氷点下まで冷え込んだ12月17日の朝、博物館お隣の樹林地の地面は、銀白色に輝いていました。
落ち葉に霜が降り、朝日に輝いていたのです。見る見る融けていく霜は、瞬間の芸術品と言えます。まだ朝日が当たらず、光る前の落葉と霜です。
よく見ると、水晶のような氷の結晶がたくさんついています。
土の地面に霜柱が立つ日も近そうです。
氷点下まで冷え込んだ12月17日の朝、博物館お隣の樹林地の地面は、銀白色に輝いていました。
落ち葉に霜が降り、朝日に輝いていたのです。見る見る融けていく霜は、瞬間の芸術品と言えます。まだ朝日が当たらず、光る前の落葉と霜です。
よく見ると、水晶のような氷の結晶がたくさんついています。
土の地面に霜柱が立つ日も近そうです。
博物館敷地内で見つけた小さなクモ。
体長2mmほどで、垂直円網を張っています。
最初はギンメッキゴミグモか何かだろうと思ったのですが、それにしては網の目が粗すぎます。気になったので採集しました。
拡大してみると、意外にずんぐりしています。白くてずんぐりしたクモなんてこの辺りにいただろうか?と疑問は深まるばかりです。
ふと、これは水平の網を張る種ではないか?と思いつきました。たまたま垂直に張っていたとうのは、よくある事です。
そこで、飼育用のセットをつくり、網を張らせてみました。
見事、水平円網を張りました。
が、よく見るとクモが網の上にいます。
水平円網を張るクモは、通常、網の下側にぶら下がります。
この辺にいるクモで、水平円網の上にとまるクモといったら、マルゴミグモしかいません。
平成2年度制作の文化財記録映画第9作「続・相模原の年中行事」は、12月の正月準備から4月までの年中行事を紹介しています。ちなみに5月~11月は前年度の第8作目の「相模原の年中行事」で扱っていますが、両映画の撮影自体は平成元(1989)年~2年に行われました。今回の写真も平成元年12月から2年1月撮影で、記録用なのでモノクロです。
正月を迎えるために、年末に煤払い(すすはらい)があり、かつては家の中のものを畳まで外に出して大掃除を行いました。竹で作った箒(ほうき)で家全体を払い、神棚は小さな笹でほこりを払いました(撮影地・緑区大島)。
正月というと餅つきです。餅をつく日は12月28日か30日と決まっていて、神仏へのお供え用と自家で食べるのし餅の両方があるため、大量の餅つきをしました。二枚目の写真はのし餅です(緑区大島)。
また、餅つきと同様に、各家で正月飾りのしめ縄を作ります。しめ縄作りも28日か30日の作業で、神棚の他にも例えば物置や墓地・井戸など、いろいろなところに飾りました(緑区大島)。
大晦日の夕方に、屋内を払う「晦日祓い(みそかはらい)」を行う地区がありました。神社から来る小さな幣束(へいそく)を振りながら、「ミソカッパライ、ミソカッパライ」と唱え、神棚をはじめ家の中を祓います。終わると幣束を外の辻に差し立てました。晦日祓いは南区上鶴間や中央区淵野辺など、境川流域の地区から報告があります(南区上鶴間本町)。
こうした正月の準備を経て、映画では正月の若水汲み(わかみずくみ)も撮影されました。元日の朝に家の主人が初めて井戸から汲む水が若水で、神仏に供えるほか、雑煮もこの水で作ります。後に水道を使うようになってからも、その年の初めての水道水を若水に見立てました(緑区橋本)。
もちろん映画で撮影できなかった内容もありますが、今回は特に正月準備を中心に取り上げました。次回は映画に限らず、神棚とは別に作られた「年神棚(としがみだな)」を紹介します。
無量光寺 一遍上人 仰ぎ見る
(むりょうこうじ いっぺんしょうにん あおぎみる)
読み札の無量光寺(むりょうこうじ)とは、市内南区当麻にある寺院で、山号の当麻山(たいまさん)とも呼ばれ親しまれています。
また、絵札に描かれている人物は、鎌倉新仏教のひとつ時宗(じしゅう)の開祖 一遍上人(いっぺんしょうにん)で、13世の終わり頃この地に庵(いおり)を建て、弟子の2世真教上人が無量光寺を建てたと伝えられています。
無量光寺は市内でも代表的な寺院の一つであり、現在でも多くの文化財等がありますが、今回は絵札に描かれている一遍上人像について紹介します。
一遍上人像は無量光寺の山門をくぐり、参道を少し歩いた所に読み札どおり仰ぎ見るように建っていますが、実は現在の本堂内に寺の本尊となっている市指定文化財の上人像があります。
