高校生とホタル観察会

5月27日、市内の県立上溝南高校のホタル観察会にお招きいただきました。まず、校内で事前学習会です。

まずは校内で事前学習

「ホタルを見ながら生物多様性について考えよう」と題して、1時間ほどお話ししました。これから観察するゲンジボタルは、外から持ち込まれたものではなく、正真正銘、地元産の個体群です。それが生物多様性の観点からどれほど重要なことか、解説しました。同じ内容ではありませんが、ゲンジボタルについても触れた、さがみはら生物多様性ネットワークでお話しした動画があるので、よろしければご覧ください。
そして、生徒さんたちは40分ほどかけてゲンジボタルの生息地まで歩きます。ほどよく日も暮れて、歩き始める直前に早速、明滅飛行するゲンジボタルが出迎えてくれました。生徒さんたちは、カウンターを持って光っているゲンジボタルの個体数を数えながら歩きます。

ゲンジボタル(終了後に居残って撮影した写真です)

 

光るゲンジボタル

まだシーズンの初めなので、数は50個体ほどで多くはありませんでした。しかし、生まれて初めてホタルを見るという生徒さんも多く、とても盛り上がりました。

元気な生徒さんや先生方、OBなど約70名が参加しました!

途中、ニホンアマガエルが鳴嚢(めいのう)を膨らませて鳴いている姿を観察したりしました。

ニホンアマガエル

夜の校外活動ができる学校、素敵ですね。ゲンジボタルを地域学習の思い出の一つとして、記憶に刻んでもらえたら嬉しいです。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 高校生とホタル観察会 はコメントを受け付けていません

春のダム湖の野鳥調査

5月26日、毎年春と冬に行っている市内緑区にあるダム湖の調査を実施しました。前回の冬の調査では、たくさんのオシドリがカウントされたことをこのブログでも紹介しました。しかし今回は、冬鳥のカモ類が去った後のため、とても静かな調査となりました。ダム湖内にいたカモ類は、カルガモのみでした。

カルガモの親子

そのうちの一組は、親子のカルガモでした。通常は1回に10個以上の卵を産むのですが、残念ながらヒナは2羽しかいませんでした。すでにほとんどのヒナが外敵に襲われてしまったのでしょう。湖岸には、ジャケツイバラの黄色い花がよく目立っていました。

ジャケツイバラ

とても美しい花ですが、その名のとおり、とても鋭いトゲを持つ、つる植物です。うっかり服などにひっかけてしまうと、服が破けてしまうばかりか、ケガをしてしまいます。
この日はずっと薄雲がかかっていたせいか、ずっとハロ(暈:かさ)が出ていました。

太陽のまわりにハロが出ています

こちらは、今回の調査で最も密度高く鳥を見ることになった、カワウのコロニー(集団繁殖地)です。巣の数は80個以上ありました。

カワウのコロニー

近づくと中からヒナの声が聞こえていました。
調査を終えて集計をした後、ふと近くの公園の水路を見ると、アオダイショウが泳いでいました。

泳ぐアオダイショウ

他にも途中、アナグマに出会ったりして、鳥以外の動物が印象に残る調査になりました。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , , | 春のダム湖の野鳥調査 はコメントを受け付けていません

がろあむし展関連イベント「土壌動物観察会」を実施しました

5月22日、舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」の関連イベントとして、土壌動物観察会を実施しました。舘野鴻さんと、絵本の解説ページに土壌動物のたくさんの美しい写真が紹介されている写真家の吉田譲さんを講師にお迎えした、とても贅沢な観察会です。大会議室で簡単な説明を行った後、すぐに博物館お隣の樹林地へ向かいます。そこで、「ふるい」を使って土の中にいる生きものを探します。

足元にもたくさんの生きものがいます!

あちらこちらから、「いたいた!」「なにこれ~」などと歓声が上がります。

「ふるい」が活躍します!

参加者の中には土壌動物を専門に研究している学生さんなどもいて、かなりマニアックな会話が飛び交っていました。舘野さんは、いろいろな土壌動物のにおいをみなさんに嗅いでもらっていました。

あの強烈なにおいで有名な胃腸薬のにおいが!などと、においも観察

室内に戻り、採集した土壌動物を実体顕微鏡で観察します。

熱気むんむんです

自分が見つけたものもですが、他の人が見つけたものにも興味津々です。これだけたくさんの人が探すと、中にはかなり珍しいものや、変わった性質を持つものも含まれています。

実体顕微鏡で観察

こちらはタカクワヤスデというヤスデの仲間です。

タカクワヤスデ

室内の光で観察すると黒っぽい普通のヤスデですが、ちょっとまわりを暗くしてブラックライトを当てると・・

ブラックライトを当てると、蛍光発色します

蛍光発色します!
みなさんの熱心な観察が続いたため、終了時間を30分延長しました。普段見る機会の少ない土壌動物ですが、想像以上に多様で魅力的な生き物がたくさん登場し、大いに盛り上がりました。

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | がろあむし展関連イベント「土壌動物観察会」を実施しました はコメントを受け付けていません

ミニ展「意外と知らない身近な鉱物」開催中!

