ホタル観察会を実施

5月23日、市内田名のゲンジボタルの発生地で、県立上溝南高校地域連携実行委員会主催のホタル観察会が行われ、当館学芸員がご案内してきました。
例年、80~100名くらいが参加します。水路沿いの細い遊歩道を歩くこともあり、シーズンの初めに実施しています。ゲンジボタルの発生のピークは、ソメイヨシノの満開から2か月後が一つの目安です。そうすると、ソメイヨシノの開花が遅めだった今年はゲンジボタルの発生ピークもやや遅めになりそうなので、この日に発生しているかちょっと不安でした。
やはり、歩き始めてもホタルはまったく飛んでいません。今年はゼロか!?と不安がよぎりつつ、遊歩道の折り返し地点まで来ると・・飛んでいました!(下の写真は昨年のものです)

昨年のゲンジボタルの様子(長時間露光)

昨年は水路でも多くのゲンジボタルが光っていましたが、やはりこの場所で一番数多く見られました。数は10数頭でしたが、諦めかけた後の出現に生徒のみなさんも大変盛り上がっていました。恒例の“スマホでホタル”の記念写真です。

ゲンジボタルを見られてテンションも上がりました

結局、復路も水路上には飛んでいなくて、出発地点で数頭見られただけでした。引率の先生のうちわにとまったゲンジボタルです。

うちわにとまったゲンジボタル

数は少なかったものの、生徒のみなさんは水路の反射や蛾などをホタルと見間違えては笑ったりして、楽しそうに観察してくれました。4月に事前学習として、動物担当学芸員からゲンジボタルとその生息環境について話を聴いているので、この場所が地域の自然環境を語る上でとても重要であることも実感できたと思います。
(生物担当学芸員)

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当麻田小で縄文土器の講座を行いました。

先日、当麻田小にて、縄文土器を活用した講座を行いました。
これは、緑区にお住まいの方から、ご自身がみつけた土器をもとに、
学校で遺跡のお話ができないか相談をいただいたことがきっかけでした。

いつも土器×2タッチで多くの方に土器をさわっていただいており、
「さわる体験」を重視していますので、このお申し出に賛同し、開催することとしました。

当麻田小の近くの遺跡や、土器の特徴を解説

対象は5・6年生で、合計100名と人数が多いので博物館から持参した縄文土器・石器もさわってもらいました。

博物館から持参した縄文土器

はじめて土器をさわる児童が大半で、とても熱心にさわっていました。
写真や図面とは異なり、質感や重さ、土器の模様など注目する点を説明しました。

いろいろな疑問が尽きません。

昼休みもさわってもらう時間に充てて、5・6年生以外にも2~4年生にも体験してもらいました。

今回、印象的だったのはこちら。説明に使った図の1枚です.

オレンジの線は、昔の住居などがある可能性が高い地域(遺跡の範囲)です。赤星は当麻田小です。児童が、自分の家が遺跡の範囲なのかどうか、地図を見て調べていました。自分の住む場所が遺跡に含まれるのか、自発的に調べる視点はとても重要です。

今後も、土器を活用したわかりやすい講座になるよう経験を積みつつ取り組んでいきます。
(考古担当学芸員)

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サイハイラン

5月23日、博物館お隣の樹林地の林内でサイハイランがひっそりと咲いていました。

サイハイラン

れっきとした野生ランなのですが、平地や低山の林内で普通に見られること(時に大きな群落を作ります)や、全体的にちょっと地味な印象が強いため、ランにしてはあまり注目されません。でも、花を拡大するとやっぱりランの仲間らしい華やかさがあります。

花を横から見たところ

種名は武将が戦場で持つ采配(さいはい)にちなんでいます。武者人形が弓矢などと共に持っている、アレです。

正面から見た花

花がちょっと下向きに群れて咲く様子は確かに采配を思わせます。
薄暗いヤブのような場所でも咲くので、せっかく開花しても見落としてしまいがちです。今回は、蚊の襲撃に耐えながら写真を撮ることができました。
(生物担当学芸員)

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ハハコグサ、チチコグサ

数日おきに降る雨と、初夏を目前にした蒸し暑さのおかげで、道端の植物も元気いっぱいです。この季節に咲きそろう、名前も姿もまぎらわしい近縁の植物を紹介します。
まずは、ハハコグサ(母子草)です。

ハハコグサ

花が黄色く目立つので、こちらは迷うことなく見分けられます。問題は、父の方・・こちらはチチコグサ(父子草)です。

チチコグサ

そして下の写真、並んで生えているのに、この二つは別種です。左がチチコグサモドキ、右がタチチチコグサです。「チ」が多くて呼びにくいですね。どちらも花が穂状につき、花の近くの葉の形が幅広いのがチチコグサモドキ、細いのがタチチチコグサの特徴です。

