津久井城市民協働調査 講習会・研修を行いました。

1月19日に津久井城の城坂曲輪群(しろさかくるわぐん)6号曲輪の発掘調査について、

調査参加者とボランティアの方を対象に調査結果の報告会があり、当日は29名の参加がありました。

会場の様子

 

発表は発掘調査を担当した文化財保護課の埋蔵文化財調査員が行いました。

津久井城の概要と今までの調査成果をまとめて、6号曲輪の調査成果を発表しました。

6号曲輪の調査成果について、分かりやすく説明しました。そしてこの調査は行政と市民が協働で行い、郷土の歴史的遺産である津久井城の価値を明らかにすること、そして博物館、文化財保護課、神奈川県公園協会のボランティアに所属している方ならば誰でも参加できること、この点を強調していました。

その後、5号曲輪と6号曲輪からみつかった遺物を見学しました。

5号曲輪出土の遺物

発表後は遺物の解説も行われました。

 

午後からは、1階特別展示室にて展示の準備をしました。1月29日から開催の考古企画展「古代相模原台地の開発」と同時開催で、津久井城城坂曲輪群6号曲輪の展示を行います。

特別展示室にて作業です。

 

展示作業は解説パネル・写真パネルの作成・設置と、出土遺物の展示です。この日の作業は解説パネル・写真パネルの作成と設置です。

写真パネルの作成。見栄え良く、丁寧に切ります。

 

解説パネル・写真パネルの作成はすべて手作業です。

その後、展示ケース内に解説パネルと写真パネルを虫ピンで打ち付けていきます。

パネルが水平になるように。

間隔は丁度良いですか?パネルの高さは一定ですか?

パネルの間隔は展示ケース内部からではよく分からないので、外の方から指示してもらいます。

 

完成したパネルなど

無事パネルの設置が終了しました。

後日、学芸員により、出土した遺物や現地で作成した記録図面を展示しました。

完成した津久井城城坂曲輪群6号曲輪の展示

 

6号曲輪から出土した石器(上段)、かわらけ(下段左)、縄文土器(下段中央・右)

 

考古企画展「古代相模原台地の開発」は3月13日まで開催していますので、まだご覧になっていない方はぜひご覧ください。

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「さがみはらピンクシャツウィーク」in 相模原市立博物館

先日予告した「さがみはらピンクシャツウィーク」、博物館では名札などに色紙で作った手作りのピンクシャツをつけたり

写真を撮るときの合言葉は「SDGs!」

可能な範囲でピンクのものを身に着けたり・・・ということで、館内はピンク色率高めです!

もちろん、この取り組みは単にピンク色のものを身に着けて「かわいい!」「春っぽい!」と感じることが目的ではありません。

2007年にカナダで実際に起きた「ピンクシャツをきっかけに始まったいじめをやめさせるためにみんなでピンクものを身につけた」というエピソードに基づき、いじめ問題についてみなさまに関心を寄せていただきたいということを目的にしているものです。詳しくはこちらをご覧ください。(県のホームページにリンクします)

オリパラピンバッジ、いよいよこれで最後です!

さて、夏以降、断続的に配布をしてきた東京2020大会オリンピック・パラリンピックのピンバッジですが、最後にピンクシャツウィークらしい装飾を施しました。

オリンピック・パラリンピックうちわも引き続き配布中です。どうぞあわせて来館記念にお持ちいただき、ピンクシャツデーのことを考える、思い出すきっかけとしていただければ幸いです。

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水路の清掃

2月20日、中央区の田名公民館が主催の農業用水路の清掃作業が行われました。
公民館がなぜ用水路の清掃?と思われるかもしれません。その理由は、こちらです。

ゲンジボタル(6月に撮影)

この用水路は、市内でも有数のゲンジボタルの発生地なのです。もちろん真冬のこの季節に成虫はいませんが、今、幼虫は水の中で静かに暮らしているはずです。そして、ゲンジボタルが生息する水路にはいくつかの環境条件が必要です。まず、幼虫の食料となるカワニナという淡水性の巻貝が豊富であることです。カワニナは、川底の石などに付着する藻類を食べるので、藻類が増えるためには、一年中ある程度の水の流れがあり、川底に泥が堆積しすぎないことや、日差しが川面に届くことが重要です。もちろん、ホタルに似つかわしくないゴミが堆積するのもよくありません。
そこで、地元のホタルを大切に守るため、公民館が声かけをして水路の清掃・整備作業を行っているというわけです。博物館でも毎年、ゲンジボタルの観察・調査を行っているため、学芸員が作業に参加しました。

