市の至宝を展示中です!【田名坂上遺跡出土の三彩小壺】

現在、旧石器ハテナ館では、考古市宝展を毎月開催しています。これは市の遺跡から見つかった「これぞ!」という考古資料を月替わりで展示しているものです。

今回は田名坂上遺跡でみつかった市指定文化財「三彩小壺」が展示されています。
いつもは当館の常設展示にありますが、2月28日まで旧石器ハテナ館で展示されています。

奈良三彩とも呼ばれ、唐(現在の中国)で作られた唐三彩陶器をベースに日本で模倣したもので、釉(うわぐすり)がかけられています。この釉は緑釉(りょくゆう)、白釉(はくゆう)、褐釉(かつゆう)を用いるので、「三彩」と表現されます。

鏡で底の様子がわかります。

 

高さが4.1㎝と小ぶりで「小壺」と呼ばれるのも納得です。この小壺の出土例は畿内に集中しており、古代のお寺や役所から出土する事例が多いことから、当時の政府の祭祀や、仏教行事に使われたものと推測されています。東国では出土例が少なく大変貴重なものです。

展示の様子

展示は2月28日まで開催していますので、この機会にぜひご覧ください。
(考古担当学芸員)

【休館のお知らせ】相模原市立博物館は館内エレベーターの改修工事のため、令和6年2月29日まで休館となります。休館期間中も職員は出勤しております。電話や電子メールなどは通常どおりつながります。また、休館期間の学芸員の活動の様子などはこのブログや、SNSなどで発信してまいります。ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をいただきますようお願いします。

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雪の後の快晴

2月5日から6日にかけて降った雪が残る2月7日朝、快晴の博物館、天体観測テラスです。

天体観測テラスから西側を見たところ

西には雪をまとった丹沢の山塊がくっきりと見えます。

丹沢の山並 右端が丹沢最高峰の蛭ヶ岳(標高1372m)

丹沢の雪景色の写真は、朝しかこのようにくっきりと撮ることができません。それは、朝のうちは太陽が東にあって順光(写真の用語で、光を正面から受ける向き)ですが、日が昇るにつれて太陽が南側へ回り、次第に逆光に近くなっていくからです。
ほかの仕事をちょっと後回しにして、朝のうちに写真を撮影しておきました。
(生物担当学芸員)

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無口な考古資料

考古分野の重要な仕事に、資料の図化があります。

例えば、近年刊行された『川坂遺跡第3次調査』(相模原市教育委員会・相模原市立博物館2022)では、以下の縄文土器、石器の図面があります。
この土器、石器の特徴から何時代なのか、どのような土器や石器が主体なのか、遺跡の内容を知る根拠となります。

川坂遺跡の縄文時代住居出土の土器(一部)

川坂遺跡の縄文時代住居出土の石器(打製石斧、磨製石斧など一部)

 

ここでは石器の図化について説明します。
下の石器は、考古担当学芸員が黒曜石を用いて石の欠片(剥片:はくへん)を打ち剥がしたもので、方眼紙に作図しました。これはすべて手作業です。

黒曜石製の剥片(はくへん)(方眼紙小メモリ:1mm)

石の割れを表現したもので、以下の図のように「リング」、「フィッシャー」を読み取り、剥離方向を特定します。特定したのち、剥離の順序に沿って剥離面を描写します。

田中英司2004『石器実測法 情報を描く技術』雄山閣より引用、一部加筆

現在、当館研究報告に掲載予定の石器が9点あり、最近まで図面を作成していました。
下の石器はそのうちの一つで、狩りの道具である石槍です。安山岩という種類の石で作られており、真ん中から下は折れて無くなっています。

安山岩製の石槍(方眼紙小メモリ:1mm)

 

実測図が完成したら、スキャンし、描画ソフトでトレースします。

トレース後の実測図 両側から打ち剝がされたことが分かります。

トレースが完了したら出来上がりです。考古担当学芸員が学生のころは、製図ペンや丸ペンといった製図用具でトレーシングペーパーにトレースしていました。

石器がどのような剥離方法で作られているのか、丹念に読み取らなければ、実測図として成立しません。大学生のころ、指導教官に「手にした石器のきれいな実測図が書けなければ、どんな石器を見ても全く分からない」と言われました。
はじめて実測に取り組んでいた私は何気なく納得していましたが、この言葉の重みは今でも痛感しています。

土器よりも見栄えせず、何を以って石の道具なのか、いろんな方に聞かれます。こちらが読み取る意思を持てば持つほど、石器はおしゃべりになってくれます。

展示室では見やすい資料ではありませんが、機会があればぜひ石器の割れ口を観察してみてください。

(考古担当学芸員)

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「市民学芸員かわら版」バックナンバー展を麻布大学いのちの博物館で開催中!

