なぜここに?相模川のゼンテイカ

5月11日、市内の相模川上流部へ植物調査に行きました。
目的の植物はこちらです。

ゼンテイカ

ゼンテイカです。別名ニッコウキスゲ。信州の車山高原などの名所では、この花の群生を見に観光客が訪れるくらい、有名な花です。高原の花がなぜここに咲いているのか??
ちなみにこの場所は、通常、人がたやすく入れる場所ではありません。近くに民家も無く、植えられたとは考えられません。ヘメロカリスと総称される、園芸用に改良された品種もありますが、そうした品種の特徴も無く、どこから見ても、ゼンテイカです。
ちなみに、多摩川などでも点々とゼンテイカが分布していることが知られています。由来はよくわかりませんが、ともかくそこに存在して開花したという事実が重要なので、いくつか咲いていた株から1株を採集して、標本にしました。
近くでは、これでもか!というくらいたくさんの花をつけたヤブデマリの木がありました。

ヤブデマリ

ガマズミの仲間の木なので、真上を向いてお行儀よく並んで咲く姿がとても美しく感じられました。

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キンラン属の勉強会

5月10日、博物館を拠点に活動する専門ボランティアグループの相模原植物調査会のみなさんが、久しぶりに博物館へ集まりました。その理由は、こちらの植物の勉強会のためです。

ツクバキンラン

一見するとふつうのキンランのように見えますが、花の形にちょっと変異を含むツクバキンランいうものなのです。この日、ツクバキンランを品種として記載(新品種を論文として発表すること)した早川宗志さん(ふじのくに地球環境史ミュージアム准教授)が当館の植物標本庫へ標本調査に来られることになり、合わせて市内でも謎の?分布のあるツクバキンランについての勉強会を開くことにしたのです。

早川さんによる室内講義

まずはラン科植物の概説から、ランの花の唇弁(花弁のうちの一枚で、変形して花を特徴づけるもの)が通常の花弁と同じような形に変異するペロリア化について、そして、キンラン属のペロリアと、その一つであるツクバキンラン発見の経緯などについて解説していただきました。進化の過程でなぜこのような変異が生じるのか、まだまだわからないことが多いのが現状です。でも、こうして少しずつ分布や生態の知見が蓄積し、この分野の研究が進むと、私たちの常識を覆すような進化の秘密が明らかになるかもしれません。そんなワクワクするお話であっという間に1時間が経ちました。
そして、問題のツクバキンランを見に、市内の生育地へみんなで出かけました。

ツクバキンランの生育地で観察

生育地で実際に咲いているツクバキンランを見ながら、記載者に解説していただくなんて、とても贅沢な時間です。ここでは、通常のキンランも咲きます。唇弁があり、左右対称の花です。

キンランの花

こちらは、ツクバキンランです。唇弁が通常の花弁のように変異し、花の形が点対称(放射相称)になります。ただし、花があまり開かない性質のためちょっとわかりにくいですね。

ツクバキンラン

この緑地をずっと管理し、守ってきた地元の方も、長年の謎だったこのキンランを、記載した研究者に見ていただけたことにとても喜ばれていました。
新型コロナウイルスの感染状況を見ながらとなりますが、こうした勉強会も少しずつ再開していきたいと考えています。

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ハリエンジュの花

5月8日、ゴールデンウィークの最終日です。博物館お隣の樹林地では、ハリエンジュが開花しています。

ハリエンジュの花

外来種ではありますが、地域によっては蜂蜜の原料の一つになるなど、有用な樹木として知られています。

花には甘い香りがあり、実際に味の甘みもあります

ただ、成長が早くすぐに大木になるのと、名前にあるとおり鋭いトゲが全体にあって、ちょっと扱いにくい木でもあります。ちなみに、花は甘い香りとともに、花自体に甘みがあり、食用になります。
こちらは、やはりトゲトゲのある白い花、ノイバラです。

ノイバラの花

樹林内では、「タララララララ・・」とドラムロールのような音が響いています。これは、アオゲラのドラミングです。

アオゲラ

ドラミングとはアオゲラなどキツツキ類特有の習性で、つつくと大きな音の出る木を選び、連続で木をたたいて縄張りを宣言したりします。つまり、さえずりと同じ役割があるということですね。
キビタキも、相変わらず美しいさえずりを響かせています。

ほれぼれするようなキビタキの色合い

また、姿は見えませんでしたが、樹林の奥の方から「ジュジリジュジリジュジリ・・」と連続した鳴き声が聞こえてきました。おそらく、オオムシクイが渡りの途中に立ち寄って鳴いているのでしょう。
定着して縄張りを守る鳥、渡りの途中に滞在している鳥など、この季節の樹林はとても賑やかです。