集合して作業の説明をきいています

用水路を管理する組合のみなさんの協力で、いったん水を止めて水路に入ります。

滑る川底に気を付けながらゴミや落ち枝などを拾い集めます。

遊歩道から見下ろすとあまりゴミが落ちていないように見えるのですが、小一時間拾っただけで、これだけ集まりました。中には灯油のポリタンクなどもあり、これが劣化して中身が漏れ出したりしたら大変です。

集められたゴミ

さらに、水路に覆いかぶさるように伸びた木の枝も、一部を切りました。ゲンジボタルが明滅(めいめつ)飛行する空間も大切です。

枝打ちはごく一部の場所だけでしたが、大量の剪定枝が出ます

ゲンジボタルが生息するには、他にもいくつかの条件がありとてもデリケートな環境です。そして何より重要なのは、この水路の場合は稲作のための水を運ぶ農業用水路であるという点です。

作業終了後の記念撮影

水田の作業とともに、用水路の環境整備が行われて初めてゲンジボタルの生息が保障されます。今年もまたたくさんのゲンジボタルの光る姿が見られることを願いつつ、作業を終えました。

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ピンクシャツデーご存じですか?博物館では・・・

みなさん、ピンクシャツデーってご存じですか?

「ピンクシャツデー」とは (ピンクシャツデー2022神奈川 公式サイトより)

ピンクシャツデーは、カナダの高校生がはじめた「いじめ反対」運動です。

2007年、カナダ・ノバスコシア州――――
中学3年の男子が、ピンク色のポロシャツを着て登校したことを発端に、性的なからかいや暴行などのいじめにあいました。それを知った高校3年生の男子2人が、「いじめはもうたくさんだ」と、ピンク色のシャツを買い集め、学校のネット掲示板やメールを通じて、「明日、みんなでピンクのシャツを着よう!」と呼びかけました。

翌朝、みんなに配ろうと大量のシャツをもって学校に行くと、そこには、みずからピンク色のシャツや小物を身に着けて登校する生徒たちの姿が・・・。
彼らの呼びかけを知った人たちが情報を拡散し、多くの生徒たちが賛同。学校中がピンク色になったのです。これによって、いじめを受けた生徒は安心して学校に通えるようになり、その学校でのいじめは自然になくなったといいます。

今では180以上の国と地域に広がるワールドアクションとなっています!

詳しくはこちら(神奈川県のホームページにリンクしています)。

神奈川県のホームページから

今年度は2月21日から25日まで「さがみはらピンクシャツウィーク」として、相模原市で様々な取り組みを行っています。

博物館では、案内のチラシなどはすでに掲示中ですが、期間中、下記のような取り組みを行います。

・2月22日から25日まで(24日は休館日)、職員やスタッフが折り紙で作った「ピンクシャツ」を名札につけます!

・2月23日はオリンピック・パラリンピックグッズ(ピンバッジ)の配布をピンクシャツを模した飾りをつけた箱で行います!(数に限りがあります。先着100名様まで)

「さがみはらピンクシャツウィーク」をきっかけに、いじめ問題について考えてみる機会としていただけるよう、取り組んでまいります。

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古民家でおひな様🌸春のお出かけスタンプラリー始まりました!

2月12日から始まったスタンプラリー、初日には台紙を求めて開館前からお客様がいらっしゃるなど、企画側としても嬉しいスタートになりました。スタンプラリーの記念品引き換えも初日から大盛況!

案内チラシ兼スタンプラリー台紙

参加者のみなさま、ありがとうございます!

詳しい内容はこちら(スタンプ台紙のダウンロードもできます)。

この試み、博物館と文化財保護課は市の教育委員会の生涯学習部という繋がりが元々あるのですが、そこに民設民営の「相模田名民家資料館」とも連携して実施したというのが今回のポイントです。

おひな様を通じていろいろな施設を巡りながら、相模原市のいろいろな魅力、そして春の訪れを感じていただけたら幸いです。

博物館のエントランスにもおひな様が!

タウンニュース中央区版2月17日号にて紹介していただいているほか、様々なサイトでも取り上げていただきました。

みなさまのご参加お待ちしております!

