博物館収蔵資料紹介~給食のサンプル

博物館では、さまざまな内容や形態の資料を収集・保管していますが、この職員ブログでも紹介しているように、市民の皆様からご寄贈いただいた資料も多く、特に民俗の分野ではそうしたものがほとんどを占めています。

しかし、なかには寄贈以外の方法で収集した資料もあり、今回紹介する食品サンプルなどもそうしたものの一つです。

博物館で秋に行われる恒例の企画に「学習資料展」があります。この展示は、博物館の収蔵品を展示して「ちょっと昔」を紹介し、小中学生の学習に役立てるとともに、一般の方にも展示を通じて、かつての生活を振り返っていただくことを目的に開催しています。また、市民学芸員のメンバーと協働して展示を企画・実施しています。

展示内容は毎年テーマが異なっていて、学校生活を取り上げた年に、文字による説明だけでなく具体的に見て分かるものといった点から、給食を食品サンプルで再現しました。

最初の写真は昭和30年(1965)代を想定した給食で、コッペパンにおかずは鯨(くじら)の竜田揚げ(たつたあげ)と脱脂粉乳(だっしふんにゅう)です。また、二枚目の写真は、小型のパンとスパゲティミートソース・菜の花和えに牛乳が付いた昭和49(1974)年の給食で、洋風のおかずと牛乳に代わっています。                  

 

次の給食は、平成21年(2009)12月10日の中央区青葉小学校の献立から製作したもので、ツナピラフ・ミネストローネ・タンドリーチキンとゆでブロッコリー・ぶどうゼリー・飲むヨーグルトです。この日は「セレクト給食」として肉か魚を選べることができ、写真はA「おにく」で、以前の内容に比べてさらに充実し、デザートなども加わっています。                  

 

そして、数は多くありませんが、給食だけでなく家庭での食事の食品サンプルも製作しており、写真は御飯と味噌汁・めざし・煮物・たくわんで、昭和30年代頃までよく見られたものです。                   

 

給食の内容は、世代や地域によっても異なっています。皆様の食べた給食はどのようなものでしょうか。今年の11月1日(火)~来年1月15日に開催する学習資料展「昔の小学生-昭和30~40年代のこどもの世界-」では、今回紹介した一部の給食の食品サンプルをはじめ、さまざまな資料を展示します。それらを見ながら、給食の思い出を含め、今と昔の生活の違いなどを改めて考えていただけれは幸いです。

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丹沢の初冠雪(10月25日)

10月25日、博物館から見える丹沢の山々が初冠雪していました。
丹沢山を中央に見たあたりです。ちょっと高い木に阻まれていますが・・

博物館屋上から丹沢山を中央に見たところ

丹沢最高峰(つまり、神奈川県最高峰)の蛭ヶ岳(標高1673メートル)です。

丹沢最高峰の蛭ヶ岳

今朝のニュースで、中部地方などの山々が初冠雪と伝えられていましたが、丹沢の10月中の初冠雪はちょっと意外でした。例年、11月中旬以降が多いと記憶しているので、今年の初冠雪はちゃんと記録しておこうと思います。

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生きものミニサロン 麻布大学ミュゼットとコラボしました!

10月22日、毎月恒例の生きものミニサロンは、麻布大学いのちの博物館で展示解説を行うサークルの「ミュゼット」のみなさんとコラボレーションしました。折しもJAXA特別公開と重なり、たくさんの来館者が見込まれたため、10時、12時、15時の1日3回実施としました。

いつもと違う、生きものミニサロンの風景です!

内容は、いのちの博物館から持ち込まれたたくさんの骨格標本を用いた「出張展示解説」です。特に目を引いたのは、アフリカゾウの頭骨(上あご)と下あごです。巨大な骨に「これ本物?」と質問されていた方が多くいました。もちろん、本物です。重さも体験してもらいました。

持てたよ!

