石の顕微鏡写真、専門雑誌の口絵を飾る!

現在、相模原市立博物館にて企画展「石のステンドグラス2〜偏光顕微鏡の世界〜」が開催されています。6月25日(日)までです。

このポスターとチラシに使った写真が専門雑誌「博物館研究」2023年第5号のカラー口絵ページに掲載されました。

「博物館研究」に掲載された写真

「博物館研究」はA4サイズの月刊誌で、美術館・博物館に関わる論文や全国の展覧会情報などが掲載されている専門的な雑誌です。カラー口絵ページには美術作品が掲載されることが多く、岩石の偏光顕微鏡写真が掲載されるのは初めてのことではないかと思われます。

「博物館研究」はインターネットでは公開されておりませんが、相模原市立博物館2階 市民研究室でご覧いただけます。

「博物館研究」に掲載された写真は企画展会場奥の「石のステンドグラスコーナ」に展示してあります。

他にも岩石の美しい偏光顕微鏡写真が展示してありますので、ぜひご来館いただき、一味違った岩石の世界をお楽しみ下さい。

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フデリンドウのその後

4月初旬から中旬にかけて博物館周辺で花を楽しませてくれたフデリンドウも、花期が終わり、周りの植物の背が高くなってすっかり埋もれてしまいました。今、どうなっているのでしょうか。
注意深く探さないと見つからないのですが、このような姿です。

現在のフデリンドウ 若い果実がふくらみつつあります

フデリンドウは越年草(えつねんそう)で、春の終わりに結実して株の周辺に種子が散ると、あっさりと枯れてしまいます。ほかの植物の成長が旺盛な夏は種子のまま休眠し、秋の終わりに芽生えます。

フデリンドウの芽生え 真冬の1月に撮影したもの

小さな芽生えのまま冬を越し、早春に花径が伸びて花を咲かせます。一生のサイクルとしては一年草ですが、秋に芽生えて年を越すこのような草花を、越年草と呼びます。

フデリンドウの花 2023年4月撮影

フデリンドウの種子が実る様子もなかなか面白いので、今月末頃、このブログでそんな姿もお伝えできればと思います。
(生物担当学芸員)

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ヤマトシロアリの飛び立ち

5月4日、博物館お隣の樹林地を歩いていると、朽ちかけた木柵の表面が動いているように見えました。近づいて見ると、ヤマトシロアリの有翅虫(ゆうしちゅう)がうごめいているのでした。

木柵の上にたまるヤマトシロアリ

シロアリと言うと家屋害虫(主にイエシロアリ)ですが、ヤマトシロアリは野外で普通に見られるシロアリで、湿った場所の朽ち木をすみかにしています。乾いた木柵から出てくるのはちょっと意外でしたが、有翅虫が飛び立つところはタイミングが良くないと見る事ができないため、動画も撮影してみました。

家屋内では害虫のシロアリですが、自然の中では枯れ木を効率よく分解させるための前処理(ボロボロに崩す)をするため、生態系の中で重要な役割を担っています。
春が進み、生きものの動きが活発になっています。近くの地面では、ムクドリが一心不乱に何かをついばんでいます。

オオヒラタシデムシを捕まえたムクドリ

オオヒラタシデムシを捕まえたようです。おそらくオオヒラタシデムシは抵抗して強烈な臭いを出しているはずですが、ムクドリはお構いなしです。さらに、別のムクドリが草むらへ首を突っ込んだかと思うと、ニホンカナヘビをつまみ出しました。

カナヘビを捕まえたムクドリ

尾を自切して抵抗したものの、ムクドリには通用しなかったようです。
食べる-食べられるの関係は生態系の重要な要素ですが、生々しいシーンを目にすることが多い季節になりました。
(生物担当学芸員)

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賑やかな春の河原

市内緑区の相模川の河川敷は、春真っ盛りです。早春から繁殖期が始まるエナガは、すでに巣立ち雛が元気に飛び回っています。

エナガの巣立ち雛

一方、親鳥はこちらです。1回の繁殖で10羽前後のヒナを育てるため、ちょっとやつれ気味ですね。

エナガの親鳥

湧水が染み出た場所の近くでは地面にモンキアゲハが集っていました。

吸水中のモンキアゲハ

関東地方では最大級のチョウです。もともと南方系の種で西日本に分布していましたが、近年は東北まで分布を広げています。

飛び交うモンキアゲハ

今年は春の花の多くが早めに開花していて、例年、連休後に咲き始めるジャケツイバラがもう咲いていました。

ジャケツイバラの花

新緑も日に日に濃くなって、河原は春から初夏の様相へと変化しています。
(生物担当学芸員)

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さがみんクイズにチャレンジしよう!