この本尊は、一遍上人が自ら水鏡に映した姿で頭部を刻んだとされたもので、現在は10/23の開山忌(かいざんき)にしか公開されていません。
来年の10/23まで待てないという方、実はこの像のレプリカを見られる場所があります。それは、当相模原市立博物館です。当館の常設展示の中でも唯一個人像のレプリカで、多くの方の目に映っているとは思いますが、今回特別に普段は気づきにくい部分を紹介します。
実は一遍上人像には頭部に大きな刀キズがあります。この傷は一遍上人が出身の伊予河野家の家督争いに巻き込まれた際に負った傷とされています。像を仰ぎ見るのではなく、斜め上から覗いてみると次の写真のとおりバックリの傷跡がハッキリわかります。
無量光寺はJR相模線原当麻駅から徒歩20分ほどで、境内も広く、緑に囲まれた場所で、歴史やお寺ファンでなくても心癒される場所だと思いますので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
*このかるたは当館のボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。
*現在、博物館エントランスにて「さがみはら ふるさと いろは かるた」の全ての札や紹介地マップ、解説文を紹介した展示を行っています。
*このかるたは相模原市立博物館にて貸出し可能です(現在、貸出しは休止中です。)
*貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください(042-750-8030)。
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。
最近の野外調査で見かけた鳥たちの写真を見ていたら、いくつか真正面の顔のものがありました。鳥の顔は、真横から見ると丸いのですが、正面から見ると意外と縦長です。こちらはヤマガラの真横からの写真です。
正面から見るとこんな感じです。
こちらは、横から見るとモフモフ丸顔のエナガです。
正面から見てもあまり変わらないですね。嘴(くちばし)も目も小さいからでしょうか。
トモエガモは顔に複雑な模様があります。
正面から見ると印象がまったく異なります。
鳥の体は、空を飛ぶことを考えて全体的に流線形を基本としています。目が頭の側面についていることもあり、正面と横からでは印象が大きく異なります。動きが素早くて正面顔をじっくり見ることが少ないのですが、写真だとよくわかりますね。
そろそろ今年も終わりですね。
新型コロナウイルスにより、あらゆることで変化を強いられた今年。
博物館では展示室やプラネタリウムの観覧が再開したものの、
星空観望会の中止によって、皆さんと一緒に
本物の星空を見上げる機会がなくなってしまい、寂しいです。
そんな中でも、火星の準大接近や
小惑星探査機「はやぶさ2」帰還カプセルの帰郷など、
天文・宇宙に関するニュースはいろいろありました。
皆さんはどんなことが印象に残っていますか?
私は、何といっても「はやぶさ2」の帰還です!
つい先週のことで、記憶に新しいせいもあると思いますが・・・。
そして、今年最後の注目の天文現象は、12月21日の日の入り直後。
西の低空で、木星と土星が非常に近づきます。
これは宇宙の中で実際に接近しているのではなく、
太陽系を真上から見ると地球と木星と土星がほぼ一直線上に並ぶため、
地球からは見かけ上、二つの惑星が近づいて見えるのです。
もしかしたら、肉眼では見分けられないほど近づいて見えるこの現象、
今回を見逃すと、次に同じくらいの接近が起こるのは約60年後となりますので、
ぜひ観察にチャレンジしてみてください。
また、この頃が今期の木星と土星の見納めです。
先日撮影した木星と土星がこちら。
来年(2021年)の木星と土星は、8月から11月末にかけて
夜空(やぎ座の方向)で見頃です。
さて、あと2週間ほどで新しい年になります。
来年も、多くの天文現象がありますので、少しご紹介します。
中でもオススメの一つが、5月26日の皆既月食。
月の出とほぼ同時に始まるので、時間的に観察しやすいです。
風景と月を一緒に撮影することができるかもしれません。
こちらはかつて撮影した、「満月on the 富士山」
こんな風な、いい感じのアングル、狙ってみませんか?