現在、相模原市立博物館エントランスホールでミニ展「意外と知らない身近な鉱物」を開催中です。会期は7月24日(日)までです。

今回展示しているのは、岩石を構成している造岩鉱物(ぞうがんこうぶつ)と呼ばれる鉱物です。その中でも特に代表的なものを展示しました。私たちの身の回りにある岩石は、ほとんどが今回展示した鉱物で構成されており、これらの鉱物を一つも含んでいない岩石は非常に珍しいものと言って良いでしょう。

ごくありふれた鉱物を展示していますが、今回は普通の岩石に含まれているものより大きなものを展示しました。普通の岩石に含まれているものは、数ミリ以下の大きさのもがほとんどで、顕微鏡で観察しないとわからないくらい、小さいものも珍しくありません。

横幅約8cmの黒雲母。朝鮮民主主義人民共和国産。このサイズの黒雲母は、日本ではなかなかお目にかかれません。

身近にあっても意外と知られていない造岩鉱物について、少しでも興味を持っていただければと思います。

カテゴリー: おしらせ, 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | ミニ展「意外と知らない身近な鉱物」開催中! はコメントを受け付けていません

学芸員の技術を学ぶ

5月21日、博物館から最も近い大学の一つである青山学院大学から、博物館学芸員の資格取得のためのカリキュラムを履修している学生さん17名が来館しました。博物館で実物資料を使って実習を行うためです。

当館学芸員が非常勤講師としてこの科目を担当しています

実習の流れを説明した後、3班に分かれて資料の取り扱い方を学びます。一つは、土器の梱包です。

本物の縄文土器です

本物の土器を触るのは初めてという学生がほとんどで、緊張しつつ丁寧に作業を進めます。

じっくり丁寧に土器を梱包します

こちらは、掛け軸の取り扱いです。桐箱に入って巻かれている掛軸を取り出し、吊るしながら広げ、さらにそれを巻き上げて再び箱にしまいます。

掛軸も肉筆の資料です

巻き上げる時にどうしても「たけのこ巻」(片側にずれて巻いてしまうこと)になってしまいますが、なんとか微調整しながら巻きます。
そしてこちらはパネルの壁打ちです。

パネルの壁打ちを体験

パネルの高さや傾きを調整しながら、虫ピンをハンマーで打つのが、想像以上に難しかったようです。
どの作業も一人ずつ全員に体験してもらいました。机上で学ぶのとは違って、思うようにいかないところにも、実習の意義があります。今回の体験を、カリキュラムの総仕上げとして最後に履修する館務実習(10日間程度の学外実習)にいかしてほしいと思います。

カテゴリー: 今日の博物館 | タグ: | 学芸員の技術を学ぶ はコメントを受け付けていません

緊急告知!舘野鴻さんのトークショー第二弾を実施します!

現在開催中の、舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」は、6月5日までの会期となります。その最終日の6月5日、舘野さんのトークショーを行います!会期初日の3月26日にもトークショーを行い、舘野さん自身による『がろあむし』の朗読などあり好評を博しました。

会期初日に実施したトークショー 朗読で始まりました(3月26日)

熱いトークを繰り広げる舘野さん(3月26日)

今回は、5月に立て続けに刊行されている新刊のお話や、現在舘野さんが取り組んでいる本の仕事などについて語ります。題して、舘野鴻トークショー第二弾「舘野鴻の仕事、これから~舘野鴻、これからの仕事を語りたおす~」。時間は11時~12時30分となります。この日は午後も2時頃から展示室内に舘野さんが在室となりますので、ぜひお出かけください!

カテゴリー: おしらせ, 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | 緊急告知!舘野鴻さんのトークショー第二弾を実施します! はコメントを受け付けていません

3年ぶりの地質学講座

5月14日(土)、地質学講座が始まりました。

新型コロナウィルスの影響で一昨年、昨年と実施できなかったので、3年ぶりの開催となります。

今年は「身近な石の中の鉱物〜造岩鉱物の基礎」と題して、ごく一般的な岩石に含まれている主要な鉱物について全4回にわたってお話しします。事前申し込み制で、すでに定員に達しています。

講義形式の講座なので、オンラインで実施しても大して変わらないんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、大いに違います。

参加者の反応を見ながら、うまく伝わっていないようであれば、より詳しく説明したり、あまり反応が良くないようであれば、切り口を変えて説明したりします。同じ内容を話すにしても、参加者に応じて、説明の仕方は大きく違ってきます。

オンラインだと、視聴している方の反応が全くわからないので、一方的に話すことになります。理解しにくい箇所があっても話している方にはそれがわからないので、そのまま説明を続けざるを得ません。

博物館の教育普及事業はやはり対面で行うのが一番です。少しずつでも対面の事業ができればと思います。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 3年ぶりの地質学講座 はコメントを受け付けていません