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立夏の生きものたち

今年の二十四節季の立夏は、5月5日でした。そんな中、緑区の山中ではヤブデマリの花があちらこちらで満開となっていました。

ヤブデマリの花

こちらは花がよく似ていますが、まったく別種のガクウツギです。

ガクウツギの花

キリは大きな花をたくさん咲かせていました。

キリの花

キリの花が咲いている場所では、夏鳥のサンショウクイが「ヒリリ、ヒリリ」と鳴きながら飛び回っていました。

サンショウクイ

4月中に伺う予定だったのがかなわず、やっと訪れることができた緑区のあるお宅の裏山では、クマガイソウが2株、咲いていました。1週間前なら、もっとたくさん咲き誇っていたはずです。

クマガイソウ

立夏を過ぎても、季節はまだ春です。春はこんなふうに加速しながら駆け足で過ぎていくので、追いかけるのがとても大変です。

 

 

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夏鳥の季節到来

5月に入り、博物館お隣の樹林地は新緑が日増しに濃くなっています。そんな中、夏鳥のキビタキがさえずっています。

キビタキ(オス)

キビタキは、この10数年で平地の樹林でも繁殖するようになりました。かつては山地の鳥だったのが、相模原市内でも相模川沿いの段丘崖の樹林地で繁殖するようになり、その後、平地林にも進出してきました。声も姿も美しいので、この季節の森歩きの楽しみとなっています。
日なたでは、クマバチが飛んでいます。

クマバチ(クマンバチ)

ホバリングしながら縄張りを守り、近づくライバルを追い払っています。くるくると向きを変えるのですが、お尻(正確には腹部ですが)がかわいいですね。

クマバチの後ろ姿

そして、5月2日、樹林地内に設置しているセンサーカメラには、ちょっと珍しい夏鳥が写っていました。

センサーカメラに写ったミゾゴイ

ミゾゴイです。山地の樹林の奥深くで繁殖するので、おそらくこの樹林地には渡りの途中に立ち寄ったと考えられます。センサーカメラを設置して5年ほどになりますが、初めての確認となりました。

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【予告:5月14日(土)】縄文時代集落跡の発掘調査現地説明会を開催します。

現在、相模原市中央区田名の花ヶ谷戸(はながやと)地区では、株式会社玉川文化財研究所により、発掘調査が行われています。

これは土地区画整理事業に伴う事前の発掘調査によるもので、何時代の遺跡なのか、遺跡の内容を記録し保存するためのものです。

発掘調査現場の位置

 

発掘調査中の遺跡は「当麻遺跡第3地点」と呼ばれ、今から約5,000年前の縄文時代中期の住居跡が50軒ほどみつかっています。今回の発掘調査現場の西側でも、過去に行われた国道129号線の改良工事、田名塩田原土地区画整理事業の事前の発掘調査により、縄文時代の住居が集中してみつかっており、縄文時代の集落跡であったことが明らかになっています。

図面の○が縄文時代の住居跡です。

 

この当麻遺跡第3地点の調査状況を広く一般に公開するため、5月14日(土)に現地説明会を開催します。発掘調査を担当している調査員から調査状況を解説していただき、出土した土器、土偶、石棒なども見学できます。また、当館からは関連資料として隣接する田名花ヶ谷戸遺跡の出土品を展示する予定です。

貴重な発掘現場や、縄文時代の人々が実際に使用していた土器などを間近で見学できる絶好の機会ですので、ぜひご参加ください。

現地説明会のチラシ

※申し込み不要、直接会場へお越しください(先着500名)。全体説明は午前10時、午後1時に行います。雨天中止。

文化財保護課ホームページ:
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/event/event_all/1025310.html

博物館ホームページ:
https://sagamiharacitymuseum.jp/blog/2022/04/29/0514gentisetumeikai/

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ここでお仕事!展示室に舘野さん

ゴールデンウィークに入り、開催中の舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」もたくさんの方に観覧いただいています。作者の舘野さんも、4月29日、30日、5月1日午前に在室してくださいました。

舘野さんが展示の一部になって仕事をしています

5月1日午前はなんと、舘野さんの仕事机を再現した展示の中で、製作中の絵本の仕事をされていました。本物の仕事風景!

製作中の絵本のラフを描いています

でも、お客様が来ると和やかにお話ししたり、絵本にサインをしたり・・。

サインにも気軽に応じてくれます

昆虫の標本を観察しているお子さんと昆虫談義に花を咲かせたり・・

舘野さんの隣で、昆虫標本を観察

そして、いよいよ当館ミュージアムショップでも絵本の販売が始まりました!

