されてきましたが、その原種はエノコログサと推定されています。

アワ(乾燥標本)

エノコログサの仲間はイネ科で、いずれも花弁(かべん:花びら)がありません。でも、なんとなくかわいらしくて、見つけるとつい触ってしまいます。ススキと並んで、古くから愛されてきたイネ科の雑草と言えるでしょう。

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ミニ解説② 家康の祖先と期間限定「どうする家康」等身大パネル展

相模原市立博物館では、2023年NHK大河ドラマ「どうする家康」の放送開始にちなみ、1月7日(土)からミニ展示「相模原にもあった!?徳川家康ゆかりの地」を開催しています。
このミニ展示では、ドラマの主役である徳川家康やその祖先、重臣(おもだった有力な家臣)にまつわる身近な伝承地について、相模原市内を中心にパネルや写真で紹介しています。

そして現在、1階エントランスの正面玄関入ってすぐの場所で、NHKとの共催により本家大河ドラマ「どうする家康」出演者の等身大パネルを設置しています
当館にやってきたのは、織田信長(岡田准一さん)、お市(北川景子さん)、徳川家康(松本潤さん)、瀬名(有村架純さん)、大久保忠世(小手伸也さん)、豊臣秀吉(ムロツヨシさん)の6名の等身大パネルです。2月26日(日)までの限定となりますので、ぜひこの期間にお越しください!

そうそうたる顔ぶれ!期間限定のため、お早めにお越しください!

さて、ここからは前回に続き、ミニ展示に収まりきらなかった「ゆかりの地」の魅力や、展示の裏話などをお伝えしたいと思います。
ミニ展示「相模原にもあった!?徳川家康ゆかりの地」は3つのテーマで成り立っているのですが、その一つが以前ブログのミニ解説で取り上げた家康の「霊柩遷座(れいきゅうせんざ)」です。
今回、このブログでは二つめのテーマである「家康の祖先」について紹介します。

家康は生来「徳川」姓だったのではなく、元々は「松平(まつだいら)」という氏を名乗っていました。
改姓の3年前にあたる1563(永禄6)年、本拠・三河国岡崎(愛知県岡崎市)周辺に勃発した「三河一向一揆」をその翌年に鎮圧したのち、同年中にほぼ三河一国を統一した家康は、当時盛んに勢力を拡大していました。そして、1566(永禄9)年に朝廷の許可を得て改姓し、従五位下(じゅごいのげ)三河守(みかわのかみ)に叙任されることで、名実ともに戦国大名となったのです。

それでは、家康が当初名乗っていた松平氏の祖はどのような人物であったのでしょうか。そのゆかりの地が、当麻山無量光寺(南区当麻)の境内にあるお髪塚と言われています。
このお髪塚は、家康の祖先で10代前の世良田有親(せらた ありちか)と、9代前の松平親氏(まつだいら ちかうじ)父子が帰依(きえ)した際に落とした髪を埋めたことに由来します。両名は南北朝の戦乱に敗れて足利氏に追われる中で当麻山無量光寺に来山し、八代他阿(たあ)良光に帰依して時僧となったと伝えられています。子の親氏はその後、諸国を巡り歩いて三河国松平郷(愛知県豊橋市)にたどり着き、還俗(げんぞく)して家康の祖先となりました。

展示している写真のお髪塚はちょうど紅葉の見頃でしたが、市指定史跡でもある無量光寺の境内は、訪れる時期により四季折々の美しい景色を見られることが魅力のひとつです。
また、当館の自然・歴史展示室内にある仏教遺産コーナーには、お髪塚の五輪塔の原寸大複製が展示されていますので、ミニ展示と合わせてご覧いただければと思います。

紅葉の絨毯が美しい無量光寺のお髪塚

松平家ゆかりの地として、ミニ展示では愛知県岡崎市の大樹寺を紹介しています。
大樹寺は松平家・徳川将軍家の菩提寺で、「どうする家康」第2話の舞台としても描かれた場所です。十三代登誉(とうよ)上人に説かれた「厭離穢土(おんりえど)欣求浄圡(ごんぐじょうど)」(苦悩の多い穢(けが)れたこの世を厭(いと)い離れたいと願い、心から欣(よろこ)んで平和な極楽浄土を求め願うことの意。)の言葉は大樹寺本堂内陣に刻まれており、家康終生の座右の銘として旗印にもなりました。
実はこのミニ展示で紹介している「ゆかりの地」は、全て担当職員が実際に訪問した場所を写真に収めてパネルにしており、大樹寺も昨夏訪問した際に撮影した写真をお寺の許可を得て展示しています。岡崎市内では訪れた先々で「厭離穢土欣求浄圡」を目にする機会があり、現代でも大切にされている言葉であることを実感しました。