準備をしている最中から、どんどん人の群れに囲まれていきます。学生さんたちはそんな中でも臨機応変に進めてくれました。

動物、鳥類などたくさんの骨格標本を用意してくれました

骨のスケッチも取り入れています。

スケッチして形を確認します

こちらは手首の骨(手根骨:しゅこんこつ)の実物立体パズルです。結構難しくて、大人も苦戦していましたが、そのぶん、できた時の喜びも大きくて盛り上がりました。

手根骨の実物立体パズル

3回目の15時の回は、お客様が途切れた16時すぎまで続き、さすがにミュゼットのみなさんも疲れた様子でしたが、しっかりやり遂げてくれました。
麻布大学は、今週末の10月29、30日に麻布大学祭を開催します。そこでもミュゼットのみなさんはいのちの博物館で展示解説を実施します。ぜひご来場ください。また、現在当館といのちの博物館は様々な面で連携を進めていて、ミニ展示「鎌倉時代初めの相模原の武士団 横山党」を巡回展示中です。大学祭に行かれる方は、こちらもぜひご覧ください。
生きものミニサロンは、今後もこうしたコラボ企画を進めたいと考えています。来月は11月26日(土)12時から、通常どおり1回の実施です。

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ひつじ雲

10月21日、午後の空にひつじ雲が広がりました。博物館の屋上に出てみると、西側の空が一面覆われていて、遠近感のある美しい空の景色でした。大山を中央に見た方角です。

丹沢方面を眺めた空に、ひつじ雲

ひつじ雲は、雲のできる高度の分類では中層(2000~7000メートル)にできる高積雲になります。さらに、上の写真のように一面に広がる状態を雲の種類では層状雲と呼びます。シートを広げたような雲(cloud)なので、英語でもクラウド・シートと呼ばれます。層状雲は、空の広い範囲に均一に広がるため、空を広く見上げられる場所ではダイナミックな遠近感を感じられます。

ひつじ雲やいわし雲(巻積雲)は、遠近感を感じやすい雲です

博物館から、特別公開(本日はオンライン)真っただ中のJAXA相模原キャンパス方面の空です。光に向かって進む、羊の群れの最後尾といったところでしょうか。

博物館から南東側の空

写真を撮影して館内に戻り、1階エントランスからふと天窓を見上げると・・

1階の天窓から見えた空

ひつじ雲からたくさんのすじ雲が出ていました。これは雲の分類では副変種の尾流雲(びりゅううん)と呼ばれ、高めの高度の雲からの降水が、空中で蒸発してしまうため雨にはならず、すじ状に見えているものです。美しいひつじ雲をさらに装飾する尾流雲を見られ、ちょっと得した気分になりました。

ひつじ雲の雲片からすじが流れ、尾流雲となっています

青空に広がる層状雲は、いかにも秋の空のイメージがありますが、実際にはどの季節にもできます。この季節は気温も高すぎず、晴れた空を見上げる余裕が生まれるからでしょうか。確かに秋は、雲観察をしたくなる季節です。

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学芸員によるリレー解説!

先日、市内緑区橋本を拠点に、地域の歴史を伝え、愛着を深めるためのPR活動をされている「橋本の歴史を知る会」の会員の方10名が展示見学にいらっしゃいました。

オリエンテーション中。これからリレー解説が始まります。

相模原市立博物館には、常設の「自然・歴史展示室」、「天文展示室」、時期によって様々な企画展を開催している「特別展示室」の3つの展示室があります。
会からのご要望ということもあり、今回は自然・歴史展示室の橋本地区に関わりが深い部分を重点的に、各専門分野3名の学芸員によるリレー形式で展示解説を行いました。

まずは、オリエンテーションとして当館の来歴をお話しした後、地質担当の学芸員が相模原の台地や、地層の成り立ちについて解説しました。
相模原の台地が、遠く離れた富士山や、それよりもさらに遠い九州地方から飛んできた火山灰が降り積もったことによりできていると知り、みなさん驚きのようでした。

地層のはぎ取り標本の前で展示解説しています。

次は、考古担当の学芸員による、橋本地区で発掘された橋本遺跡や、古代から中世までの埋蔵文化財についての解説です。
食料となる獲物を追って移住生活を送っていた時代に、石器やその材料をどのようにして手に入れていたのか、展示されている資料を見てたくさんの意見や質問が飛び交いました。

昔の人が使っていた石器にみなさん興味津々です。

最後に、民俗担当の学芸員から、江戸時代以降の新田開発や近代化、終戦後の爆発的な人口急増などによって移り変わってきた人々のくらしについて解説を行いました。
展示室の最後にある「地域の変貌」のコーナーでは、市内の工業地・住宅地・商業地が形成されていく様子を、定点観測のように500分の1のジオラマで再現しています。長く相模原市にお住まいの方は、当時の目まぐるしい変化に思いを馳せていたようです。

まちの様子はどのように移り変わっているでしょうか?

