博物館収蔵資料紹介~菓子作り道具①

職員ブログでは、これまで「写真に見る昭和・平成の相模原」として、博物館が建設準備の期間から撮影した、民俗分野のさまざまな写真を掲載してきました。

博物館では常設展示室「川と台地と人々のくらし」で、それぞれのテーマのもとで資料を展示していますが、実はそうした資料以外にも多くの資料を保管しています。このブログでは、そのような資料の中から、特に民俗分野に関わる資料を中心に毎回二~三点ずつ紹介します。いろいろなものを取り上げたいと思いますのでお楽しみに。

第一回目の今回は、南区磯部にあった吉川屋という和菓子屋の資料で、明治27年(1897)生まれの方が始めたそうです。なお、現在は営まれていません。

最初の写真は菓子型の木型です。落雁(らくがん)など粉菓子は花などのきれいな形に仕上げますが、こうした木型に米粉などをつめて型抜きします。                 

 

次の写真は一枚目のものと似ていますが、地域のそれぞれの家の家紋(かもん)の木型です。かつては結婚式や葬式の時に客に配るための贈答用として、近隣の家々から菓子の注文を受けることが多く、葬式のまんじゅうにはその家の家紋を押しました。このように菓子屋は地域の生活にとって欠かせない存在でした。                 

 

また、粉菓子のほかにせんべいなども作っており、写真はせんべいを焼く金型です。                 

 

昭和58年(1982)度に実施した相模原地域の調査では、各地に和菓子製造の職人がいたことが分かっているものの、博物館で保管する菓子製造等に関する資料は当家だけです。そうした点からも興味深い資料と言えます。

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残りあと1週間!がろあむし展 トークショーもあります!

3月26日から始まった舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」も、残りの会期があと1週間(6月5日まで)となりました。“舘野さんの絵の世界に入り込むコーナー”は今日も大人気です!

撮影ポイントになっています

会期最終日には、舘野鴻さんのトークショー第二弾も実施します!

トークショーのポスター

そして本日5月29日は、舘野さんが在室されています。

シャッター係も務めています!

作者による展示解説に聞き入っています。

展示解説中

アトリエ再現コーナーいつもにぎやか。

絵の描き方、観察のしかたを解説中

最終日もトークショー終了後、午後2時頃から舘野さんが在室されます。ぜひご来場ください!

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生きものミニサロン「木や草についてるヘンなもの」を実施しました!

5月28日(土)、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは、「木や草についてるヘンなもの」として、博物館駐車場入り口近くのクワの木についている、ちょっと不思議なものをじっくり観察しました。

クワの木のまわりで観察会!

ヘンなものってなんのこと?と開始前から興味津々のお子さんもいました。ここでは、二つのヘンなものとして「アワアワ」と「白いもじゃもじゃ」というキーワードで探してもらいました。

これのことかな?

参加者同士でも、あれかな?これかな?と議論しています。
そして、いよいよ手に取って観察です。まずは、「アワアワ」。

せっけん?いえいえ、違います

これを、紙でふき取ります。そこから出てきたのは・・

黒い小さな虫が出てきました

お尻が赤く光ったように見える、アワフキムシの仲間の幼虫でした。おしりからアワの成分を出して、アワの中に守られながら、樹液を吸って成長します。
続いて「白いもじゃもじゃ」。

クワの葉を裏返すと・・

こちらは、ルーペ付きのビンに取ってみます。するとほこりかゴミがくっついているように見えたものが、モゾモゾと動いています!

よく見ると、足や頭が見えます

さらに見ると、足や顔もはっきりと見えました。これは、クワキジラミという、クワの葉の汁を吸って成長する昆虫の幼虫でした。お尻からロウ状の物質を出して、それがこのようにもじゃもじゃに見えるのです。いったいなぜこのようなもじゃもじゃになるのか、よくわかりません。
そして、せっかくこの季節のクワの木を観察したので、クワの果実を味見しました。