今回の絵葉書は愛らしい眠り猫や素朴な町並みが中心です。

前回のブログでお知らせしたとおり、津久井郷土資料室旧蔵資料の絵葉書は2月5日(日)から内容が替わっています。今回の第2弾では、小田原や府中、三島の市街地の絵柄や、かわいらしいカラーの眠り猫など9枚を展示しています。
こちらは3月上旬頃に入れ替えを予定していますので、2月26日(日)までの期間限定等身大パネル展と一緒に、お見逃しなくご覧ください。

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「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」展示品紹介その3

現在、開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」で展示中の資料を紹介します。

今回は町田市「なすな原遺跡」の出土品を紹介します。展示では、神奈川県周辺の良好な資料として同遺跡の晩期の土器、石器を展示しています。いずれも町田市教育委員会所蔵です。

晩期の土器 高さ29㎝

晩期の土器 高さ31㎝

晩期の土器。4つの突起が印象的です。高さ:21㎝

晩期の土器は中期の勝坂式土器のように粘土紐を多用した立体的な文様や、あふれる躍動感はないものの、沈線や細かな縄文が施文されており、どことなく静的な印象を受けます。いずれの土器もどの部分に縄文があるのか、探してみるのも面白いかもしれません。

矢尻などの石器。右下は信州産の黒曜石を用いています。

縄文時代後~晩期になると矢尻が多く出土します。写真右の2点は異形石器と呼ばれるもので、祭祀に用いられたと推測されます。どちらも押圧剥離で丁寧に作られています。

押圧剥離のやり方。鹿角を使った復元です。

 

耳飾り(いずれも複製)

こちらの写真は土製耳飾りです。単なる棒状ではなく、精緻な彫り込みがみられます。
後期の終わりごろから晩期にかけて耳飾りを中心に、装身具が多く使用されるようになります。

縄文時代が終わりに近づく晩期は今からおよそ3200~2400年前であり、遺跡数も中期と比較するとかなり減少していた時期になります。本展示は晩期を生きた人々の痕跡を土器、石器などから知る良い機会です。じっくりご覧ください。

本展示は3月5日(日)まで開催しています。また、3月4日(土)には展示解説がありますので、ぜひご参加ください。

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鶯色の真実

みなさんは鶯色(うぐいすいろ)と聞いて、どんな色を想像しますか?
下の二つの色見本のうち、どちらが鶯色でしょうか。

鶯色とはどちら?

現在は、鶯色というと右の色を指す人が多いようです。
しかし、鶯色は、左の色です。右は、萌黄色(もえぎいろ)で、どちらも日本の伝統色と言われ、言葉としても古くから布地の染色などに使われてきました。
実際、ウグイスは下の写真のような色合いです。

ウグイス

さえずりの美しさに比べてずいぶんと地味に見えますし、滅多に明るい場所に出てこないため、ウグイスの声は知っているけど見たことはない、という人が多いと思われます。
そして、鶯色の誤解を決定づけたのは、花札でしょうか。「梅に鶯」という札に描かれた鳥の色合いが、萌黄色や浅緑色(あさみどりいろ)などに近いものでした。お似合いの組み合わせで粋(いき)を表現したものと思われますが、実際に梅の花が咲くころによく梅の木にとまるのは、メジロです。

梅の花の蜜を吸うメジロ

つまり、メジロの色合いが札に描かれたことで、それが鶯色と混同されてしまったようです。ウグイスは薮の中が好きなので、梅の花の咲く枝にとまることはめったにありません。
他にも、和菓子でうぐいす餡(あん)やうぐいす餅などというと、たいていは黄緑色に近い色です。間違いというよりは、意図的に食欲をそそる色合いを出しているのかもしれません。
ちなみに、現在放送されているNHKテレビの「テレビ体操」という番組のタイトルバックにも、梅の花と小鳥が登場します。そこにはしっかりとメジロと識別できるイラストが描かれていました。

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