生物分野実習5日目(8/30)

こんにちは。博物館実習生(生物分野)の大川・武田・林部です。
本日は実習生展示に向けた準備を進めました。午前中は展示テーマや展示内容について話合いました。和気あいあいとした雰囲気で進んでいきます。

和気あいあいと進む展示企画の検討

午後からは、収蔵庫に足を運んで展示に使う標本を選びました。なかなか展示する標本が決まらず、最後は「せーの」で指さし。見事揃いました。

公平な選出方法です!

その後、解説パネルの作製を行いました。ニホンゴ、ムズカシイ…

今回の展示の主役、カワラノギクです!

学芸員実習の集大成である実習生展示は、9月の中旬から始まります!ぜひ見に来てくださいね!

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博物館収蔵資料紹介~火鉢などで使う道具

これまで取り上げてきたように、行火(あんか)や火鉢にはいろいろな形のものがあります。

次の写真は、博物館の五テーマ「地域の変貌」に展示してある資料で、手前の右側が行火(収集地・緑区下九沢)、その左側が角火鉢(中央区上溝)です。そして、奥に引き出しも付いた大型の長火鉢(中央区田名)が見えています。                 

なお、写真で手前の角火鉢の左にあるのは、丸い金属の部分に炭を入れ、布のしわを伸ばすために使った「ひのし」(中央区)で、後ろの長火鉢の右に見えるのはラジオ(中央区淵野辺)と扇風機(中央区上溝)です。

 

次の写真は、左側は金属製(緑区橋本)、右側は陶器(緑区宮下本町)の火鉢です。特に陶器の火鉢は、かつて結婚式などを自宅で行っていた頃に、訪れる多くのお客さんの暖房用として数多く必要で、個人の家ではなく地区で共同で保管していたものです。                 

 

火鉢には灰を入れ、その上に炭を置いて使いますが、火鉢の必需品とされていたものが、写真右の炭をつかむ「火箸・ひばし」(緑区上九沢)、写真中の灰をきれいにならす「灰ならし」(中央区上溝)、写真左の火鉢の中に置く台である「五徳(ごとく)」(南区当麻)です。五徳は足の部分を下にして立たせるようにして使うものもありました。                  

 

次の写真は、火鉢に五徳を据え、湯を沸かす「鉄瓶・てつびん」(南区当麻)を乗せたもので、火箸と灰ならしも置いてみました。このように火鉢は手をかざして温めるだけでなく、鉄瓶やヤカンでいつも湯を沸かしていました。                   

 

また、火鉢に限らず焼けた炭などを運ぶものに「十能(じゅうのう)」がありまず。写真の右側(緑区上九沢)はスコップのような形をしており、左側(南区相南)は運ぶだけでなく、丸い鉄の部分に炭を入れて直接火にかければ炭に火が付きます。                  

 

このように、一口に火鉢と言っても、関連するさまざまな道具とともに使われていたことが分かります。博物館には、このほかにもかつての生活で使われていたさまざまな道具を展示しており、皆様のご来館・ご見学をお待ち申し上げます。

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生物分野実習4日目(8/27)

こんにちは。博物館実習生(生物分野)の大川・武田・林部です。
本日は、実習生が企画した生きものミニサロン開催日です。
午前中は本番を想定した予行演習。話す内容や段取りの問題がボロボロと...
本番で手間取るわけにはいかない、少ない時間だけど確認。練習。確認。練習。

室内で予行演習と確認

12時になり本日1回目の開催。毎月、生きものミニサロンが行われている時間帯ということもあって、20人以上が参加してくれました。しかし、こんなにいてうまくできるのだろうか...

たくさんの参加者でミニサロン開始!

不安は的中。反省点だらけの1回目でした。時間配分・年齢層の見誤り、参加者が多くて全員に声が届かない。etc….

実習生は反省しかなかったのですが、ある参加者の方に
「参加してよかった」
と言ってもらえたのは救いになりました。

終わってから反省点の共有。2回目の開催である15時まで時間の許す限り確認。練習。確認。練習。
2回目は普段開催されていない時間帯にもかかわらず、呼び込みの甲斐あって13人が集まってくれました。

2回目はだいぶ進行もスムーズに・・

生きものミニサロンの中で見つけたニホンカナヘビです。解説したい生きものだったので、無事見つけられてよかった・・。

ニホンカナヘビ 参加者から「かわいい~」と声が!

