生きものミニサロン ウェブ版「家のまわりで真夏の夜の自然観察」を公開しました!

相模原市立博物館は8月6日から緊急事態宣言中の臨時休館となっています。
毎月恒例の生きものミニサロンも8月は中止となってしまったため、ウェブ版として「家のまわりで真夏の夜の自然観察」をYouTubeの相模原市立博物館チャンネル内に公開しました。リンクはこちらです。

タイトル画像

撮影は8月5日、アブラゼミの羽化の様子などを撮影しました。

生物担当の学芸員が解説をしています

約45分かけて羽化した様子を、7分余りの動画にまとめ、さらに夜に咲くカラスウリの花や、樹液レストランに集まる昆虫の様子なども加え、合計で9分弱の動画です。

ノコギリクワガタも登場!

夜の自然観察のポイントなども紹介しています。ぜひご覧ください!

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真夏に咲く花

8月6日、市内緑区の沢沿いで植物調査を行いました。例年、この時期は博物館も繁忙期で行事や実習対応など盛りだくさんなため、あまり野外調査に出られません。しかし、今年は緊急事態宣言発令に伴い8月6日から臨時休館となったため、調査に出ることにしました。
目的はこちらの植物、オオヒナノウスツボ(ゴマノハグサ科)です。

オオヒナノウスツボ

花が1センチメートルに満たないくらい小さいのですが、アップにすると・・

オオヒナノウスツボの花のアップ

ゴマノハグサの仲間らしく、かわいらしい花です。このあたりの沢は細かく崩れやすく、いわゆる“ガレた”場所が多いのが特徴です。そうした場所に多いヘビがマムシです。この日もひっそり沢の影に隠れていました。

マムシ 落枝の下に隠れていたのですが、そっとどけて写真を撮らせてもらいました

林道の水たまりでは、カラスアゲハが吸水していました。

カラスアゲハ 少々ピンボケです

こちらの接近に驚いて飛び立ち、近くの木にとまりました。

青色光沢が美しいチョウです

沢を吹き下りてくる風は涼しく気持ち良かったのですが、それでも猛暑に変わりありません。日なたや、無風時の暑さは尋常ではありませんでした。お昼で調査を切り上げたものの、たくさんの汗をかいたので、たくさんの水分を取りながら帰途につきました。

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アブラゼミの羽化

博物館は8月6日から緊急事態宣言に伴う臨時休館となります。
8月5日夜、休館中に発信するウエブコンテンツ用に、博物館お隣の樹林地で夜の自然観察を行いました。主役はアブラゼミです。午後6時50分に羽化が始まっている幼虫がいました。歩道の柵のトラロープにとまっていてちょっと風情が無いのですが、撮影はしやすい位置です。この個体をロックオン!

背中が割れて羽化が始まったアブラゼミ

眼が出ました。

まっ黒くつぶらな眼をしています

みるみる胸部が現れます。

最初の写真からここまで約6分です

最初は重力を使って逆さの状態で殻を脱いでいきます。時折体をプルプルと震わせたり、腹部を前後にずらしながら脱皮が進みます。

落ちてしまわないかヒヤヒヤしますが、大丈夫

腹部の先の方まで進み、これ以上脱いだら落ちちゃう、というところで、おもむろに上体を起こして前脚で殻につかまります。すると、腹部の先がするりと抜けて、懸垂の状態になります。この間は動画を撮影していたため写真はありません。公開をお楽しみに!

腹筋運動のように上体を起こして前脚でつかまるところは動画で撮影してあります

頭を上にすると、次は翅(はね)です。これも重力に従って音もなく広がり、その数分の光景は羽化のクライマックスと言えます。

翅が見る見る伸びていきます

伸びきった翅は淡いコバルトブルーがとても美しく神秘的です。

翅が完全に伸びたら、乾くのを待ちます

これから夜明けまで全身が乾いて固まるのをじっと待ちます。無防備なこの時間に、ハクビシンやタヌキに食べられてしまう個体も多いことでしょう。夜が明けると今度はカラスに狙われてしまうので、その前には飛び立ちたいところです。生き抜いていくのは大変なことですね。

