ヒルガオ科番外編

初夏から順次ご紹介してきたヒルガオ科植物も、市内で生育しているものはおおむね出そろいました。
じつは、ヒルガオ科ということで言えばもう少しマイナーなものもあるのですが、写真も無いので今年は見送ります。かわりに、市内には生育していないものの、場所によっては普通に見られるものをご紹介します。
まずは、代表的な海浜性植物のグンバイヒルガオです。

軍配形の肉厚の葉は、いかにも砂浜に生える植物という風情です。写真の株は奄美大島の写真です。ほんとうは、相模湾沿いにも見られるハマヒルガオをご紹介したかったのですが、花の良い写真がありません。申し訳程度に葉の写真を・・花はヒルガオそっくりです。

そして、こちらも奄美大島や沖縄諸島に多く逸出しているゴヨウアサガオです。

まるでアケビの葉のように5枚の小葉が掌状に広がり、特異な姿をもつ多年生のアサガオです。
熱帯アメリカや東南アジア原産の園芸種はまだほかにもいろいろとありますが、少なくとも神奈川県内では野外に安定して自生しているものはありません。
かつて線路沿いなどに見られたセイヨウヒルガオは、近年ほとんど見られなくなりました。ヒルガオ科の外来種も栄枯盛衰があるようです。
来年もまた花が咲くたびにご紹介するかもしれませんが、今年のヒルガオ科のご紹介はとりあえずここまでといたします。
(生物担当学芸員 秋山)

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有害生物調査と殺虫剤散布

今日は休館日を利用して,有害生物調査と殺虫剤散布を行いました.

有害生物調査の結果,害虫防除の必要が生じた場所には殺虫剤を散布します.今回の殺虫剤散布は,先月実施したガスくん蒸のような大規模なものではなく,比較的簡便なものです.今回は大型収蔵庫,考古収蔵庫,実習実験室に殺虫剤を散布しました.

殺虫剤の散布と同時に,有害生物調査のためのトラップも設置しました.

(地質担当学芸員 河尻)

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モミジルコウ

ヒルガオ科も咲き残っているのはマルバアサガオが目立ち、ほかの種類はほとんど咲き終わってきています。
そんな中、ちらほらと庭先などで異彩を放つ色合いで咲いているヒルガオ科の花があります。モミジルコウです。

以前ご紹介したマルバルコウに近い種類です。というより、ルコウソウ(ほんとうはこちらを紹介したかったのですが、花のよい写真がありませんでした)とマルバルコウの雑種由来の園芸種とされています(ホントかどうかは定かではありませんが)。確かに、ルコウソウほど葉の切れ込みが細かくなく、花色も上の写真のものは強烈な紅色ですが、下の写真のマルバルコウに近い朱色のものもあります。

ルコウソウは葉っぱの写真だけあります。でも、ルコウソウの花は上のモミジルコウの花とほぼ同じです。星形に咲く(桔梗咲き)もよく出ます。

なんとまあ変わった葉っぱです。魚のあばら骨みたいですね。
でも、この葉がつるから広がるようすはちょっと涼しげで何とも言えない風情があります。ルコウソウは白花も知られています。
ルコウソウやモミジルコウの花を見ると、ヒルガオ科の季節も終わりかな、と感じられます。
(生物担当学芸員 秋山)

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カワラノギク開花

今日、午前中に山地の現地調査を済ませた帰りがけ、市内緑区の神沢河原へ寄ってみました。このところの晴天と低めの気温であの花が咲いているかなと・・。

カワラノギク、咲いていました。まだちらほらという感じで、花も小さめのものが多くてやっぱり見頃は20日前後かなというところです。
そしてもうひとつ、先日の台風で冠水した箇所にあったカワラハハコのようすも見に。

ふだんはこの場所にびっしりとカワラハハコが咲いているはずですが、一面裸地の丸石河原に。
いやいや、カワラハハコはそんなにヤワな花ではありません。よーく地面を見てみると・・。

ちゃんと残り株がありました。しっかり咲いています。

ほんとうにこの花はしぶとく力強いです。このまま大きな冠水がなければ、来年はおおかた復活、2年後には元通りになっているでしょう。
ちなみに、これは昨年の同じ時期の写真です。

相模川の中でも、カワラハハコのこれだけの大群落はほかにありません。またこんな光景が見られるのが楽しみです。
それにしても、気持ちの良い秋晴れの一日でした。

ススキが青空に映えまくっていました。
(生物担当学芸員 秋山)

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美しいカイコ蛾

なにを今更、という感じですが、今朝羽化していた品種「乞食」の成虫を見て、ちょっと驚きました。

上の写真はオスですが、翅がきれいな三角形にほぼ伸びきっているのです。チョウやガならあたりまえの様に思えますが、カイコに限ってそうでもありません。すでに飛ぶ能力を失った昆虫なので、翅が縮れたり、うまく伸びきらないものが多いのです。下は、品種「青熟」のメス成虫です。