1回目の反省点を踏まえて2回目は大きな滞りはなく進行できたような気はするけれど、まだ反省点は出てくる。けど、最後に自然に拍手が起こったのは印象が良かったからだ、と担当学芸員の方に言ってもらえて少し自信になりました。
2回目に出てきた反省点はもし次があったときのために忘れずにいたいと思います。

参加してくださった方、拙いところがたくさんあったと思いますが来てくだり、ありがとうございました。

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夜の生きものを撮影

博物館周辺の樹林地で、夜の生きものの様子を写真資料にするため、調査を行いました。
出だしから大物が登場です。

オオミズアオ

オオミズアオです。幅15センチメートル以上もある大型の蛾で、青白色の翅(はね)にえんじ色の縁取りがとてもオシャレですね。
8月も下旬になりましたが、セミはまだまだ羽化が続いています。アブラゼミの羽化をじっくり観察しながら撮影しました。

ヤブランの花につかまって羽化中のアブラゼミ

ヤブランの花につかまっていたので、ライトを当てると鮮やかな色合いが浮かび上がりました。
夜の調査は安全のため、一人では行いません。この日は生物分野の博物館実習生も立ち会ってくれました。

みんなで撮影

宇宙人!?と思ったら・・

宇宙人発見!

オオカマキリでした。昼間は体と同じ色をしている眼が、真っ黒く見えています。

オオカマキリ

これは、光を取り入れやすくするため、とされています。でも、カマキリの眼は複眼です。哺乳類のように瞳孔を広げたりするわけではないので、どんな仕組みになっているのか、不思議ですね。
こちらはニホンカナヘビです。ススキの葉をよく探すと、あちらこちらでこんなふうに寝ています。

ニホンカナヘビ

不安定な葉の上で寝るなんて無防備に見えます。でも、考えてみると、地上で寝ていたら、夜活動することが多いタヌキやアライグマの餌食になってしまいます。少し高くて、少し不安定な場所で寝ている方が安全なのかもしれません。
夜の花、カラスウリもまだかろうじて1輪だけ咲いていました。

カラスウリ

こちらも夜の花、メマツヨイグサです。昼間は閉じている花も夜はしっかり開いています。

メマツヨイグサの花

こちらは夜だけ咲くわけではありませんが、センニンソウの花です。昼間とはまったく異なる美しさがあります。

センニンソウ

博物館へ戻ると、壁にニホンヤモリがいました。

壁にいたニホンヤモリ

夜間照明の近くにいたので、集まって来る昆虫を狙っているのでしょう。
夜は身近な生きものたちの、別の表情を見ることができます。身近だからこそ面白い、夜の自然観察でした。

 

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生物分野実習3日目(8/26)

こんにちは。博物館実習生(生物分野)の大川・武田・林部です。
今日は、明日(8月27日)開催の生きものミニサロンの企画について話し合いました。前回の実習で決めた方向性を軸にして、まずは室内で必要な道具の用意と、タイムスケジュールの作成です。

企画を考えています

その後に外で予行演習を行いました。

進行を確認

そんな私たちが企画した明日の生きものミニサロンは、「夏の生きものビンゴ」です。五感をつかって夏の生きものを感じてもらいたいです。

こんな生きものが見つかるかな?

開催時間は12時と15時の2回(各30分)で、申し込み不要・参加無料となっています。

こんな生きものも見つかるかも

どんな生きものが見つけられるでしょうか。ご参加お待ちしております!