近くの樹液レストランには、ノコギリクワガタがいました。

ノコギリクワガタ(オス)

蚊の襲来に悩まされながらの撮影でしたが、見どころも多くて充実した観察となりました。観察の様子は近日中に動画配信しますので、しばらくお待ちください。

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ライトに集まる虫

先日、このブログで紹介したカラスウリの花を観察した8月3日夜は、ライトの光に集まる虫を調べるのが本来の目的でした。蛾の仲間がたくさん集まるかと思いきや、ほとんど集まらず、カメムシやコガネムシの仲間がほとんどでした。中には、ヒグラシも。

ヒグラシ

ヒグラシはおとなしいセミで、手に乗せると静かに止まることも多く、あまり飛び回りません。
光に集まったカメムシを黙々と捕食していたのは、ヤブキリ。丸くつぶらな目と、ムシャムシャ食べている様子のギャップがシュールです。

ヤブキリ

そして、ちょっと珍しい昆虫がやってきました。ライトの下でガチッと固まっていたのは、ナガヒラタムシです。下の写真は上面です。上から見ると脚が見えません。

ナガヒラタムシ(背面)

いつの間にかころりとうらがえしになっていて・・

ナガヒラタムシ(下面)

脚を内側にきれいに収納していました。光に集まってきた虫はたいてい、バタバタと動き回るのですが、この虫は固まっていてまったく動きません。一緒に調査した専門家の話では、原始的な形態を残す虫で、生きた化石とも言えるそうです。
夜は、昼間とは違った自然の姿がありました。
博物館は明日(8月6日)から緊急事態宣言に伴い臨時休館となります。その間、夏休み中の自然観察の手引きとなるような動画の公開を予定しています。このブログで公開情報をお知らせしますので、どうぞご期待ください。

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闇に咲く花

8月3日の夜、博物館お隣の樹林地内に純白のレースをまとったカラスウリの花が咲いていました。

カラスウリの花

カラスウリは、晩秋に実る果実は鮮やかな朱色でよく目立ちますが、花を見る機会は意外とありません。

カラスウリの果実(10月に撮影)

それはやはり、夜咲く花だからでしょうか。この純白のレースの装飾の意味合いはよくわからないのですが、花粉の媒介者(ばいかいしゃ:花粉を運ぶ動物)であるスズメガの仲間へ何かアピールするものがあるのかもしれません。

カラスウリの花

日中の猛暑をふと忘れるような闇の中、ほのかに香る甘いにおいとともに、妖しい美しさを放っていました。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No68・大山への道しるべ①)

伊勢原市などにそびえる相州大山(そうしゅうおおやま)は、古くより各地からの信仰を集め、特に7月27日から8月17日の「夏山」(なつやま)の期間は、大山講の人々がまとまって参拝します。そして、江戸時代には、頂上までの参拝は夏山の間(旧暦6月27日~7月17日)だけ許されていました。

市内にも大山へ至る、通称「大山道」がいくつかあり、そのうちの一つを歩いていく民俗講座「大山道を歩く」を平成14年[2002]に実施したことは、本ブログのNo.29で紹介しました。今回は、こうした道に建てられたいくつかの大山道の道標(どうひょう)を中心に紹介します。

最初の写真は、緑区橋本の横浜線の踏切にある表示で、この踏切を通る道が大山道であったことを示しています(平成16年[2004]11月17日撮影)。

次の2枚は前回も紹介しており、1枚目は緑区橋本の大山道標で、安政2年[1855]造です。上部に大山の不動明王を彫り、正面に「右大山みち」と記されています。現在は区画整理のために旧道はなくなっていますが、地域では「橋本の棒杭(ぼうぐい)」と呼ばれて親しまれており、市の登録史跡となっています(平成13年[2001]9月2日撮影)。

次の写真は、嘉永2年[1849]造で、中央区上溝・田尻の三叉路にあり、向かって右に行くと南区当麻から厚木というように大山方面、左は座間などに南下していく道となります(平成15年[2003]7月1日)。

市内の大山道では、橋本―上溝―当麻のほか、橋本から中央区田名を抜けるルートがあり、田名の水郷田名地区には旧道の雰囲気を伝える道も残されています(平成13年[2001]9月28日)。