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NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」関連ミニ展示の紹介②

1月から始まったNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の関連事業として、当館でも1/15からミニ展示「鎌倉時代初めの相模原の武士団 横山党」を開催中です。

ミニ展示全体

このミニ展示では、鎌倉時代初めに相模原市域に勢力を持っていた武士団横山党と、大河ドラマの13人のひとりで横山党とも関係の深い和田義盛(わだよしもり)という武将の市内の伝承地などを紹介するともに、伝承が記された明治期の地誌資料を展示しています。

今回は前回の横山党の紹介に続き、ミニ展示紹介②として、「和田義盛と横山党」について紹介します。

和田義盛と横山党コーナーと関連資料展示

和田義盛は三浦一族の有力武将で、鎌倉幕府が創設されると軍事・警察部門をつかさどる侍所(さむらいどころ)の別当(長官)となります。今回の大河ドラマでも同族の佐藤B作さん演じる三浦義澄や、山本耕史さん演じる三浦義村らとともに既に度々登場している主要キャストの一人です。

三浦氏系図(神奈川県史より)

ドラマをご覧の方は、髭が勇ましいあの武者といえばピンとくるでしょうか。ドラマでは和田義盛を、主に舞台で活躍している横田栄司さんという俳優さんが演じています。

NHK大河ドラマのホームページ「和田義盛キャスト紹介」

この和田義盛ですが、実は横山党の娘を妻としています。そうしたことからか、市内上溝の亀が池八幡宮付近に和田義盛に関する伝承地の「わだ坂」と「藤橋」があります。

「わだ坂」は、和田義盛がこの付近で食べた弁当の箸(はし)が根付いたとされる「和田榎」がかつてあった場所の近くで、現在は坂道の脇に地名標柱が建てられています。

わだ坂に建つ地名標柱

もう一つの「藤橋」は、わだ坂の北100メートルほどの場所で、和田義盛が川(姥川)を渡るのに藤で橋を作ったとされる場所で、現在も「藤橋」が架かっています。

わだ坂の北 姥川にかかわる藤橋

和田義盛は、建暦3年(1213)に執権北条義時らと戦い(和田義盛の乱)、奮戦むなしく敗れます。相模原にいた横山党も和田義盛とともに戦い、多くの者が討ち死にしたと鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』に記されています。上矢部に残る板碑(いたび)は、この時討ち死にした矢部義兼の供養のために90年後につくられたという伝承があります。

上矢部の板碑を祀(まつ)る祠(ほこら)(上矢部3丁目内)

和田義盛の乱は、大河ドラマ後半のクライマックスの一つになると思いますので、横山党の武士がドラマに登場することを期待しています。

ミニ展示内では、各伝承地の詳細位置図も展示していますので、ぜひご確認ください。

本ミニ展示は3/13まで開催予定です。次回は、大河ドラマの時代 鎌倉時代初期の市内伝承などを紹介します。

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考古企画展の展示資料から(その2)

当館特別展示室では、1月29日(土)~3月13日(日)の期間、考古企画展「古代相模原台地の開発」を開催しています。

今回の展示では、古墳時代から平安時代にかけて行われた市内相模原台地の開発や人々の生活をテーマに、当時のムラから出土した土器や農具などの生活用品のほか、仏教など信仰に関連した遺物などを展示しています。

前回は、展示品の中から、畿内産土師器(きないさんはじき)を紹介しましたが、今回は鉄製の鎌や鋤(すき)をご紹介したいと思います。

田名塩田原遺跡の鎌

こちらの写真はⅠテーマ「開発の波」で展示している中央区田名に所在する田名塩田原(たなしおだはら)遺跡から出土した鉄製鎌の身(刃)です。平安時代の竪穴住居跡から出土しました。曲刃の鎌で、現代の私たちが使っている鎌にも近い形をしたものがあるかと思います。ただし、現代の鎌は、身の根元にある茎(なかご)を柄に差し込んで固定していますが、市内で出土するこの時代の鎌は、茎がなく身を柄にあけた溝穴に通し、根元を折り曲げて固定するものであったようです。

現代の鎌

折り曲げられた根元(田名塩田原遺跡の鎌)