並んで生えていたチチコグサモドキ(左)とタチチチコグサ(右)

さらにこちらは、ウラジロチチコグサです。

ウラジロチチコグサ

どの種も路傍でごく普通に見られますが、現在、最も頻繁に見るのがウラジロチチコグサです。他のチチコグサの仲間と比べて全体的に緑色が濃いのですが、その名のとおり、葉の下面が白く見えます。

ウラジロチチコグサの葉裏 白毛が密生していて白く見える。茎も白い

このように、ハハコグサとチチコグサの仲間は姿も名前もほんのちょっとした違いで紛らわしいのですが、それもまた植物観察の楽しみと言えます。ちなみに、母子草という字は当て字とされていて、あまり意味は無いようです。
(生物担当学芸員)

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賑やかなクワの木

博物館駐車場前に植えられているクワの木には、いろいろな虫が集まります。虫だけではなく、人も・・

クワの木のまわりで虫や植物を観察する大野村いつきの保育園のみなさん

ご近所の大野村いつきの保育園のみなさんは、毎年博物館をたくさん利用してくれていて、その活動の成果を「学びの収穫祭」で発表もしてくれています。今年もクワの木を観察して、熟してきた果実を食べたりしています。

先生に肩車をしてもらってクワの実を収穫

ただ、このクワの木は実つきが良いものの、なかなかしっかり熟す割合が低いのが残念なところです。

きれいに熟した実が少ない 白くなった実は熟さずに落ちてしまいます

6、7年前に立て続いた台風の接近で、100メートルほど離れた場所にあった雄の木の大木が倒れてしまいました。クワは風媒花(花粉を風で運ばせる花)で雌雄異株のため、それ以来、このクワの木の熟す割合が極端に下がってしまいました。近くにまた雄の木が育ってくれるとよいのですが・・
ところで、子どもたちがこんな虫を見つけてくれました。

ハラグロオオテントウの幼虫(左)

ハラグロオオテントウの幼虫です。クワの木につくクワキジラミの幼虫を食べています。クワキジラミは、葉をしわくちゃにしてしまうため、カイコを育てる上では害虫です。ハラグロオオテントウにはがんばってクワキジラミを食べてほしいものです。アリもたくさん群がっていたのですが、こちらは理由がよくわかりませんでした。食べるために持ち去っている様子は無かったので、幼虫の分泌物でも食べているのでしょうか。
ハラグロオオテントウは間もなく成虫が見られそうです。とてもインパクトのあるテントウムシなので、また見つけたらこのブログで報告します。
(生物担当学芸員)

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令和7年度地質学講座「富士山の溶岩と湧水」1回目

5月18日(日)に令和7年度の地質学講座の第1回目を開催しました。連続4回の講座で、1回目と4回目は博物館での講義、2回目と3回目は野外に出かけて地形や地層の観察をします。

今年度のテーマは「富士山の溶岩と湧水〜桂川上流の地形と地質〜」です。山梨県都留市で富士山の溶岩や泥流堆積物とそれらがつくる地形、湧水を観察します。

相模川の川原では富士山から相模川によって運ばれた溶岩が川原の石としてみられます。また、富士山の麓から流れ下った泥流の地層が相模原市内でも観察できます。

相模川の河原の石として見られる富士山の溶岩(相模原市立博物館常設展示室)

相模原市内の富士相模川泥流堆積物の模型(相模原市立博物館常設展示室)

相模原の地形や地質の成り立ちに深く関わる地層や溶岩を富士山の麓で実際に観察することが今回の講座の目的です。

1回目は博物館で観察地点の地形・地質の概要の解説です。富士山や泥流、湧水のしくみについて説明しました。

2日目は6月1日(日)に都留市の東桂駅周辺で地形や地層を観察します。梅雨が近づいているので雨が降らないよう、気合を入れてお祈りしたいと思います。

(地質担当学芸員)

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小学校でテントウムシ探し

緑区の小山小学校でテントウムシを題材とした出張講座を行いました。
これは、法務省矯正局と実施している環境学習のプログラムのひとつです(小山中学校での授業の様子はこちら)。
まずは、テントウムシについてお話をしました。

室内からスタート!