販売開始をお知らせするポスター

ゴールデンウィーク中は、5月3日と4日にも舘野さんが在室となります。サインなどにも気軽に応じてくれますので、ぜひご来場ください。

※5月2日と6日は休館となりますのでご注意ください。

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【現在展示中!】巡回ミニ展「尾崎行雄の不戦運動」を開催しています。

緑区又野出身の尾崎行雄をみなさんはご存じでしょうか?
「憲政の神様」「議会政治」の父と呼ばれる明治~昭和の政治家であり、「2つのフセン」が著名な活動として知られています。「フセン」とはすなわち、「普通選挙」と「不戦」です。

不戦運動に関する展示は、昨年博物館のエントランスにて「尾崎行雄を全国に発信する会」と行ないました。昨年度で不戦運動を行ってからちょうど100年目であり、この節目の年に当館にある尾崎の不戦運動に関する著作、日記、原稿を展示しました。エントランスでの展示の概要はこちらです。

昨年度の展示状況(博物館エントランス)。

 

現在は、生誕地である尾崎咢堂記念館に会場を移し展示しています。資料はいずれも写真パネルによる紹介です。

多目的室で展示中

原稿等は大きめのパネルで提示しています。

展示は6月12日(土)まで開催しています。尾崎の人柄やその思想について、記念館内の展示と合わせて学ぶ良い機会ですので、ぜひご覧ください。

施設の詳細はこちらです(相模原市ホームページ)。

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「ミニ下水道ワールド~こんじゃくものがたり編~」開催中!

現在、相模原市立博物館のエントランスで

下水道×博物館共催「ミニ下水道ワールド~こんじゃくものがたり編~」を開催中です。

会期は5月8日(日)までです。

上段が現在の下水道処理、下段が下水道ができる前について紹介しています。

今回の展示では、現在の下水道処理だけでなく下水道ができる前のことについても紹介しています。

それぞれの時代の汚水の処理の方法を比べてみると、その時に私たちが送っていた暮らしに合わせた仕組みであることが見えてきます。

詳細は、ぜひご来館いただき、直接ご確認いただければと思います。

また、この展示の隣にはバンダイナムコグループ「ガンダムマンホールプロジェクト」を通じて寄贈を受けた「RX-78-2ガンダムと小惑星探査機はやぶさ」「MS-06ザクⅡと小型月着陸実証機SLIM」デザインのマンホール蓋も展示しています。

時間によっては光ってしまうので、写真を撮影される方はご注意ください。

このガンダムマンホール蓋は、6月に博物館向かいにあるJAXA宇宙科学研究所前と博物館の最寄り駅であるJR淵野辺駅北口にそれぞれ設置される予定です。

こちらの会期も5月8日(日)までです。

博物館へお越しの際はぜひご覧ください。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」 (No100 二年間にわたり、ありがとうございました)

二年前の令和2年(2020)4月から開始した本ブログも、今回で100回を迎えました。その間、さまざまなテーマや内容のもと、博物館が撮影してきた写真を掲載してきましたが、とりあえず「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」シリーズは今回で終了します。長い間お読みいただき、まことにありがとうございました。

今回は、保管する写真の中で、改めて博物館の建設準備が本格的に始まった当初の昭和57年(1982)に撮影した、今から40年前の写真を中心に紹介します。

最初の写真は、ブログNo.7でも取り上げた1月6日の中央区・田名八幡宮での的祭(まとまち)で、保管する写真のうちでもっとも古いものです。子どもが的に向けて矢を射て、見事に的の中心に当たっています。また、的祭では終了後に上溝番田(ばんだ)の神代神楽(じんだいかぐら)が行われ、賑やかな祭りの様子が写されています。                                

 

市内では多くの稲荷社がまつられ、2月の初午(はつうま)を中心に祭りが行われています。次の写真は、中央区上溝の稲荷講(いなりこう)の幟(のぼり)です(2月10日撮影)。そして、せっかくですので翌年の58年2月にも再び訪れ、竿(さお)に飾った幟も撮影させていただきました。                                

 

祭りや行事のほかに、いろいろな農作業も記録しており、次の写真は南区下溝の麦蒔きの様子で、上の写真では麦を蒔くために畑をうなっています。また、かつては麦の種を肥料の堆肥(たいひ)に混ぜて蒔くことも多く、下の写真は堆肥をツミオケといわれる桶に入れて蒔く準備をしているところです(11月18日撮影)。                                   

 

最後に取り上げる写真は、特に昭和57年撮影のものではありませんが、上が令和3年(2021)7月に撮影した博物館の正面です。そして、下の写真は博物館の要覧に掲載された、開館した平成7年(1995)頃の様子で、明らかに正面の緑が少ないことが分かります。25年以上の月日による移り変わりの様子が示されており、こうした点からも写真は重要な資料と言えます。                                 

 

これからも博物館では、すでに保管している写真を活用しつつ、新たにさまざまな写真を撮影して、地域の変化を見据えながら記録を行っていきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

※本ブログとともに、博物館のHPでは「民俗の窓」として、平成22年(2010)度~28年(2016)度の、主に市内各地の祭礼行事等について紹介しています。トップページ右上の「リンク」→「博物館の窓」→「民俗の窓」からご覧いただけます。

 

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