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アシダカグモ

博物館内の階段を下りていると、壁面を素早く動くものがいます。刺激しないようにそっと離れ、カメラを取りに行きました。戻ると、壁面に静止していました。

壁にいるのは・・

アシダカグモです。家屋内に生息するクモの中では最大種で、写真の個体も足を広げた大きさは10センチメートル近くありました。このクモは、相模原市内ではここ20年ほどの間に進出してきた外来種です。国内では、19世紀末に九州で発見されてから、徐々に分布を広げたと言われています。

アシダカグモ

こんな大きなクモが家の中にいるとなると、恐怖を感じる方も多いと思います。実際、博物館には時々、「家の中にでっかい毒グモが入ってきた!」と問い合わせがあります。同様に毒グモと思われて、殺虫剤をかけられ、ビンなどに厳重に封入された状態で持ち込まれたことも1度や2度ではありません。
しかし、このクモが家の中にいるのは理由があります。それは、ゴキブリを食べるからです。家の中のゴキブリの最大種である、クロゴキブリを主食と言ってもよいくらい食べてくれます。

照明器具の裏側へ隠れてもらいました

アシダカグモは、クモが嫌いな人にとって、いわゆる「不快害虫」なのですが、一方で、クロゴキブリを捕食してくれる益虫でもあります。ちなみに、人に害を与えるような毒はありませんし、網を張らないクモなので、お掃除の手間を増やすこともありません。
博物館でも、ゴキブリは資料に直接的に害を及ぼす「文化財害虫」です。それを食べてくれる存在ということで、アシダカグモは大切に見守っています。清掃担当の方にも、どうかこのクモを、はたいたりしないようにとお願いしています。この写真のアシダカグモも、お客様が驚かないよう、照明器具の後ろの方へ追いやって隠れてもらいました。

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ミズキの果実を食べるカラス

8月21日、お昼休みを取りながらふと窓の外へ目をやると、今年生まれの若いハシブトガラスが、ミズキの木の枝上でなにやらゴソゴソやっていました。

ミズキの枝にとまるハシブトガラス

ミズキの果実を食べているようなのですが、ほとんどがまだ未熟で、そんなものを食べて美味しいのか?と疑問に思っていました。しかし、撮影してよくよく画像を確認すると・・

窓ガラスごしの撮影なのでちょっと画像が不鮮明ですが・・

ちゃんと黒紫色に熟したものを選んでつまんでいたのです。

小さな果実を器用につまみとっています

ハシブトガラスは雑食性で、果実を食べるのも珍しくはありません。ただ、動物性の食物が豊富なこの季節にわざわざこんなに小さな果実を食べるのは、このハシブトガラスがまだ幼くて、動物性の食物を獲るのが上手ではないからかもしれません。それにしても、体の大きなハシブトガラスが枝先にとまると、枝が大きく揺れて食べにくそうです。そんな不安定な体勢でも、熟した果実を選んでつまむ食への執念を垣間見た気がします。

ミズキの果実 熟すと黒紫色になり、緑色の果実はまだ未熟です

博物館の駐車場付近では、若いカラスがいつも5、6羽から10羽近くで群れています。時には朝、前夜に羽化して動きのまだ鈍いセミを探して食べたりもしています。若いカラス同士、知恵を出し合って生き抜こうとしているようです。

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生物分野実習1日目(8/19)

はじめまして、博物館実習生(生物分野)の大川・武田・林部です。
本日から分野別実習が始まりました。

本日は植物を採集し…と思っていたら学芸員の方が大きな袋を。
中身は…

検体のアナグマを観察

アナグマでした!市内で路上死していたものが持ち込まれたのです。

分野別実習、はじめにやったことは即席のアナグマ観察会。持ち込まれた検体を標本にするのも博物館の役割であることを実感しました。

そして当初の予定どおり相模川の河原に植物採集へ。
炎天下の中、花や果実をつけた植物を採集して新聞紙に折り込んでいます。

採集した植物をその場で挟みます

そんな中で暑さを忘れさせてくれるような涼しげな花を発見。

ネムノキの花

ネムノキの花だそうです。名前は聞いたことありましたが、こんな爽やかな花をつけるんですね。

博物館に戻り採取した植物を乾燥させるために吸湿紙に挟み直す作業。

仮押しされていた標本を本押しします

吸湿紙のサイズはできた標本を貼り付ける台紙より少し大きいそうです。なのでその後を考えると吸湿紙よりひとまわりほど小さく収めないといけないため、その作業に四苦八苦でした。