クワの果実

「おいしい!」「うぇぇ・・」などいろいろな感想が聞こえてきます。

熟したクワの果実を食べてみると・・

紫いろになった指先で服を触らないように!とお願いしつつ、終了しました。
次回は6月25日(土)の実施となります。

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高校生とホタル観察会

5月27日、市内の県立上溝南高校のホタル観察会にお招きいただきました。まず、校内で事前学習会です。

まずは校内で事前学習

「ホタルを見ながら生物多様性について考えよう」と題して、1時間ほどお話ししました。これから観察するゲンジボタルは、外から持ち込まれたものではなく、正真正銘、地元産の個体群です。それが生物多様性の観点からどれほど重要なことか、解説しました。同じ内容ではありませんが、ゲンジボタルについても触れた、さがみはら生物多様性ネットワークでお話しした動画があるので、よろしければご覧ください。
そして、生徒さんたちは40分ほどかけてゲンジボタルの生息地まで歩きます。ほどよく日も暮れて、歩き始める直前に早速、明滅飛行するゲンジボタルが出迎えてくれました。生徒さんたちは、カウンターを持って光っているゲンジボタルの個体数を数えながら歩きます。

ゲンジボタル(終了後に居残って撮影した写真です)

 

光るゲンジボタル

まだシーズンの初めなので、数は50個体ほどで多くはありませんでした。しかし、生まれて初めてホタルを見るという生徒さんも多く、とても盛り上がりました。

元気な生徒さんや先生方、OBなど約70名が参加しました!

途中、ニホンアマガエルが鳴嚢(めいのう)を膨らませて鳴いている姿を観察したりしました。

ニホンアマガエル

夜の校外活動ができる学校、素敵ですね。ゲンジボタルを地域学習の思い出の一つとして、記憶に刻んでもらえたら嬉しいです。

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春のダム湖の野鳥調査

5月26日、毎年春と冬に行っている市内緑区にあるダム湖の調査を実施しました。前回の冬の調査では、たくさんのオシドリがカウントされたことをこのブログでも紹介しました。しかし今回は、冬鳥のカモ類が去った後のため、とても静かな調査となりました。ダム湖内にいたカモ類は、カルガモのみでした。

カルガモの親子

そのうちの一組は、親子のカルガモでした。通常は1回に10個以上の卵を産むのですが、残念ながらヒナは2羽しかいませんでした。すでにほとんどのヒナが外敵に襲われてしまったのでしょう。湖岸には、ジャケツイバラの黄色い花がよく目立っていました。

ジャケツイバラ

とても美しい花ですが、その名のとおり、とても鋭いトゲを持つ、つる植物です。うっかり服などにひっかけてしまうと、服が破けてしまうばかりか、ケガをしてしまいます。
この日はずっと薄雲がかかっていたせいか、ずっとハロ(暈:かさ)が出ていました。

太陽のまわりにハロが出ています

こちらは、今回の調査で最も密度高く鳥を見ることになった、カワウのコロニー(集団繁殖地)です。巣の数は80個以上ありました。

カワウのコロニー

近づくと中からヒナの声が聞こえていました。
調査を終えて集計をした後、ふと近くの公園の水路を見ると、アオダイショウが泳いでいました。

泳ぐアオダイショウ

他にも途中、アナグマに出会ったりして、鳥以外の動物が印象に残る調査になりました。

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がろあむし展関連イベント「土壌動物観察会」を実施しました

5月22日、舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」の関連イベントとして、土壌動物観察会を実施しました。舘野鴻さんと、絵本の解説ページに土壌動物のたくさんの美しい写真が紹介されている写真家の吉田譲さんを講師にお迎えした、とても贅沢な観察会です。大会議室で簡単な説明を行った後、すぐに博物館お隣の樹林地へ向かいます。そこで、「ふるい」を使って土の中にいる生きものを探します。

足元にもたくさんの生きものがいます!

あちらこちらから、「いたいた!」「なにこれ~」などと歓声が上がります。

「ふるい」が活躍します!

参加者の中には土壌動物を専門に研究している学生さんなどもいて、かなりマニアックな会話が飛び交っていました。舘野さんは、いろいろな土壌動物のにおいをみなさんに嗅いでもらっていました。

あの強烈なにおいで有名な胃腸薬のにおいが!などと、においも観察

室内に戻り、採集した土壌動物を実体顕微鏡で観察します。

熱気むんむんです

自分が見つけたものもですが、他の人が見つけたものにも興味津々です。これだけたくさんの人が探すと、中にはかなり珍しいものや、変わった性質を持つものも含まれています。

実体顕微鏡で観察

こちらはタカクワヤスデというヤスデの仲間です。

タカクワヤスデ

室内の光で観察すると黒っぽい普通のヤスデですが、ちょっとまわりを暗くしてブラックライトを当てると・・

ブラックライトを当てると、蛍光発色します

蛍光発色します!
みなさんの熱心な観察が続いたため、終了時間を30分延長しました。普段見る機会の少ない土壌動物ですが、想像以上に多様で魅力的な生き物がたくさん登場し、大いに盛り上がりました。

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ミニ展「意外と知らない身近な鉱物」開催中!