鎌は現代の私たちと同じように草刈りや稲の根刈りなど、さまざまな農作業に使用されていたものと考えられます。

次の写真は、鋤先(すきさき)と呼ばれるものです。

谷原2号墳の鋤先

風間遺跡の鋤先

上段は南区当麻に所在する古墳時代の谷原(たにはら)2号墳から出土したものです(Ⅰテーマ「開発の波」)。また、下段は緑区川尻に所在する風間(かざま)遺跡の平安時代の竪穴住居跡から出土したものです(Ⅲテーマ「古代集落の生活」)。鋤は刃先を土に差し入れて土を掘り起こす道具で、鋤先はU字形をした鉄製の刃の部分です。木製の柄に装着して使用しました。農作業や土木工事に用いられたと考えられますが、谷原2号墳から出土したものは古墳の墳丘から出土しており、古墳を造る際、使われたものかもしれません。

鋤のイメージ

なお、同じく土を掘り起こす道具として鍬(くわ)がありますが、鋤先と同じU字形をした刃が装着されており、両者の刃先については区別がなかったとも言われています(企画展では発掘調査報告書の記載に従って区分しました)。

こうした鉄製の農具からは、高燥な原野が大部分を占めていた相模原台地を切り開いた先人たちの苦労が偲ばれます。ぜひ展示室で実物をご覧ください。

なお、ギャラリートークを2月27日(日)、3月13日(日)に開催します。いずれも午後2時から30分程度です。こちらもお気軽にご参加ください。

 

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介㊹ ㋪ヒバリ アジサイ

ヒバリ アジサイ 相模原市の 鳥と花  (ひばり  あじさい さがみはらしの とりとはな)

 

相模原市の鳥「ヒバリ」と花「アジサイ」は、相模原市の防災同報無線「ひばり放送」や、あじさい会館(相模原市中央区富士見)などの名称でも親しまれる、市のシンボルです。昭和49年に市制20周年を記念して制定され、選定理由として、ヒバリは「元気よくさえずる声は躍進する相模原市を象徴」、アジサイは「緑と太陽のまちにふさわしい市の風土に適したもの」とされ、絵札のようにマンホールぶたの絵柄にもなっています。
ヒバリを市の鳥に選んだことは、河岸段丘面の開けた台地上にまちが形成された相模原市の自然を象徴しており、とても理にかなっています。

ヒバリ

現在は市街化されて分布も限られてきていますが、それでも相模川に沿った農地などでには数多く生息し、ちょうど今くらいの季節から、晴れた日には美しい歌声をきかせてくれています。上の写真のようにオスは地面でもさえずりますが、やはりヒバリと言えば、上空でさえずる姿がしっくりきます。

青空をバックにさえずるヒバリ

ヒバリは、羽色は草原に溶け込む保護色のためにちょっと地味ですが、特徴的な外見なのは、親指の爪です。下の写真の矢印の部分を見るとわかるように、とても長い爪を持っています。

とても長い、ヒバリの親指の爪

今年、初めてのヒバリのさえずりはいつ、どこで聞くことができるでしょうか。楽しみですね。

アジサイは市内の公園や街路樹の植込みなどで見ることができます。

アジサイ

しかし、ここではあえて、野生のアジサイも紹介したいと思います。こちらはタマアジサイです。緑区の山地の登山道沿いなどで見られ、夏から秋まで長く咲きます。上のアジサイは装飾花という目立つ花弁のある花の集合花ですが、タマアジサイは装飾花は外側に数個が咲くだけで、内側に両性花が咲きます。じつは、野生のアジサイの多くがこのような花の構造です。

タマアジサイ

こちらはコアジサイです。コアジサイも、山地の林内で咲きます。目立つ装飾花はありませんが、おしべと小さな花弁が集合した星が瞬いているようにも見えて、とてもかわいらしい花です。

コアジサイ

華やかさはあまりないのですが、可憐な野生のアジサイもぜひお楽しみください。

*このかるたは当館のボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。
*このかるたは相模原市立博物館の開館日に閲覧・貸出し可能です。(貸出しは要予約)
*貸出し詳細やかるたに関心のある方は、博物館までご連絡下さい(042-750-8030)。
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒を必ず行って下さい。

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考古企画展のうらがわ

今回は、ただいま特別展示室で好評開催中の考古企画展!「古代相模原台地の開発」の裏側をご紹介していきたいと思います。考古企画展は、学芸員だけではなく、市民ボランティアのみなさんと一緒に展示作業を行っています。