約2時間の長丁場でしたが、みなさん終始興味深そうな様子で学芸員によるリレー解説をお聞きいただきました。

当館では、このような展示解説の依頼を受ける場合、見学者のニーズに寄り添うため、必ず事前に打ち合わせを行います。いつでも同じ資料を見られることが魅力の常設展示ではありますが、どこに解説のポイントを置くかによって、違った見方や新たな気づきにつながると思います。
また、感染症対策に留意しながらも、こうした対面での展示解説も徐々に再開しつつありますので、学芸員の生解説により、展示をご覧の方の学びのお手伝いができれば嬉しい限りです。

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【麻布大学にて出張展示中!】大河ドラマ関連ミニ展示「鎌倉時代初めの相模原の武士団 横山党」

令和4年10月20日(木)から12月23日(金)までの期間、現在絶賛放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にちなんだミニ展示「鎌倉時代初めの相模原の武士団 横山党」を、市内中央区淵野辺の麻布大学いのちの博物館(※1)で出張展示しています。

麻布大学いのちの博物館

この展示は、大河ドラマの放送開始に合わせて今年の1月から相模原市立博物館で開催したことを皮切りに、当館所管施設の吉野宿ふじや尾崎咢堂記念館と市内各所を巡回して来ました。そして、年内に完結予定の「鎌倉殿の13人」放送期間中、最後の展示を縁あって麻布大学いのちの博物館で開催することになりました。

展示の様子

鎌倉時代初期に活躍した相模原の武士団「横山党」や、13人の御家人の1人で市内に伝承がある「和田義盛」ゆかりの地を紹介していますが、展示をご覧いただけるのは恐らくこれがラストチャンスになります!
横山党野辺氏館跡伝承地の「上矢部土塁」(中央区上矢部)は、麻布大学いのちの博物館から徒歩11分の場所にあるので、ご来館の際に併せて訪れてみてはいかがでしょうか?

上矢部土塁

当館と麻布大学いのちの博物館ではこのほかにも様々な場面で連携をしており、今週22日(土)のJAXA相模原キャンパス特別公開(※2)日には、展示解説サークル「ミュゼット」のみなさんとコラボイベントを予定しています。こちらもお見逃しなく!

※1…麻布大学いのちの博物館の入館は事前予約制です。入館希望日の3開館日前までに042-850-2520(直通)へ電話予約をお願いします。その他、開館情報の詳細は麻布大学いのちの博物館ホームページをご確認ください。
※2…JAXA特別公開は、10月21日(金)・22日(土)で、21日(金)はオンライン開催、22日(土)は対面での開催となりますが、22日(土)の事前申し込みはすでに締め切られていますのでご注意ください。なお、当館への入場は通常どおりで、どなたでもご入館いただけます。

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今月の生きものミニサロンは麻布大学ミュゼットとのコラボです!

10月22日(土)はお向かいのJAXA相模原キャンパス特別公開の日です※。博物館でもいくつかのイベントが組まれており、たくさんの方のご来館が見込まれていますが、そんな中、毎月恒例の生きものミニサロンを実施します!そして、今回は、麻布大学いのちの博物館との連携事業の一環として、同博物館で展示解説などを行うサークル「ミュゼット」とのコラボレーションで行います。今日(10月20日)、なにやら巨大な骨が運ばれてきました。

ミュゼットの学生さんと、「いのちの博物館」館長の島津徳人先生が搬入してくださいました

さて、こんな大きな骨と言えば・・

ゾウの下あごの骨(実物)です

そうです、ゾウの下あごの骨です。ということは、上あごも・・こちらは当日のお楽しみとしましょう!
生きものミニサロンは、通常は1日1回ですが、今回は、「麻布大学いのちの博物館出張展示解説」として3回実施します。10時、12時、15時からそれぞれ30分を予定しています。1階エントランス内の、自然・歴史展示室入口付近です。いつもとちょっと違う場所で行いますので、お間違えのないようお願いします。なお、当日は駐車場が大変混みあいます。博物館駐車場が満車の場合は、JAXA特別公開の臨時駐車場が設けられますので、そちらもご利用ください。