なぜここに?相模川のゼンテイカ

5月11日、市内の相模川上流部へ植物調査に行きました。
目的の植物はこちらです。

ゼンテイカ

ゼンテイカです。別名ニッコウキスゲ。信州の車山高原などの名所では、この花の群生を見に観光客が訪れるくらい、有名な花です。高原の花がなぜここに咲いているのか??
ちなみにこの場所は、通常、人がたやすく入れる場所ではありません。近くに民家も無く、植えられたとは考えられません。ヘメロカリスと総称される、園芸用に改良された品種もありますが、そうした品種の特徴も無く、どこから見ても、ゼンテイカです。
ちなみに、多摩川などでも点々とゼンテイカが分布していることが知られています。由来はよくわかりませんが、ともかくそこに存在して開花したという事実が重要なので、いくつか咲いていた株から1株を採集して、標本にしました。
近くでは、これでもか!というくらいたくさんの花をつけたヤブデマリの木がありました。

ヤブデマリ

ガマズミの仲間の木なので、真上を向いてお行儀よく並んで咲く姿がとても美しく感じられました。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: | なぜここに?相模川のゼンテイカ はコメントを受け付けていません

キンラン属の勉強会

5月10日、博物館を拠点に活動する専門ボランティアグループの相模原植物調査会のみなさんが、久しぶりに博物館へ集まりました。その理由は、こちらの植物の勉強会のためです。

ツクバキンラン

一見するとふつうのキンランのように見えますが、花の形にちょっと変異を含むツクバキンランいうものなのです。この日、ツクバキンランを品種として記載(新品種を論文として発表すること)した早川宗志さん(ふじのくに地球環境史ミュージアム准教授)が当館の植物標本庫へ標本調査に来られることになり、合わせて市内でも謎の?分布のあるツクバキンランについての勉強会を開くことにしたのです。

早川さんによる室内講義

まずはラン科植物の概説から、ランの花の唇弁(花弁のうちの一枚で、変形して花を特徴づけるもの)が通常の花弁と同じような形に変異するペロリア化について、そして、キンラン属のペロリアと、その一つであるツクバキンラン発見の経緯などについて解説していただきました。進化の過程でなぜこのような変異が生じるのか、まだまだわからないことが多いのが現状です。でも、こうして少しずつ分布や生態の知見が蓄積し、この分野の研究が進むと、私たちの常識を覆すような進化の秘密が明らかになるかもしれません。そんなワクワクするお話であっという間に1時間が経ちました。
そして、問題のツクバキンランを見に、市内の生育地へみんなで出かけました。

ツクバキンランの生育地で観察

生育地で実際に咲いているツクバキンランを見ながら、記載者に解説していただくなんて、とても贅沢な時間です。ここでは、通常のキンランも咲きます。唇弁があり、左右対称の花です。

キンランの花

こちらは、ツクバキンランです。唇弁が通常の花弁のように変異し、花の形が点対称(放射相称)になります。ただし、花があまり開かない性質のためちょっとわかりにくいですね。

ツクバキンラン

この緑地をずっと管理し、守ってきた地元の方も、長年の謎だったこのキンランを、記載した研究者に見ていただけたことにとても喜ばれていました。
新型コロナウイルスの感染状況を見ながらとなりますが、こうした勉強会も少しずつ再開していきたいと考えています。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | キンラン属の勉強会 はコメントを受け付けていません

ハリエンジュの花

5月8日、ゴールデンウィークの最終日です。博物館お隣の樹林地では、ハリエンジュが開花しています。

ハリエンジュの花

外来種ではありますが、地域によっては蜂蜜の原料の一つになるなど、有用な樹木として知られています。

花には甘い香りがあり、実際に味の甘みもあります

ただ、成長が早くすぐに大木になるのと、名前にあるとおり鋭いトゲが全体にあって、ちょっと扱いにくい木でもあります。ちなみに、花は甘い香りとともに、花自体に甘みがあり、食用になります。
こちらは、やはりトゲトゲのある白い花、ノイバラです。

ノイバラの花

樹林内では、「タララララララ・・」とドラムロールのような音が響いています。これは、アオゲラのドラミングです。

アオゲラ

ドラミングとはアオゲラなどキツツキ類特有の習性で、つつくと大きな音の出る木を選び、連続で木をたたいて縄張りを宣言したりします。つまり、さえずりと同じ役割があるということですね。
キビタキも、相変わらず美しいさえずりを響かせています。

ほれぼれするようなキビタキの色合い

また、姿は見えませんでしたが、樹林の奥の方から「ジュジリジュジリジュジリ・・」と連続した鳴き声が聞こえてきました。おそらく、オオムシクイが渡りの途中に立ち寄って鳴いているのでしょう。
定着して縄張りを守る鳥、渡りの途中に滞在している鳥など、この季節の樹林はとても賑やかです。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , | ハリエンジュの花 はコメントを受け付けていません