7月31日、博物館のお隣の樹林地を歩いていると、葉にハートマークが見えました。
エサキモンキツノカメムシです。背中にハートマークを持つ昆虫として有名です。
そのすぐそばで、ハートマークに触発されたわけではないでしょうが、オジロアシナガゾウムシが交尾していました。
気温も湿度も高くて人間にはちょっと厳しい季節ですが、昆虫たちは元気です。
7月31日、博物館のお隣の樹林地を歩いていると、葉にハートマークが見えました。
エサキモンキツノカメムシです。背中にハートマークを持つ昆虫として有名です。
そのすぐそばで、ハートマークに触発されたわけではないでしょうが、オジロアシナガゾウムシが交尾していました。
気温も湿度も高くて人間にはちょっと厳しい季節ですが、昆虫たちは元気です。
7月29日、市内のある公園で、何かを重そうにくわえて飛んでいた鳥が、それを地面にボタッと落としました。
鳥は、今年生まれの若いシジュウカラ。落としたのは、スズメガの仲間の幼虫(イモムシ)でした。スズメガは大型の蛾で、イモムシも特大サイズです。さすがに重すぎたようで、2回ほどくわえなおして飛ぼうとするのですが、またあっけなく落としてしまいます。
そのうち人がそばを通って諦めてしまったのですが、くわえなおそうとしたところの写真を拡大すると・・
尾角(びかく)と呼ばれる、イモムシの一番後ろの節の背中側に細く突き出た部分をくわえようとしています。尾角は多くのイモムシについていて、例えばカイコにもありますが、いまひとつ、その役割がわかりませんでした。
身を守る何かだろうとは想像していたのですが、こんなもので身を守れるのか?という疑問が残ります。でも、このシジュウカラとスズメガのイモムシの様子を見て、こんなところをくわえたって落とすのはあたりまえだろうと思いました。ということは、あえて細い突起をくわえさせて、体をくねらせた拍子に落としてしまうのを狙っているのか・・
軽く胴体をくわえられるくらい大きな鳥にはまったく効果が無いため、その推測は満点ではないけれど、正解の一つなのではないかと思える観察となりました。
緑区太井・根小屋・小倉に広がる城山に所在した津久井城は、戦国時代の小田原北条家重臣であった内藤氏が城主でした。
貴重な地域遺産である津久井城跡の保存・活用を行うために、相模原市教育委員会文化財保護課、博物館、(公財)神奈川県公園協会の3者が連携を図り、各組織の市民ボランティアから有志を募り、2010(平成22)年から市民協働調査が行われています。
7月21日午前、市立博物館の地下の大会議室で第1回が行われ、令和3年度の調査体制、事業計画が説明されました。
その後、(公財)神奈川県公園協会の野口副園長と市教育委員会文化財保護課の齊藤学芸員により講座が行われました。
野口副園長の講座は戦国時代の「根小屋式山城」として整備された津久井城の歴史的な景観についてであり、津久井城の城主が内藤氏であったこと、本城曲輪、しんでん虎口(こぐち)、御屋敷曲輪など、どのような遺構が確認されているのかが紹介されました。
齊藤学芸員の講座は、市民協働調査の概要として今までの歩みと、測量調査および8回に渡る発掘調査が行われた城坂曲輪群5号曲輪について、どのような性格をもつ遺構があったのか紹介されました。
城坂曲輪群の協働調査の成果は令和3年3月に報告書として刊行されました。この報告書では1~4号曲輪と5号曲輪の調査がまとめられ、5号曲輪は庭園遺構に特化した曲輪であり16世紀後半の天正期に位置付けられています。
報告書に掲載されている城坂曲輪群5号曲輪からみつかった陶磁器、かわらけ、鉄製品も見学できるようにしました。
今年度の調査計画では、令和元年度まで調査していた5号曲輪の北東側にある6号曲輪が調査対象です。5号曲輪では池の跡があり、庭園として機能していたことが分かっています。それでは6号曲輪はどのような機能があったのか、今後の調査成果が期待されます。
これからも津久井城市民協働調査について、本ブログで紹介しますのでぜひご覧ください。本事業は新型コロナウィルス感染拡大防止のための措置及びご協力をいただいた上で実施しています。
本ブログの画像について、①は津久井町史 通史編 近世・近代・現代、②、③、⑩は『津久井城跡-城坂曲輪群1~5号曲輪の市民協働調査-』より引用しました。
7月25日、ボーイスカウト相模原第7団ビーバー隊(幼稚園年長から小学2年生まで)のみなさんが来館されました。事前に、自然観察会のご希望があったので、生物担当学芸員と一緒に「生きもの観察ビンゴ」と「葉っぱの工作」を行いました。
駐車場の木陰で、こまめに水分を取りながら、ビンゴに挑戦。7月17日に生きものミニサロンで行ったビンゴを、ビーバー隊のみなさん向けに少しアレンジしました。例えば「虫が食べたあと」というお題では、ほとんどのお子さんが葉っぱについた虫の食べあとを見つけてくれました。