相模原市立博物館の自然・歴史展示室と天文展示室内に設置している「さがみんクイズ」が、このたび約3年ぶりにリニューアルしました!

自然・歴史展示室の入口には、さがみんクイズのサインパネルが!

さがみんクイズとは、相模原市マスコットキャラクター“さがみん”が館内の常設展示にちなんだクイズを出題してくれるもので、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」が企画・制作しました。

正解は…めくって答え合わせ

クイズは当館の常設展示を構成する各分野のコーナーから出題されています。さがみんがどこにいるか探しながら、展示をヒントにクイズに挑戦してみてください!

クイズと答えはどこにあるか、探してみてくださいね!

また、今年のゴールデンウィークは市民学芸員による「五月人形展示」を開催しています。5月5日(金・祝)には、お子様限定関連イベントとして、折り紙の独楽(コマ)のプレゼントやこどもの日にちなんだ格好で写真撮影できるフォトスポットを用意します。
市民学芸員の新作さがみんクイズと合わせて、ぜひお楽しみいただければと思います。

(歴史担当職員)

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ギンラン開花

博物館の前庭で、ギンランが開花しています。

ギンラン

野生ランの中では比較的普通に見られる種類ですが、それでもやはり盗掘に遭いやすく、また、環境の変化に敏感なため、市内の緑地でも分布は局地的です。
背丈は10~20センチメートルほどと小さく、よく目を凝らさないと見つかりません。それでも、まぎれもなくランの仲間だけあって、立体的でとても美しい花です。

ギンラン ランの花らしく、立体的で複雑な形の花

今年は春の花の開花が軒並み早いのですが、ギンランは例年どおりの開花でした。連休いっぱいくらい、清楚な花を楽しめそうです。
(生物担当学芸員)

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枯損木の見分け方の講習を行いました

4月16日に市内緑区のキャンプ場で起きた大変痛ましい事故を受け、4月26日、市観光・シティプロモーション課主催で枯損木(こそんぼく)を見分け方を学ぶ講座を実施しました。講師として当館生物担当学芸員が出向き、座学と野外講習を担当しました。会場には市内のキャンプ場関係者など約20名のみなさんが集まりました。

青野原野呂ロッジキャンプ場のご協力を得て実施しました 報道各社も取材に来ています

樹木が生きたまま倒れるのは、災害レベルの強風や地滑り、土石流、落雷など外から大きな力が加わった場合です。つまり、周りの木が倒れていないのに、ある木が突然倒れるとしたら、それは枯死していたからです。今回は、そうした枯死に至る主な原因やその過程について見方を紹介しました。

樹皮がささくれたりめくれたミズキの枯死木

周りが青々した葉が伸びているのに、枝に葉が無い枯死木(ミズキ)

木が枯死に至る場合、多くは枝葉末節から枯れていきます。周りが青々した葉をつけているのに、葉のついていない枝が目立つとしたら、その木はかなり不健康な状態になっています。そうした木がいずれ全体的に枯れて倒れる可能性がある様子を、雨が弱まった野外でも見ていただきました。

野外で講習

現場でも、枯死して中折れした木がありました(野外講習の会場は閉鎖中の野外活動施設です) つる植物が異様に巻き付いているのも枯死の前兆です

野外活動におけるリスクマネジメントの基本は、危険の予測と把握、回避です。しかし、これをバランスよく行わないと、究極的に危険を回避するためには「野外活動を行わない」という逆説に行きついてしまいます。博物館でも様々な野外活動を行います。危険の可能性をどこまで把握して受け入れた上で野外活動を行うかを考えるきっかけにもなりました。
(生物担当学芸員)

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“どうする家康”関連ミニ展示、吉野宿ふじやに出張中!