最後に、8月27日に開催する「生きものミニサロン」の素材探しのために博物館周辺を散策しました。本番に向けて、企画の準備を頑張っていきます。

真剣に企画を議論

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猛暑の中の植物調査

8月17日、朝から降っていた雨が止んだ緑区のある林道へ植物調査に行きました。目的の植物はこちら、キセワタです。

キセワタ

神奈川県のレッドデータブック(2022年版)では絶滅危惧1A類とされています。15年ほど前に確認して以来、しばらく生育状況の確認を行っていなかったため、現状を調べることにしたのです。幸い開花を確認できたのですが、咲いていたのは脇から伸びた茎で、主茎はシカに食べられて無くなっていました。付近には3株があっただけで、非常に危険な状況であることがわかりました。
近くには、キセワタと同じくシソ科のカワミドリが盛大に茂って開花していました。

カワミドリ

こちらは全草にシソ科特有の強い匂いがあるからか、シカは好まないようです。キセワタももう少し匂いが強ければよかったのかもしれません。
林道を歩いていると、脇の方で動くものがありました。

写真の中央になにかいますが・・

ピタリと静止してしまうと、どこにいるのかわかりません。上の写真の中央にその生きものがいるのですが・・見事な保護色です。横から見ると・・

カジカガエル

カジカガエルでした。
それにしても、この時期の調査は厳しい条件です。湿度も温度も高く、さらにこの場所にはヤマビルがわんさかいます。

林道を少し外れると、ヤマビルだらけ

雨上がりでヤマビルも元気いっぱい。ヤマビル忌避剤をスプレーしていても、長靴を這いあがってきます。

ヤマビル

この日は博物館を拠点に活動するボランティアグループの相模原植物調査会のみなさんと調査したので、ヤマビルのいない場所でお互いに足の裏側や背中をヤマビルがいないか定期的にチェックしました(それでも吸血された方もいましたが・・)。
コンディションが厳しいため、この日はお昼で調査を切り上げて帰りました。でも、久しぶりの野外調査会だったこともあり、みなさんとても充実した気分で帰途につきました。

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津久井城市民協働調査の講習会を行いました。

7月20日に津久井城市民協働調査の講習会を津久井湖城山公園で開催し、13名の参加がありました。

今回のテーマは「土壁(つちかべ)」。津久井城の御屋敷曲輪(おやしきぐるわ)からは土壁材が出土しています。

御屋敷曲輪からみつかった土壁材

よくみると溝があると思います。これは竹で作った壁の下地である「小舞」(こまい)の痕跡と考えられます。

点線の部分が小舞の幅です (縦1列、横2列)

土壁材は土器のように焼けて硬く締まっています。また土壁材がみつかるところは礎石建物があった場所とちょうど重なります。このことから土壁を持つ建物が御屋敷曲輪にあり、火災に遭ったことがわかります。

土壁材を説明中

さて、土壁材について学んだあとは、実際に土壁をつくります。今回は、相州武井組建工さんにご協力いただきました。

相州武井組建工さん

稲わらを混ぜた土(左)竹小舞を組んだ壁の骨組(右)

土の作り方、小舞の組み方の説明を受け、骨組みに土を塗っていきます。

職人技が披露されます。

土を塗った場所の裏側。小舞の間から土がでています。

職人さんの実技を観た後は、参加者みんなで体験します。

実際に体験!

土壁づくりが初めての方が大半で、非常に良い経験ができました。

作業後の土壁。右上は 小舞をみせるために土を塗っていません。

土壁はこの後2週間乾かし、再度仕上げ塗りをして完成です。完成した土壁は津久井湖城山公園でしばらく展示するとのことです。
また年明け3月には今回作成した土壁を使用し、再度土壁について学びます。今回は座学と土壁製作体験とかなり内容が濃く、充実した講習会となりました。

次回、8月17日は、津久井城がある城山周辺の先史時代について博物館の学芸員が講義を行います。城山周辺に生きた先史時代の人々に迫ります。講義の様子はこのブログで紹介いたしますのでお楽しみに!

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