現在、相模原市立博物館エントランスホールでミニ展「意外と知らない身近な鉱物」を開催中です。会期は7月24日(日)までです。

今回展示しているのは、岩石を構成している造岩鉱物(ぞうがんこうぶつ)と呼ばれる鉱物です。その中でも特に代表的なものを展示しました。私たちの身の回りにある岩石は、ほとんどが今回展示した鉱物で構成されており、これらの鉱物を一つも含んでいない岩石は非常に珍しいものと言って良いでしょう。

ごくありふれた鉱物を展示していますが、今回は普通の岩石に含まれているものより大きなものを展示しました。普通の岩石に含まれているものは、数ミリ以下の大きさのもがほとんどで、顕微鏡で観察しないとわからないくらい、小さいものも珍しくありません。

横幅約8cmの黒雲母。朝鮮民主主義人民共和国産。このサイズの黒雲母は、日本ではなかなかお目にかかれません。

身近にあっても意外と知られていない造岩鉱物について、少しでも興味を持っていただければと思います。

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学芸員の技術を学ぶ

5月21日、博物館から最も近い大学の一つである青山学院大学から、博物館学芸員の資格取得のためのカリキュラムを履修している学生さん17名が来館しました。博物館で実物資料を使って実習を行うためです。

当館学芸員が非常勤講師としてこの科目を担当しています

実習の流れを説明した後、3班に分かれて資料の取り扱い方を学びます。一つは、土器の梱包です。

本物の縄文土器です

本物の土器を触るのは初めてという学生がほとんどで、緊張しつつ丁寧に作業を進めます。

じっくり丁寧に土器を梱包します

こちらは、掛け軸の取り扱いです。桐箱に入って巻かれている掛軸を取り出し、吊るしながら広げ、さらにそれを巻き上げて再び箱にしまいます。

掛軸も肉筆の資料です

巻き上げる時にどうしても「たけのこ巻」(片側にずれて巻いてしまうこと)になってしまいますが、なんとか微調整しながら巻きます。
そしてこちらはパネルの壁打ちです。

パネルの壁打ちを体験

パネルの高さや傾きを調整しながら、虫ピンをハンマーで打つのが、想像以上に難しかったようです。
どの作業も一人ずつ全員に体験してもらいました。机上で学ぶのとは違って、思うようにいかないところにも、実習の意義があります。今回の体験を、カリキュラムの総仕上げとして最後に履修する館務実習(10日間程度の学外実習)にいかしてほしいと思います。

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緊急告知!舘野鴻さんのトークショー第二弾を実施します!

現在開催中の、舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」は、6月5日までの会期となります。その最終日の6月5日、舘野さんのトークショーを行います!会期初日の3月26日にもトークショーを行い、舘野さん自身による『がろあむし』の朗読などあり好評を博しました。

会期初日に実施したトークショー 朗読で始まりました(3月26日)

熱いトークを繰り広げる舘野さん(3月26日)

今回は、5月に立て続けに刊行されている新刊のお話や、現在舘野さんが取り組んでいる本の仕事などについて語ります。題して、舘野鴻トークショー第二弾「舘野鴻の仕事、これから~舘野鴻、これからの仕事を語りたおす~」。時間は11時~12時30分となります。この日は午後も2時頃から展示室内に舘野さんが在室となりますので、ぜひお出かけください!

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3年ぶりの地質学講座

5月14日(土)、地質学講座が始まりました。

新型コロナウィルスの影響で一昨年、昨年と実施できなかったので、3年ぶりの開催となります。

今年は「身近な石の中の鉱物〜造岩鉱物の基礎」と題して、ごく一般的な岩石に含まれている主要な鉱物について全4回にわたってお話しします。事前申し込み制で、すでに定員に達しています。

講義形式の講座なので、オンラインで実施しても大して変わらないんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、大いに違います。

参加者の反応を見ながら、うまく伝わっていないようであれば、より詳しく説明したり、あまり反応が良くないようであれば、切り口を変えて説明したりします。同じ内容を話すにしても、参加者に応じて、説明の仕方は大きく違ってきます。

オンラインだと、視聴している方の反応が全くわからないので、一方的に話すことになります。理解しにくい箇所があっても話している方にはそれがわからないので、そのまま説明を続けざるを得ません。

博物館の教育普及事業はやはり対面で行うのが一番です。少しずつでも対面の事業ができればと思います。

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