養蚕日誌(7/6)透明まぶしのつくりかた

博物館で飼育しているカイコは、7割くらいが熟蚕となり、蔟(まぶし)へ移動中です。昨日から作り始めたものの一部を相模原市立博物館特製の透明まぶしに入れて、展示しています。

繭づくりのようすを展示中

バックライトを当てて、幻想的な繭づくりのようすを見られるようにしています。繭が透明に見えるのは作り始めて1日目までなので、今日明日くらいしか見られない光景です!

幻想的です!

さて、この透明まぶしは、直径5センチ程度の小さめのフタ付き食品パックを用いています。

小さめのフタ付き食品パック

しかし、ただ熟蚕を入れるだけではちょっと失敗してしまいます。というのも、カイコは1生のうち2回だけ尿を出します。この1回目が、熟蚕になって繭を作り始めたところで出します。これが食品パックの中にたまると、繭に染みてしまいますし、場合によって尿に溺れてカイコが死んでしまいます。そこで、底に穴をあけるのですが・・

必ず内側から穴をあけます

上の写真のように、千枚通しなどで必ず容器の内側からあけます。そうしないと(外側からあけると)、穴に小さな土手のようなものができてしまうため、うまく尿が排出されないのです。
このようにして5、6個の穴をあけたら、熟蚕を入れてフタをしめ、吸水のよいキッチンペーパーなどの上に置きます。

キッチンペーパーの上に置いたところ

こうするときれいな繭づくりのようすを見ることができますし、穴が空気穴の役割をしてくれます。
そして、もう一つ大事なことがあります。繭を作り始めて3日くらい経ったところで、フタをあけて風通しのよいところへ置きます。容器の内部にまだ少し湿り気があるためです。
この方法は、容器表面がつるつるでカイコが足場をつくれないことがあり、そうすると中でうまく糸を吐けずにしんでしまう危険もあります。あくまでも展示や観察のためのものなので、安全な蔟はやはり、紙を筒状にまるめたものや、格子状に組んだものが無難でしょう。

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養蚕日誌(7/5)繭を作っています!

博物館で育てているカイコは今、熟蚕まっさかりです。熟蚕(じゅくさん)とは、5齢になって1週間食べ続けたカイコが、いよいよ繭をつくるために本格的に糸を吐きはじめた状態のことです。写真の下側が熟蚕で、上側はまだ熟蚕になっていない5齢のカイコです。

下のカイコが熟蚕です

やや体が縮み、黄色く透けたような色になります。さらに飼育容器の角などで頭を振っていたら、熟蚕のサインです。繭を作る部屋の蔟(まぶし)へ移します。ダンボールで作った蔟で、外側の糸を張っています。

ダンボール紙でつくった蔟

最初はなかなか蔟に入ってくれず、縁などをうろうろしているのですが、そのうち観念して(?)繭を作り始めます。
蔟は特別な工作は必要無くて、少数なら少し厚めの紙を丸く筒状にしてテープなどでとめればOKです。

筒状に丸めた紙の蔟

トイレットペーパーの芯を半分に切ったものがよく使われます。
こちらは、相模原市立博物館特製!小さめの食品パックの蔟です。

透明な食品パックの蔟

これは展示用で、繭のできるようすが見えるので好評です。ただ入れるだけでは失敗してしまうので、ちょっとした細工がしてあります。どのような細工かはまた改めて解説いたします。
カイコの飼育も、ラストスパートに入りました。

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クワの葉の上の虫 追加・・というより、真打ち登場!

前回のブログでクワの葉の上にいたアシナガキンバエとキマダラカメムシの幼虫をご紹介しました。今日はこれから降りそうな雨に備えて、多めに葉をとっていた時に見つけた虫のご紹介です。

左側が頭です

スケバハゴロモの幼虫です!この時期、クワだけではありませんが、木々の葉の上でちょこまか動き回る虫です。なんてすばらしい造形!密かに「ラインダンス虫」と呼んでいるのですが、近いなかまのクワキジラミやアオバハゴロモと同様に、おしりからロウ状の物質を出しています。正面から見るといっそう楽しい!

正面から見たスケバハゴロモの幼虫

容赦なく、真後ろから!