また、田名・四ツ谷集落には、これも場所は移動していますが、やはり不動像ともに「此方(このかた)大山道」と記された道標が見られます(平成16年[2004]8月30日)。

 

さらに、橋本以外に、町田市木曽町から中央区淵野辺を通って南区磯部で相模川を渡る大山道が知られており、次の写真は上磯部地区のT字路の端にあるもので、元治2年[1865]造です。おそらく向かって右側の不動像が、左側の「不動尊」と記された角柱の上に載っていたと思われます。ちなみに真ん中は道祖神です(平成11年[1999]1月10日)。

 

この上磯部の道標を右手に真っすぐ進むと見えてくるのが、造立年不詳の下磯部の文字塔です。「右大山道」とありますが、右に曲がったところに相模川の「磯部の渡し」があり、渡し場の場所を間違えないように大山に向かう人たちに伝えています。

最後に紹介するのは、南区上鶴間本町の安永9年[1780]造で、不動像の頭部はなくなっているものの正面に「大山不動」と記されています。これは大山への道しるべというより、「講中十四人」とあるように地元の大山講の人々による建立で、そうした地元の信仰に基づく石造物も各地に残されています(平成15年[2003]7月25日)。

 

このような大山道標は相模原地域だけではなく、もちろん津久井地域にも見られます。次回は津久井地域について取り上げたいと思います。

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ハートな虫たち

7月31日、博物館のお隣の樹林地を歩いていると、葉にハートマークが見えました。

エサキモンキツノカメムシ

エサキモンキツノカメムシです。背中にハートマークを持つ昆虫として有名です。
そのすぐそばで、ハートマークに触発されたわけではないでしょうが、オジロアシナガゾウムシが交尾していました。

オジロアシナガゾウムシ

気温も湿度も高くて人間にはちょっと厳しい季節ですが、昆虫たちは元気です。

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尾角の意味を考える

7月29日、市内のある公園で、何かを重そうにくわえて飛んでいた鳥が、それを地面にボタッと落としました。

大きなイモムシを運びあぐねるシジュウカラ

鳥は、今年生まれの若いシジュウカラ。落としたのは、スズメガの仲間の幼虫(イモムシ)でした。スズメガは大型の蛾で、イモムシも特大サイズです。さすがに重すぎたようで、2回ほどくわえなおして飛ぼうとするのですが、またあっけなく落としてしまいます。

くわえ直そうとしますが・・

そのうち人がそばを通って諦めてしまったのですが、くわえなおそうとしたところの写真を拡大すると・・

イモムシの尾角をくわえています

尾角(びかく)と呼ばれる、イモムシの一番後ろの節の背中側に細く突き出た部分をくわえようとしています。尾角は多くのイモムシについていて、例えばカイコにもありますが、いまひとつ、その役割がわかりませんでした。

カイコの尾角

身を守る何かだろうとは想像していたのですが、こんなもので身を守れるのか?という疑問が残ります。でも、このシジュウカラとスズメガのイモムシの様子を見て、こんなところをくわえたって落とすのはあたりまえだろうと思いました。ということは、あえて細い突起をくわえさせて、体をくねらせた拍子に落としてしまうのを狙っているのか・・
軽く胴体をくわえられるくらい大きな鳥にはまったく効果が無いため、その推測は満点ではないけれど、正解の一つなのではないかと思える観察となりました。

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津久井城市民協働調査の令和3年度第1回を開催しました。

緑区太井・根小屋・小倉に広がる城山に所在した津久井城は、戦国時代の小田原北条家重臣であった内藤氏が城主でした。

①城山(東から)

貴重な地域遺産である津久井城跡の保存・活用を行うために、相模原市教育委員会文化財保護課、博物館、(公財)神奈川県公園協会の3者が連携を図り、各組織の市民ボランティアから有志を募り、2010(平成22)年から市民協働調査が行われています。

②津久井城市民協働調査の組織体系

③市民協働調査の具体的な内容

 