3年生の児童の皆さんは、ちょうど理科の授業で虫のことを習っているそうで、タイムリーな話題だったようです。
テントウムシのすごいところ、ということで、アブラムシを食べることや、テントウムシが天敵から身をまもる術、そして、模様や種類の多様性の話を聞いてもらいました。
ところで、テントウムシは日本に何種いるか、ご存じですか?なんと、その数、約180種類。
その話をすると、児童のみなさんは「えーっ!」といい反応をしてくれました。

お話の後は、校庭でテントウムシを探してみます。

何かいた!

テントウムシが生きていくためには餌のアブラムシ、そのまた餌の植物と、いろいろな生きものがいる必要があります。
テントウムシ以外の生きものも一緒に探してもらうことで、校庭の生態系の一端をみんなで覗きました。

ナミテントウの幼虫

肝心のテントウムシは、幼虫と蛹がたくさん見つかりました。校庭にもたくさんのテントウムシがいるようです。ただ、残念ながら、成虫は見つかりませんでした。
また探してみてね、ということで講座を締めくくりました。
(動物担当学芸員)

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生きものミニサロン「虫と草木のひみつの仲」を実施しました!

5月17日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回は、いつもサポートスタッフとして活躍してくれているお二人の企画、進行でした。テーマは「虫と草木のひみつの仲」です。

最初の説明をするサポートスタッフのお二人 今回は室内で実施

前日から迷うことないほどの降水確率だったため、室内で実施しました。まず、事前に採集しておいた草木の葉をいくつか観察してもらいました。

事前に採ってあった葉を観察

そこで、虫とかかわりのある「部分」を探してもらいます。答えは、ヤマザクラの葉の蜜腺(みつせん)です。

葉の付け根に対になっている蜜腺

この蜜腺がアリを呼び、そして、アリが群がるということは、葉を食べる他の虫に対しての防御になるという、ヤマザクラの戦略が紹介されました。他にも、いろいろな身近な花の模様がじつは蜜への道しるべになっている、蜜標(みつひょう)も写真で紹介しました。
続いて、葉についている“こぶ”のようなものを観察。

エノキハトガリタマフシという名のついた虫こぶ

博物館のまわりに生えているエノキの葉についていました。このこぶの中には何がいるのか、カッターで切ってみます。

注意深くカッターで切ります

何が出てくるのか、みなさん興味津々!

いる?いたいた!と声が飛び交いました

すると、中にはハエの仲間の幼虫が入っていました。

エノキトガリタマバエというハエの仲間の幼虫

スマホに着けるクリップ式のマクロレンズを貸し出したら、みなさん熱心に撮影されていました。

スマホでマクロ撮影

サポートスタッフのお二人のすばらしいアイデアにより、初めて扱うテーマでしたがとても盛り上がりました。
次回は6月21日(土)12時から実施します。お楽しみに!
(生物担当学芸員)

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ヨツメトビケラ

市内の河川敷で、黒地に白い模様の目立つ虫がひらひらと目の前に飛び出してきました。
その虫はノイバラの茂みの回りをしばらく飛んでいましたが、ぴたっと葉にとまりました。

ノイバラの葉の上のヨツメトビケラ

ヨツメトビケラです。
トビケラとは、いわゆる水生昆虫のひとつのグループです。
幼虫は水中で砂などを使って巣をつくって暮らし、成虫は主に水辺の草むらなどで生活をします。

そっと近づいて、アップでも撮影してみました。

美しい模様

この種は、真っ黒な翅(はね)に白い模様が入ることが特徴です。
前翅と後ろ翅、合わせて4枚のそれぞれの翅にひとつづつ白い模様が入るのを「4つの目」に見立てて、この名がつきました。
白い部分が濃い黄色の模様の個体もいるそうですが、私はまだ見たことがありません。
(動物担当学芸員)

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エゴノキの花

毎年、木々の花の開花を地面から気づくことが何度かあります。博物館お隣の樹林地でも、いつのまにか地面にこんな花が落ちだして、やっとエゴノキの開花を知ります。

地面に落ちているエゴノキの花

見上げてみれば、枝から無数の花が下がっています。ふだん、いかに樹上へ目を向けていなかったか、思い知らされます。

枝に咲くエゴノキの花

クマバチが何頭も訪花していました。

クマバチとエゴノキ

同じように、この樹林内で落ちている花で開花に気づくのは、アカメガシワやネムノキです。開けた場所に立っている木ならいざ知らず、林内だと林の上の方にしか花が着かないため、落ちてから気づくのです。ただし、エゴノキは下層の枝でも咲くので、単にそこへ目が向いていなかっただけなのですが・・。いずれにしても、落ちている花は、それはそれで地面に星が散っているようで美しいですね。
(生物担当学芸員)

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