真後ろから見たスケバハゴロモ

成虫はなかなかカッコイイ虫です。

蛾ではなく、カメムシに近いなかまです

専用の桑畑があるわけではないので、カイコの5齢終期の今は条件の良いクワの葉を探し求めてあちこちさまようのが正直つらいところなのですが、こうした虫を見るとほっこりします。
クワの近くの木杭の上には、ニホンカナヘビがいました。

ニホンカナヘビ

妙にハンサムな顔で、写真を撮らせてくれるとちょっと嬉しい瞬間です。

おすましした顔がハンサムなニホンカナヘビ

カイコは今日明日のうちに熟蚕(じゅくさん:繭をつくりはじめるカイコ)が出始める見込みです。給桑は一段落ですが、まぶし(カイコが繭をつくる場所)へ移す作業が忙しくなりそうです。

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クワの葉の上の虫

カイコの飼育も終盤となり、あと数日のうちに上蔟(じょうぞく=カイコを、繭をつくる場所へ移動させる作業)です。博物館に植えられているクワの木も、そろそろ不要な古い葉や枝を落として、夏の養蚕に備えようと枝打ちを行いました。猛暑というのもありますが、つい手が止まってしまうのはこんな虫を見つけた時です。

アシナガキンバエ

アシナガキンバエです。明るい場所の木の葉によくとまっている普通に見られるハエですが、見事なまでのメタリックな鎧につい見とれてしまいます。

スマートでメタリックなハエです

名前が似ていますが、臭いものにすぐに飛んでくる、あのキンバエとは違うなかまのハエです。
さらに、こんな虫もいました。キマダラカメムシの幼虫です。

独特の質感を持つカメムシの幼虫

江戸時代に海外からやってきた外来種として知られ、近年、西から徐々に分布を広げているカメムシです。博物館駐車場の木々でも、ここ数年で見られるようになってきました。こちらも鎧兜をかぶったような顔つきをしています。

こちらは幼虫ですが、成虫は黒地に黄色のまだら模様が入った大型のカメムシです

お隣の樹林地では、この時期、林内の定番といえるアキノタムラソウがたくさん咲いています。

アキノタムラソウ

シソ科らしい花のつきかたです。

名前と違って、初夏から咲き始める花です

今年は早めに真夏がやってきたので、ニイニイゼミが季節に追いつけとばかりに、ようやく鳴き始めました。
汗が目にしみるのを感じながら、クワの木のまわりの草刈りもやって作業を終えました。

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カタハリウズグモの出のう

昨日紹介したカタハリウズグモ、ちらほらと卵のう(卵が入った袋)を見かけてはいたのですが、今日、子グモがわらわらと出てきているのに出くわしました。


茶色っぽいちょっとトゲトゲしたのが卵のう、白いのが子グモ。体長は1mmあるかないかです。
通常、クモは卵のう内で一度脱皮してから出てきますので、これでもたぶん2齢幼体という事になります。
既に親グモはおらず、網が壊れたのか、卵のうはクサグモの網にぶら下がっていました。子グモがあまりに小さいせいか、クサグモの捕食対象にはなっていないようです。
それでもほとんどの個体は大人になる前に死んでしまうに違いないと考えると、自然の不思議を感じます。
ところで、「出のう」というのは卵のうから出る事を指す言葉で、漢字では「出嚢」と書きます。パソコンで「しゅつのう」と打ったら「出納」という字が出てきました。やっぱり一般的な言葉ではないようですね。

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いつも渦巻きというわけでもありません


水平に張った円網に、渦巻き模様の白い飾り。
写真は博物館周辺でもよく見られるカタハリウズグモです。


クモは渦巻の下にぶら下がっています。

この渦巻き模様のように、網につけられた白い帯状のものを「かくれ帯」とか「白帯(はくたい)」と呼びます。
しかし、その機能については様々な説があり、はっきりわかっていません。
ウズグモに関しては「網の張り(テンション)を調節するため」という事が確認されています。
また「空腹時には渦状の白帯を、そうではない時には帯状の白帯をつける(あるいは何もつけない)」という事が経験上、知られています。

というわけで、このクモはあまりお腹が空いていないようです。


これはどっちなんだ(笑)!


白帯は普通ですが、めずらしいほぼ垂直の円網です。

クモの種類によって、おおむね垂直に近い網を張るか、水平に近い網を張るか決まっていますが、かなり柔軟性はあります。
とはいえ、ウズグモの仲間でこれだけはっきり垂直に見えるのは珍しい例です。
渦巻き模様も乱れていませんし、はて、どんな風に網の張りを調節しているのでしょう。
たった1種類のクモでも、生き物を見ていると次々に疑問が沸き起こってきて、飽きません。

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養蚕日誌(6/29)クワとヒメコウゾ

博物館で飼育しているカイコは、5齢になっています。担当者が数日留守にしたので、その間ちょっと展示をお休みして、カイコも低温の場所で静かに眠っていてもらいました。昨日(6月28日)から給桑、展示を再開しました。

5齢になったカイコ

さて、5齢になると、食べるクワの量が格段に多くなります。博物館で飼育している約200頭のカイコのエサをまかなうには、一日数回、枝ごといくつも採ってこないととても追いつきません。
調査や出張授業などで外へ出た時は、頭の中の「クワマップ」を頼りに寄り道をして、道端に伸びているクワを採ってきます。昨日もそんなクワポイントに寄ると・・