7月21日午前、市立博物館の地下の大会議室で第1回が行われ、令和3年度の調査体制、事業計画が説明されました。

④今年度の調査体制、事業計画の説明

その後、(公財)神奈川県公園協会の野口副園長と市教育委員会文化財保護課の齊藤学芸員により講座が行われました。

 

野口副園長の講座は戦国時代の「根小屋式山城」として整備された津久井城の歴史的な景観についてであり、津久井城の城主が内藤氏であったこと、本城曲輪、しんでん虎口(こぐち)、御屋敷曲輪など、どのような遺構が確認されているのかが紹介されました。

⑤野口副園長による津久井城の説明

 

齊藤学芸員の講座は、市民協働調査の概要として今までの歩みと、測量調査および8回に渡る発掘調査が行われた城坂曲輪群5号曲輪について、どのような性格をもつ遺構があったのか紹介されました。

⑥齊藤学芸員による市民協働調査などの説明

 

城坂曲輪群の協働調査の成果は令和3年3月に報告書として刊行されました。この報告書では1~4号曲輪と5号曲輪の調査がまとめられ、5号曲輪は庭園遺構に特化した曲輪であり16世紀後半の天正期に位置付けられています。

⑦津久井城跡-城坂曲輪群1~5号曲輪の市民協働調査-

報告書に掲載されている城坂曲輪群5号曲輪からみつかった陶磁器、かわらけ、鉄製品も見学できるようにしました。

⑧みつかった陶磁器、かわらけ、鉄製品など

 

⑨見学の様子

 

今年度の調査計画では、令和元年度まで調査していた5号曲輪の北東側にある6号曲輪が調査対象です。5号曲輪では池の跡があり、庭園として機能していたことが分かっています。それでは6号曲輪はどのような機能があったのか、今後の調査成果が期待されます。

⑩5,6号曲輪の位置

 

これからも津久井城市民協働調査について、本ブログで紹介しますのでぜひご覧ください。本事業は新型コロナウィルス感染拡大防止のための措置及びご協力をいただいた上で実施しています。

本ブログの画像について、①は津久井町史 通史編 近世・近代・現代、②、③、⑩は『津久井城跡-城坂曲輪群1~5号曲輪の市民協働調査-』より引用しました。

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木陰で自然観察

7月25日、ボーイスカウト相模原第7団ビーバー隊(幼稚園年長から小学2年生まで)のみなさんが来館されました。事前に、自然観察会のご希望があったので、生物担当学芸員と一緒に「生きもの観察ビンゴ」と「葉っぱの工作」を行いました。

木陰でビンゴに挑戦

駐車場の木陰で、こまめに水分を取りながら、ビンゴに挑戦。7月17日に生きものミニサロンで行ったビンゴを、ビーバー隊のみなさん向けに少しアレンジしました。例えば「虫が食べたあと」というお題では、ほとんどのお子さんが葉っぱについた虫の食べあとを見つけてくれました。

見つけたらお題の番号をチェック

先週はまだあまり無かったセミのぬけがらも、今日はだいぶ見つかりました。

セミの抜け殻、みつけた!

「カメムシを見つける」というお題は意外と難しかったので、カメムシの仲間の昆虫である、アオバハゴロモをみんなで観察しました。茎に止まっている成虫に指を近づかると、ツツツ・・と歩いて裏側へ回る動きにみなさん興味深々でした。

指を近づけるとツツツと動いて裏側へ回るアオバハゴロモ

アオバハゴロモの成虫

ビンゴのまとめは「クモの形を正確にかいてみよう」の答え合わせです。

ビンゴの答え合わせ

頭の方と腹の2つに体が分かれていて、頭の方から8本の脚が出ているというポイントは、大人のみなさんも知らなかったようで、「へぇー」と声があがりました。
続いて、シュロの葉で工作をしました。今回はカタツムリ。シュロという植物の説明の後、みんなで工作に挑戦しました。大人でも悪戦苦闘の様子でしたが、なんとか全員、カタツムリを作れました。

葉っぱのカタツムリが完成

猛暑の中でも、午前中であれば土の地面の上の木陰は快適です。そんな野外の雰囲気も感じながらの楽しい自然観察になりました。

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