メスは体が大きいせいか縮れてでてくるのが多いのであまり比較になりませんが、乞食の成虫は、オスもメスもはばたくとなんだか飛んでいってしまいそうな感じです。江戸時代の浮世絵「蚕養草」(かいこやしなひそう 養蚕の教科書であったとされます)には、飛んでいるカイコの成虫が描かれています。本当に飛んでいたのかどうかはわからないのですが、そんなことを想起させるような立派な成虫でした。

繭の色の金色(こんじき)が転訛したうえに稚蚕期のおとなしさなどからこんな品種名になってしまったようですが、つくづく品種名は「金色」でよかったのに!と思います。でもとにかく、おもしろく美しいカイコです。
(生物担当学芸員 秋山)

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黒くて丸いクモ

先日紹介したクロマルイソウロウグモ。
その時は空腹時だったのか、あまり「丸い」感じではなかったのですが、正に、という感じの個体に出会ったのでご紹介します。

今年はなぜか博物館の前でこのクモをよく見かけます。割と局地的に出現するイメージがあるのですが、本当にそういう事なのかもしれません。(学芸班 木村)

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今日はコウモリ

今日、市内の方が「コウモリみたいなもの」を博物館へ持ち込まれました。
一週間ほど前に室内に入ってきて飛び回っていたものの外へ出てくれず、隠れてしまったと思ったら今朝、部屋の隅で見つかったそうです。

すでに死亡していたので、引き取らせていただくことに。
種類はアブラコウモリでした。もっとも普通に生息する種類ですが、小さな哺乳類なので標本は手に入りにくく、あまりありません。

アブラコウモリの飛膜は指の間から腕、胴、後ろ足、そして尾へとつながっています。バットマンのマントのように手で持ち上げて腕の下に伸びていると思われていますが、だいぶ違いますね。そのため、飛膜の上方に出ているのは第1指(親指)だけです。

貴重な資料が文字通り舞い込んできて、とてもラッキーな気分になりました!
(生物担当学芸員 秋山)

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蛹ならば・・

先日、カイコの幼虫期のオスメスをどう見分けるかについて書きました。
はっきり言って分かりづらかったと思います。でも、蛹になるとわりあいわかりやすくなります。
やはり最尾部を見ます。こちらがメスです。

そして、こちらがオス。縦の模様の入り方や、幼虫期のポイントだった腺がより明瞭になっているのがわかります。

と、ここまで書いておいてなんですが、大きさを見れば一目瞭然です。

左がメス、右がオスです。もちろん、栄養状態などによって大きさは左右されます。でも、同じ品種を同じタイミングで、同じ容器で育てたものであれば、大きさが逆転することはまずありません。メスはお腹に400個以上の卵を持っていますから、大きさが二回りくらい違うのです。
確実に採卵する場合は、こうして繭を切って前もって蛹を出しておきます。ちなみにこの蛹は、品種「乞食」です。
(生物担当学芸員 秋山)

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秋の里山

今日は相模原植物調査会のみなさんと、津久井方面の里山へ調査に行きました。
このところの雨と晴天の繰り返しで、キノコがいろいろと出ていましたが・・・

先日、ニュースで中毒事故があったと報道されていたテングタケです。幼菌は卵からかえったようなかわいらしいキノコなのですが、代表的な毒キノコです。
沢へ下りると、ハンミョウがいました。真夏の虫のイメージですが、まだまだ体の光沢は健在です。

コカマキリの写真を撮っていたら「んだオラァ」と睨まれました。

ヤマホトトギスが咲いていました。なんだかこの花を見ると「お嬢様」と言いたくなります。

調査を終えて森から出ると、空には高積雲の波状雲が広がっていました。

秋も深まってきました。
(生物担当学芸員 秋山)

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産んでます

一昨日羽化しだしたカイコ在来品種は、今日もぞくぞくと成虫が出ています。
小石丸を交尾させた後離しておいたら、午後遅くに産卵をはじめました。

こういうの、苦手な方には申し訳ありませんが、実際に見ているととても神秘的な光景です。

ところで今日、秋の展示準備としてこんな写真を撮影しました。これは、クワの葉です。そして、この写真は写っている葉っぱの量に意味があります。

カイコが一生で食べるクワの葉の量を表しています。だいたい25グラムと言われています。カイコを育てたことがある人は、おそらくこの写真を見て「たったこれだけ?」と思うでしょう。5齢になってからの食べる勢いからすると、少なく思えます。
もちろん、25グラムには葉柄や葉脈は含まれません(食べ残すので)。また、特に若齢期は葉のほとんどの部分を食べ残します。だから、実際にカイコ1頭あたりにあげる葉の量というと、この何倍にもなるでしょう。
カイコを飼うには、やっぱりクワの確保が一番重要な要件なのです!
(生物担当学芸員 秋山)

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