左右で別の種類の木が写っています

見事に瑞々しい葉がたくさんついていたのですが・・よく見ると左右で色合いが微妙に異なります。じつはこれ、右側の明るい黄緑がクワなのですが、左のやや暗い色はクワではありません。ヒメコウゾという、クワ科の近縁種なのです。下の写真は、上側がヒメコウゾで、下側がクワです。そっくりな葉です。

ヒメコウゾの葉

クワの葉

どちらも葉の形は多型で、一慨に特徴を分けられません。あえて言えば枝の色が、ヒメコウゾは赤紫っぽいのに対して・・

茎が赤紫のヒメコウゾ

クワは緑(1年枝)か、ベージュ色(2年以降の枝)です。

茎が緑色のクワの一年目の枝

果実はまったく見ためが異なるのですが、今の季節はすっかり落ちてなくなっています。

ヒメコウゾの果実

クワの果実

カイコにヒメコウゾの葉をあげると、少し食べます。はじめからヒメコウゾをあげていると、ある程度食べて育つのですが、クワで育てるのに比べると、とても成長が悪くなります。
結局、葉の質感や微妙な色合いの違いで私たちは見分けているのですが、「カイコのために」と思ってクワを探していると、なぜか識別はまったく難しくないのが不思議ですね。

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小さなマネキグモ

写真は、マネキグモの幼体です。

体の大きさは、足先まで含めて2mmくらい。
まるで踊っているように見えますが、実は両方の第1脚で1本ずつ糸をつかみ、第4脚2本で1本の糸を保持しています。この「Y字」スタイルは、大人になってからと同じ、獲物を待ち受けるポーズです。
小さいので、なんとなく可愛らく見えてしまいます。

そして、こちらは第1脚、第4脚とも1本の糸を持っている、まっすぐにのびたポーズ。
この姿勢でも、獲物を待ち受けます。

もはや、糸にひっかかったゴミにしか見えません。いつもながらほれぼれしてしまう擬態です。
5月にこの場所で成体を見かけたので、その子どもでしょう。
このまま無事に成長して、たくさんの成体を観察できるようになるのが楽しみです。

 

 


2018年5月25日に見かけたマネキグモ(メス成体)どこにいるかわかりますか?

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地質学講座第4回 岩殿山の岩石の観察

6月24日に地質学講座第4回目を実施しました。今年度の地質学講座の最終回です。
岩殿山で岩石を観察しました。

前日からの雨も上がり、暑いくらいの天気でした。

岩殿山に向けて出発!

まずは登山道の入り口で岩殿山の南麓に分布している岩石を観察しました。ここでは海底火山の噴出物が固まった岩石が観察できます。岩殿山をつくっている岩石よりも風化されやすい岩石です。

岩殿山の岩壁へ向かう前に小休止。ここから傾斜が急になります。

岩壁の近くで岩殿山をつくっている礫岩(れきがん)を観察しました。石老山の礫岩とよく似ています。

地質学講座としては、ここで終了。
岩殿山には戦国時代の山城、岩殿城がありました。ここからはオプションとして、当館の歴史担当学芸員による解説で城跡としての岩殿山を見学しました。

岩殿山をつくっている礫岩は侵食に強く、一方で岩殿山の北と南に分布する火山噴出物は侵食されやすい岩石です。長い年月の間に周囲の岩石が削られた結果、硬い礫岩の部分が削り残され、岩殿山ができました。その急峻な地形を利用してつくられたのが岩殿城です。
地質学と歴史学のコラボレーションで、ブラタ○リ風の観察会となりました。テーマは「なぜ岩殿山は堅牢な山城となったか?」といったところでしょうか。

梅雨の時期なので、天気が心配でしたが、充実した観察会を行うことができました。

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机の周りに来るクモ

机で仕事をしていると、視界の隅にピョンピョンと飛び跳ねているクモ見かけることがよくあります。
ハエトリグモの仲間です。

 
アダンソンハエトリ(オス)
名前からしてかっこいいですが、黒地に白い模様が目を引きます。

 
ミスジハエトリ(オス)
こちらもくっきりした縦筋と独特の斑紋に、目の上の赤い帯が特徴です。

実はこれら2種は、屋内に住んでいる種です。小さなカやハエなどを捕えて食べて暮らしています。いずれもメスはもっと地味な姿ですが、生活の仕方は同じです。
関東地方では、あともう一種「チャスジハエトリ」を覚えておくと、屋内性ハエトリグモの名前をほぼ言い当てることができます。
しかし、時々迷い込んでくるやつもいます。

 
アオオビハエトリ(メス)
基本的に屋外にいるクモなのですが、博物館の事務室では比較的頻繁に見かけます。
オスはきれいな青と赤の帯があるのですが、この個体はメスで、ちょっと渋めの色合いです。
アリを食べる習性があるので、外壁を歩きまわっているうちに、迷い込んでしまうのかもしれませんね。

どの種もみなさんの身近に出没しているかもしれません。
今度出会ったら、名前当てに挑戦してみてはいかがでしょうか。

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