2人1組でパネル作り

解説文や写真を印刷したら、糊付パネルに大きさを合わせて、丁寧に貼っていきます。みなさん慣れた手つきで次々と貼っていきます。

展示する部分を慎重にカットします

上下を合わせてそっと貼り合わせます

パネルの準備が出来たら、次はいよいよ展示室での作業です。パネルや展示品のおよその位置は事前にレイアウト図で決めてはいますが、展示室はとっても広いので、パネルの大きさや貼る位置を実際に置いてみて、見やすい場所を確認します。

大体の位置にパネルを置いて場所を確認します

まだ空の展示ケースですが、どんな風に展示されるのでしょうか。

展示されるのを待つ収蔵品たちが作業を見守ります

展示室の壁に貼るパネルや年表も、一定の高さで貼っていきます。学芸員が配置したパネル類を市民ボランティアのみなさんで意見を出し合いながら見やすい間隔を考えて貼っていきます。

この位置ならわかりやすいかな?

約1か月半の展示期間中、剥がれないようにしっかり壁に打ち込みます

 

展示ケースの中でも作業開始!

 

学芸員の助言を受け、貼り付けていきます

さぁ、これで解説や地図、写真のパネルが無事貼り終わりました。

パネルを貼り終えたら、学芸員が展示品を慎重に並べて最後の仕上げです

展示台からの景色 展示物からみた室内の様子をちょっと覗いてみましょう

さて、この先はみなさんもご存じの通り、展示品のそばに簡単な説明や名前などのキャプションを並べて、展示作業は終了になります。すでに企画展をご覧になった方も、これから始めてご覧になられる方も、企画展の裏側を知るとまた展示の見方も変わってくるでしょうか。

考古企画展は令和4年3月13日(日)まで開催されていますので、ぜひ何度でもお越しくださいね。足を運んで頂くたびに新しい発見があるかもしれません。

なお、考古企画展のギャラリートークを2月27日(日)、3月13日(日)に開催します。いずれも午後2時から30分程度です。こちらもお気軽にご参加ください。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No92 相模川の砂利取りと蛇籠)

市内を流れる相模川は県内最大の河川です。相模川で川漁が盛んに行われていたことは、本ブログNo.9~11で鵜飼い(うかい)なども含めて紹介しました。

次の写真は、中央区田名での砂利(じゃり)ふるいの様子です(昭和62年[1987]10月26日撮影)。東京などの都市化に応じて、コンクリートの材料となる砂利を取ることは、明治から昭和にかけて各地で行われました。そして、大規模な機械掘りになる以前は、相模川沿いに住む人々によって手掘りの砂利採取が行われ、冬場の現金稼ぎになっていました。

最初の二枚の写真は「岡ぶるい」です。河川敷の砂と砂利などを、万石(まんごく)と呼ぶ道具で選別するもので、砂など混ざったものを網の上に掛けて振るい分けていきます。ちなみに農具にも米や麦を選別する万石がありますが、それとは別のものです。                                   

 

次の写真は「川ぶるい(水ぶるい)」で、直接川の中に入り、鋤簾(じょれん)で砂利をすくって川底の砂利を振るいます。水で洗われたきれいな砂利が取れたことから、高く売れたと言います。                                   

 

川は魚や砂利を取るなど、人々に恵みを与えるばかりではなく、災いをもたらす存在でもありました。その大きなものが洪水で、田畑や人家が水をかぶったり、押し寄せる水で堤防がいたむこともありました。

次の写真は、南区新戸河原地区で蛇籠(じゃかご)を作っています(平成2年[1990]6月26日・8月7日)。竹を粗く長円形に編んで中に石を詰めた蛇籠は、大蛇が伏せている形に似ているところからその名があります。川の岸に杭(くい)を打ち、蛇籠を並べて置いて堤防などを水からまもりました。

一枚目の写真は蛇籠を作っているところ、二枚目は出来上がった蛇籠で、三・四枚目は石を詰めています。石はたくさん必要で、中でくずれないように詰めていきます。                                   

 

今回紹介した砂利採取や蛇籠作りは、このブログで紹介してきたほかの行事や作業と同様に、当時でもすでに経験された方はかなり少なくなっており、いずれもしばらく振りに再現していただいて撮影することができました。

市内のなかでも相模原地域は台地上に広がり、水に乏しい地区と言われますが、こうした川辺でのさまざまな生活や民俗も営まれていたのです。

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