先週はまだあまり無かったセミのぬけがらも、今日はだいぶ見つかりました。
「カメムシを見つける」というお題は意外と難しかったので、カメムシの仲間の昆虫である、アオバハゴロモをみんなで観察しました。茎に止まっている成虫に指を近づかると、ツツツ・・と歩いて裏側へ回る動きにみなさん興味深々でした。
ビンゴのまとめは「クモの形を正確にかいてみよう」の答え合わせです。
頭の方と腹の2つに体が分かれていて、頭の方から8本の脚が出ているというポイントは、大人のみなさんも知らなかったようで、「へぇー」と声があがりました。
続いて、シュロの葉で工作をしました。今回はカタツムリ。シュロという植物の説明の後、みんなで工作に挑戦しました。大人でも悪戦苦闘の様子でしたが、なんとか全員、カタツムリを作れました。
猛暑の中でも、午前中であれば土の地面の上の木陰は快適です。そんな野外の雰囲気も感じながらの楽しい自然観察になりました。
7月16日、関東地方が梅雨明けしました。
平年より3日早く、昨年より16日早かったそうです。
梅雨が明けてからは、毎日蒸し暑い日々が続いていますので、星空観察をする時も熱中症にならないように、こまめに水分補給をすると良いでしょう。
さて、梅雨明けとなり、星空観望会にはピッタリな季節ですが、新型コロナウイルス感染症拡大防止等の観点から7月を含めて2022年3月まで、博物館の星空観望会は中止することになりました。
今月の星空観望会で皆さんと見る予定だった天体は、はくちょう座の恒星「アルビレオ」でした。アルビレオは少し暗い星なので、見つけるのが難しいのですが、夏の大三角から探すと見つけやすくなっています。
アルビレオは夏の大三角のベガとアルタイルを結ぶ線の真ん中あたり、三角形の少し内側の位置で、暗め(3等星)に瞬いています。
肉眼で見ると1つの星のようですが、望遠鏡などで見ると、二つの星が寄りそって見える「二重星(にじゅうせい)」です。
輝きがオレンジとブルーの色で対比が美しく、人気のある天体です。
宮沢賢治の童話作品「銀河鉄道の夜」の中では、「青宝玉(サフアイア)と黄玉(トパーズ)の大きな二つのすきとおった球」と表現されています。
肉眼では1つの星にしか見えないアルビレオですが、スッキリと晴れた夜空で見ることができます。昔の人々も眺めていたアルビレオを、ぜひ、夜空で探してみてください。
前回は、夏場の祭りを代表するものとしてオテンノウサマ(お天王様)を取り上げましたが、同じ暑い時期の年中行事としてお盆があります。盆行事は各家で盛んに行われ、これまで多くの写真を撮影してきました
本ブログでもNo.20~23で盆行事を紹介しています。今回は盆に際して家に帰ってくる先祖のために、仏壇とは別に盆の期間中に作る盆棚の写真について、前回掲載しなかったものを中心に紹介します。
最初から四枚目までは南区当麻で、いずれも昭和62年(1987)8月13日に撮影したものです(最初の写真はブログNo.21でも掲載)。これらの四軒はお近所同士で、棚を出して位牌などを置き、前側に竹を立ててホオズキやトウモロコシなどを下げ、後ろに掛け軸を飾っています。それでも供え物など細かくは異なっているところもあり、なるべく多くの家を回って写真を撮ることも大切で、それぞれの家で撮影させていただきました。
次の四枚の写真は緑区相原で、この地区は7月に盆を行うため平成元年(1989)7月14日撮影です。この家では、周りに障子(しょうじ)を立てて三方を囲って小さな部屋を作るのが特徴で、他の家ではあまり見られません。
台の部分はゴザで見えませんが樽(たる)の上に板を置き、やはり前側の竹にトウモロコシなどを下げています。
また、No.21で記したように、棚の上にお供えをするほかに、下側にも無縁仏のために供え物をしています。
最後の二枚の写真は、文化財記録映画「相模原の年中行事」の際のもので、平成元年(1989)8月・南区新戸地区での撮影です。ここでは、蚕に桑を与える時などに使う給桑台(きゅうそうだい)を置き、その上に戸板を乗せてゴザを敷きます。
やはり盆棚の供え物のほか、棚の下にも地域の夏場のごちそうである酒まんじゅうなども供えられています。
以前はかなり盛んに行われていた行事が、現在ではなくなっていることも多い状況において、こうした写真が保管されているのは貴重であるとともに、今後、どのように変化しているかを探るためにも重要な資料と言えます。
7月19日、身近な山野を歩いては生きものを観察されている方から、相模原市内ではまだ確認されていなかった植物を見つけたと連絡がありました。緑区のその場所へ早速駆けつけてみると、山の中にひっそりとたたずんでいました。
その名はサガミラン。相模の名がついているのは、神奈川県内で最初に見いだされたからです。県内だけにあるわけではなくて、関東地方に広く分布しています。ただ、相模原市内では記録がなかったので、ちょっと嬉しい確認でした。