現在、2023年のNHK大河ドラマ“どうする家康”にちなんだ出張ミニ展示「相模原にもあった!?徳川家康ゆかりの地」を、吉野宿ふじやで絶賛開催中です。

展示会場入口

このミニ展示は、ドラマの放送開始に合わせ、今年1月~3月に相模原市立博物館で開催した展示と同一の内容で、吉野宿ふじやに出張して行っているものです。(当館開催時のミニ展示解説はこちら→)
おもに相模原市内にある、ドラマの主人公・徳川家康やその祖先、重臣(おもだった有力な家臣)ゆかりの地を紹介していますので、当館での展示をご覧になれなかった方、もう一度展示をご覧になりたい方、吉野宿ふじやに行ってみたいけど行ったことがない!という方、たくさんのご来場をお待ちしています。

「ゆかりの地」は写真と周辺地図でご紹介。

各伝承地は、写真と周辺地図で紹介しています。もうすぐゴールデンウィークですので、展示をご覧になった後、気になる場所に歴史探訪してみるのもおすすめです。

絵葉書は写真パネルでご紹介。

この出張展示では、実物の絵葉書が展示できない代わりに、当館で3回に分けて展示した「絵葉書に描かれた霊柩遷座のまちなみ」をパネルで一挙に紹介しています。博物館では資料への影響を考慮して、1ヶ月ごとに内容を入れ替えていたのですが、今回はお気に入りの絵柄が見られなくなってしまう…という心配もございませんので、会期中にじっくりご覧いただければと思います。
展示期間は5月28日(日)まで、土日と祝日のみ開館しています。週末やゴールデンウィークは、ぜひ吉野宿ふじやへおでかけください。

また、吉野宿ふじやの会期終了後は、別の会場で巡回展示を予定しています。詳細は決まり次第、当館ホームページや各SNSでお知らせします。

(歴史担当職員)

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【市民学芸員かわら版】市内のうまいものめぐりはいかが?

現在、相模原市立博物館1階の休憩コーナーに、「市民学芸員かわら版」を掲示しています。

情報サービスコーナー入口側が定位置です。

これは、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」の情報発信チームによるもので、掲示物の作成はもちろん、企画から素材集め、取材まで、日頃の活動の成果を活かし、すべて自分たちの手で行っています。

内容は数ヶ月毎に入れ替えますが、今回のテーマは「相模原産うまいものめぐり」です。
市民学芸員が、本市の区役所や観光協会、産業振興財団、農協などから情報提供や指導を受け、独自に選定・取材した各地域の名産品を、マップ・写真とともにわかりやすく紹介しています。

見ているだけで食欲をそそられます!

紹介している名産品は、緑区藤野の柚子や、相模川の初夏の風物詩・鮎など市内を産地とした食品や、「たまご街道」のプリン、酒まんじゅうといった、地域の歴史にゆかりがあるものなど様々です。

市内のこだわりスイーツを紹介したパンフレット「お店のイチ推し!さがみはらスイーツ」(観光・シティプロモーション課発行)と併せてご覧いただいても楽しめるかもしれません。

もうすぐゴールデンウィーク。今年の連休は、相模原市内の“うまいものめぐり”をされてみてはいかがですか?

(歴史担当職員)

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トークショー「植物に生涯を捧げて 牧野富太郎の足跡」を開催しました

4月22日、ミニ企画展「日本の植物学の父 牧野富太郎」の関連イベントとして、トークショー「植物に生涯を捧げて 牧野富太郎の足跡」を開催しました。

たくさんのご来場者をお迎えして始まりました

NHK朝ドラの効果はやはり大きく、たくさんの皆様にご来場いただきました。講師の山本正江さんは、昭和37年から東京都立大学牧野標本館の職員として牧野標本に関わってこられました。おそらく、誰よりも牧野標本を手に取ってこられた方です。
かつて世田谷にあった牧野標本館でのお仕事の様子、牧野標本の整理方法、牧野富太郎の足跡を追う仕事など、直接ご本人から伺う貴重な時間となりました。

学芸員がインタビューする形で語っていただきました

牧野富太郎が生涯に残した標本は約16万点と言われ、その整理作業は現在も完了したとは言えないそうです。植物標本を学術資料として後世に残すためには地道な作業が必要で、それがどんな様子で行われてきたかがよくわかりました。

牧野標本を扱う上でのご苦労など伺いました

牧野富太郎が文字どおり全国を駆け回って集めた植物標本の学術的価値は、今後も年月とともに大きくなっていきます。山本さんが様々な資料をたどり、点と点の間を埋めるようにして牧野博士の足跡をたどった作業もまた、標本の基礎を支えるものとして永久に残るのでしょう。
ミニ展示は5月31日まで続きます。そちらもぜひご覧ください。
(生物担当学芸員)

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