※JAXA特別公開は、10月21日~22日で、21日はオンライン開催、22日は対面での開催となりますが、22日の事前申し込みはすでに締め切られていますのでご注意ください。なお、当館への入場は通常どおりで、どなたでもご入館いただけます。

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オキナワスズメウリ

博物館近くのフェンス沿いに、かわいらしい果実が実っています。
オキナワスズメウリです。

オキナワスズメウリの果実

未熟な果実は黄緑色に白い筋が入り、それもかわいらしいのですが、それが徐々に真っ赤に熟します。

熟した果実

白い筋はそのままで、果実の色の変化を楽しむことができます。

色のグラデーションを楽しめるオキナワスズメウリの果実

名前のとおり、もともとこのあたりに自生する植物ではないため、外来種です。食用にもなりません。でも、このかわいらしい果実を見ていると、なんだか気持ちが和みます。

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大学の見学実習を行いました

10月15日、市内南区にある北里大学海洋生命科学部の学芸員養成課程の学生さんたちが来館しました。学芸員資格を取得するための講座「博物館資料保存論」の現地授業(見学実習)のためです。毎年、こうした見学実習を何度か受け入れますが、今回のように60名を超える規模のものは大変珍しく、複数の学芸員で対応しました。まずは、大会議室で当館の活動や資料保存の概要について説明します。

前半の講義の様子

続いて3班に分かれ、バックヤードツアーを行います。1つの班は、搬入経路や空調設備を見学します。

空調機械室内

館内全体の空調を整えるための機械や、ずらりとならんだパイプ、バルブなどに圧倒されます。さらに写真で伝わらないのが音です。グオングオンとうなりを上げる様子は、建物が一つの生きもので、その心臓の中に入ったかのように思えて迫力があります。
もう1つの班は収蔵庫の見学です。普段入ることのできない収蔵庫に入り、単なる倉庫ではない収蔵庫の機能などを現地で学んでもらいました。

収蔵庫に入ります

残りの1班は展示を自由見学してもらい、ローテーションしていきました。
展示は博物館の一面であり、その裏側に様々な機能や、蓄積された資料が存在することを実感してもらえたと思います。

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【本日から開催!】市史ミニ展示「キャンプ淵野辺の返還」

本日10月15日(土)から、市史ミニ展示「キャンプ淵野辺の返還」を開催しています。

展示全体の様子

平成30(2018)年2月に完了した『相模原市史(※)の編さん事業ですが、その後も市史に関連する出来事や編さん過程で収集した資料を、市史ミニ展示という形で広くお伝えしています。

今回のテーマは、ここ、相模原市立博物館の現所在地にもゆかりがある「キャンプ淵野辺の返還」です。

博物館の周辺一帯は、軍都計画の一環で東京から移転してきた「陸軍機甲整備学校」が第二次世界大戦後にアメリカ軍に接収されて「キャンプ淵野辺」となりました。その後、昭和40年代からさかんに行われた返還活動が結実して昭和49(1974)年に返還され、現在の姿になります。
展示では、「キャンプ淵野辺」の当時の様子や、返還活動が行われた際の相模原市の取り組みについて紹介しています。市内の身近な場所がかつては全く異なる施設として利用されていたことや、現在に至るまでの歴史的背景等をこの展示を通じて知っていただければと思います。

普段は市立公文書館が管理している歴史的公文書(昭和51(1976)年)の現物は見どころのひとつです!

来年1月9日(月・祝)までご覧いただけますので、多くの方のご来館を心よりお待ちしております。(毎週月曜日と、11月4日(金)、24日(木)、12月28日(水)~1月3日(火)は休館日です。)
また、展示をご覧になってさらに相模原市の歴史に興味をお持ちいただいた方は『相模原市史』も是非お手に取ってみてください。

※『相模原市史』は、博物館2階市民研究室や市内の図書館等でご覧いただけるほか、市役所行政資料コーナー(郵送対応可)、市内一部書店(相模原市書店協同組合加盟店)でお買い求めいただけます。

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