上の写真はつぼみの状態です。このランの花の寿命は短く、咲いたかと思うと1~数日でしぼんでしまいます。花がはっきりと開かないことも多々あります。開いてほしいと念じつつ、23日に再び訪れました。すると・・
19日に咲きそうだった花はすでに終わっていて、もう一つのつぼみの開花にはどうにか間に合いました。しっかりと開いた状態とは言えませんが、純白の花は、学名のCymbidium nipponicum(日本のシンビジウム)の名にふさわしい美しさです。
このランは、明瞭な葉が見られず、緑色の部分が少ないことからわかるように、菌従属栄養植物(光合成をほとんどせずに、樹木の根につく菌類に寄生する植物)です。この10年ほどの間に、こうした菌従属栄養植物が増加傾向にあるように感じられます。このランも来年は株が増えているかもしれないと期待を抱きながら、帰途につきました。
7月21日の朝は、空に気持ちの良い雲が広がっていました。
刷毛(はけ)でさっとなぞったような雲や、綿菓子をちぎったような雲、白く輝く絹のような雲などが青空に散らばっていました。これらはすべて巻雲(けんうん)で、一番高い空(高度5000メートル以上)にできる雲です。
この白い繊維のような雲の成分は、氷晶(ひょうしょう)と呼ばれる氷の粒です。これが高い空から落下しながら風に流されて、このような多彩な表情の雲になります。
典型的な巻雲である毛状雲(もうじょううん:刷毛でなぞったように見える“すじ雲”)の他、一部では濃密雲(のうみつうん)と呼ばれる大きめのかたまりもあり、また、鈎状雲(かぎじょううん)も見られました。鈎状雲は、氷晶が落下するときに高度によって風向きが変わったために、直角に曲がって見える雲です。
巻雲は気持ちのよい美しい雲ですが、鈎状雲や濃密雲は、時にお天気の下り坂の前兆にもなる雲です。でも、この日は日中もずっと夏空で、雲が太陽に負けてしまったようです。
夏場のお祭りというと、何といってもオテンノウサマ(お天王様)です。本ブログでもNo.17「キュウリの供え物」やNo.72「文化財記録映画・祭礼行事」などで関連する写真を紹介しており、そのほかにも各地の様子を撮影しています。
最初の写真は、やはり文化財記録映画「相模原の祭礼行事」で、緑区大島・古清水地区撮影の道切りです。オテンノウサマでは集落の境にそれぞれしめ縄が張られ、古い集落の道を歩いていると、道路をまたぐようにある道切りを各地で見かけます(昭和63年[1988]7月17日)。
二枚目の写真はNo.17でも掲載していますが中央区田名の堀之内地区で、手前の電柱に張られた道切りの奥では子どもたちが神輿(みこし)を担いでいます(昭和62年[1987]7月19日)。
次の三枚の写真はいずれも中央区田名・水郷田名地区で、かつての集落名としては久所(ぐぞ)と呼ばれていました。オテンノウサマでは神輿を担いで集落を回り、今では子どもたちの神輿も各地で造られています。
この地区では以前、神輿が相模川に入ることが見られました。オテンノウサマの神輿が川に入ることは「お浜降り」や「お浜入り」などと言われ、緑区青山の青山神社が知られていますが、かつては市内各地で行われていたとか、この点と関連して、オテンノウサマのご神体は川から流れてきたとの話も伝わっています(昭和60年[1985]7月21日)。
また、次の四枚の写真は南区下溝・古山(こやま)地区で、オテンノウサマというと囃子(はやし)が乗った屋台(やたい)と呼ばれる山車(だし)が神輿とともに巡行します。
古山では、かつてオテンノウサマのお宮があって現在は碑が建てられている前に来ると、神輿を左右に大きく振り、高く掲げることをします。そして、この場所でしばらく休む神輿を拝みに来る人も見られます(平成3年[1991]7月22日)。
市内では中央区上溝や緑区中野などのオテンノウサマが有名です(今年は上溝・中野とも中止となっています)が、祭りは今回紹介したように各地で行われており、市内の重要な民俗や文化として、今後とも地域でどのように実施されていくか注目していく必要があると言えるでしょう。
7月21日、すでにオープンしている「軍都さがみはら展」と同じ特別展示室で、7月22日からスタートする「わぉ!な生きものフォトコンテスト写真展」の準備を行いました。
思わず「わぉ!」と声が出てしまいそうな、生きものとの出会いを写した楽しい写真が25点、みなさまをお待ちしています。
グランプリ作品には、特別審査員の茂木健一郎さん(脳科学者)による素敵なコメントも(ちなみに、審査員には当館の生物担当学芸員も加わっています)。
お散歩中、あるいは通勤、通学途中の偶然の出会いや、身近な生きものたちの意外な表情をとらえた作品が多く、どなたでも楽しめます。ぜひご来場ください。なお、会場では密を避けて、できるだけ会話を控えめにご観覧ください。