それから、8月12日から13日頃には
ペルセウス座流星群のピークがやってきます。
この時期は夜早い時間に月が沈むため、月明かりの影響も少なく、
多くの流れ星に期待大!です。
今年、そして来年も星空観望を楽しんでくださいね。
その際には、暖かくして、安全な場所で観察しましょう。
毎年ご好評いただいている十二支にちなんだミニ展示を、12月15日からスタートしました。場所は正面入り口入ってすぐです。
令和3年の干支「辛丑(かのと うし)」にちなみ、十二支の丑(牛)にまつわる市内のトピックをご紹介しています。
なんといっても主役はこちら、カモシカ(はく製)です。
え?牛と関係あるの?と思われる方も多いと思います。じつは、カモシカはウシ科の哺乳類なのです。外見にも牛の仲間の特徴があるのですが、詳しくはぜひ展示をご覧ください。
また、夜空に浮かぶ冬の星座「おうし座」や、市内緑区にある牛鞍(うしくら)神社、牛頭(ぎゅうとう)観音も写真付きで紹介しています。
年賀状や新年のSNSのネタ写真としてもぜひ、お使いください!
JR中央線で、電車が藤野駅に近づくと、対岸の山の中腹に巨大なラブレターが現れます。
これは、造形作家の高橋政行さんが、平成元年(1989)に、「ふるさと芸術村構想」のもと、当時の藤野町の依頼で制作したものです。自然から人に向けた愛のメッセージという意味で、「緑のラブレター」と名付けられています。
縦17m、横26mの鉄のフレームにシートが張られている「封筒」ですが、たびたび修復を重ねています。
「ふるさと芸術村構想」は、昭和61年(1986)に神奈川県と藤野町が「いきいき未来相模川プラン」の一つとして立ち上げた事業です。これは、戦時中、藤野地域に疎開した画家藤田嗣治や、猪熊弦一郎、中西利雄など新制作派といわれる画家たちが多く集まり、相模湖を望む一大芸術都市を夢見ていたことを踏まえて、提唱されたものです。
芸術の道:写真のように、のどかな道沿いに点々と芸術作品が設置されています。
自然に抱かれた野外美術館としての「芸術の道」、芸術体験ができる滞在型施設として「藤野芸術の家」が整備されました。
「ふるさと芸術村構想」を実現する手段として「ふるさと芸術村メッセージ事業」が、昭和63年(1988)から行われています。藤野村歌舞伎、写真展、陶器市、お散歩展、キッズシアターなどの各種事業が、藤野アートスフィアの通称で、現在も引き続き行われてきています。提唱から34年、藤野の芸術のまちづくりは、転入してきた多くの芸術家と地元の住民に支えられて、着実に進化しています。
写真5 アートスフィアの事業の一つ「藤野村歌舞伎」
コロナ禍の収束の見えない中ですが、天気の良い日に「芸術の道」を歩いてみるのも、良い気分転換になると思いますので、皆様も訪れてみてはいかがでしょうか。
藤野の観光に関する問い合わせ先:
一般社団法人 藤野観光協会 042-684-9503(平日のみ)
藤野観光案内所ふじのね 042-687-5581
*このかるたは当館のボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。
*このかるたは相模原市立博物館にて貸出し可能です(現在は当面の間、貸出しを休止しております)。
*貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください(042-750-8030)
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。
12月8日と年明けの2月8日はヨウカゾウといわれる日で、両日とも一つ目小僧が来る日とされていました。「悪いことをすると一つ目小僧に連れて行かれる」として、子ども心にも怖いものでした。
そのため一つ目小僧が来ないように、目が多い笊(ざる)や籠(かご)を玄関に吊るしたり、竿の先に掛けて立てたりしました。籠類を吊るすのは、目が多いため目が一つしかない一つ目小僧が驚いて逃げかえるためです。
写真は第9作目の文化財記録映画「続・相模原の年中行事」製作時に撮影したもので、芋を洗う時などに使うイモフリメカイを竹竿の先に掛けて立てています(平成元年[1989]12月・南区上鶴間本町)。
次の写真は緑区相原で、この家では玄関の脇に吊るしています。また、一つ目小僧が家の中に入らないように、いやな匂いのするグミの木を燃やすことがあり、写真はストーブで燃やしているところです。さらに、この日の夕飯にはケンチン汁を食べました(いずれも昭和63年[1988]2月)。
近年でもこうした行事を行う家があり、写真は平成24年(2012)12月・緑区根小屋での撮影です。イモフリメカイとフルイが吊るされており、フルイは近年のものですが目が多ければよいとして、この家では二つ吊るすそうです。
また、この日に下駄などの履物を外に出しっぱなしにしておくと、一つ目小僧に判を押されてしまい、それを履くと病気になるので必ず履物を家の中にしまいました。
師走に入り、ヨウカゾウも終わると正月は目の前です。次回からは正月の準備や正月行事の写真を紹介します。