2月1日から、麻布大学いのちの博物館で出張ミニ展示「市民学芸員かわら版」を開催しています。

麻布大学いのちの博物館

「市民学芸員かわら版」とは、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」の情報発信チームが作成する壁新聞です。企画立案から情報収集、記事のレイアウトまで全て市民学芸員が行い、自然・歴史・文化に関する様々なトピックスについて、市民目線を取り入れながらわかりやすく紹介しています。
通常は数ヶ月ごとに最新号をお届けするのですが、現在、当館は臨時休館期間中ということで、「麻布大学いのちの博物館と相模原市立博物館との連携事業に係る覚書」を取り交わしている麻布大学いのちの博物館でバックナンバー展を出張展示することになりました!

展示の様子

市民学芸員が作成する「市民学芸員かわら版」の展示設営はもちろん自分たちの手で…ということで、市民学芸員情報発信チームを中心とする有志のメンバーが麻布大学いのちの博物館で出張設営しました。

それぞれ分担して…

パネルのピン打ちもお手のもの!

当館では普段、最新号のみを掲示しているため、広いスペースにバックナンバーが並ぶ様子は圧巻です。市民学芸員が選りすぐった全6点を展示していますので、これまでご覧になれなかった方や、もう一度ご覧になりたい方も、ぜひこの機会に足を運んでいただければと思います。展示期間は令和6年2月1日(木)から4月26日(金)までです。

ズラリと並ぶ「市民学芸員かわら版」

もう一度ご覧いただけるチャンスです!

なお、麻布大学いのちの博物館への入館は、電話による事前予約が必要です。開館情報や入館方法の詳細は、麻布大学いのちの博物館ホームページをご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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2月星空情報「うるう年」

みなさんは今月のカレンダーを見て、あれ?1日多い、と思いませんでしたか?

カレンダー(2月29日)

2024年は「うるう年」なのです。それでは、どうしてうるう年ってあるのでしょうか?

それは1年の長さ(地球が太陽の周りを1回公転する時間)が、1日の長さ(地球が太陽を基準にして1回自転する時間)で割り切れないからです。
まずは、実際に地球が太陽の周りを1回公転する時間である「1太陽年」が、約365.2422日であることを覚えておきましょう。

地球の公転(イメージ図)

現在、世界の多くの国で使用されているカレンダーは「グレゴリオ暦」と呼ばれる暦です。グレゴリオ暦は、地球が太陽の周りを回る周期を基にしてつくられた「太陽暦」のひとつです。

1582年にローマ教皇グレゴリウス13世が制定しました。各国が導入した時期はまちまちで、現在も使用していない国があります。日本では明治6年(1873年)に採用しました。

グレゴリウス13世

ヨーロッパ諸国がグレゴリオ暦を導入する前に使用していたのが「ユリウス暦」です。ユリウス暦も太陽暦のひとつで、古代ローマのユリウス・カエサルによって制定され、紀元前45年から実施されました。

ユリウス・カエサル

ユリウス暦でもうるう年を置いており、4年に1度、1年を366日にします。
ユリウス暦の1年は365.25日ということですので、1太陽年と比べると、1年で11分14秒ずれることになります。これは128年で1日分のずれに相当します。

一方、グレゴリオ暦は4年に1度、1年を366日にすることはユリウス暦と同じです。
グレゴリオ暦ではさらに、400年間に3回だけうるう年を省きます。すると、グレゴリオ暦の1年は365.2425日となって、1太陽年と比べると、1年で26秒ずれることになります。これは約3000年で1日分のずれに相当し、ユリウス暦よりかなり精度が高くなっていることが分かります。

ちなみに、2月だけが他の月よりも日数が少ないのは、古代ローマで使われていた暦が、現在の3月にあたる月が1年の始まりで、2月が最後の月だったからです。

例年より増えた1日を、みなさんにとって大切な1日にしてください。
(当館プラネタリウム解説員)

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鵜野森柏木北遺跡の現地公開をおこないました。

1月27日、午後から鵜野森柏木北遺跡の現地公開をおこないました。

博物館からは平成15年度に近くで発掘調査された時の土器、鉄製品を展示しました。

平成15年度の出土遺物

 

現地公開には145名の参加があり、出土遺物、調査区で見つかった古代の住居跡などの説明がありました。多くの方に足を運んでいただき、ありがとうございました。

こちらはA地区です。文化財保護課の職員が説明しています。

調査区の説明

 

こちらはB地区です。

 

本村市長にもご参加いただき、古代の土器の特徴などを考古担当学芸員から解説しました。

出土した土器の特徴を解説しています。

遺跡の現地公開は、発掘調査の様子やどのような住居跡であったのか、現地で体感してもらい、調査状況を広くお知らせすることが目的です。発掘調査の状況や調査中の住居跡を実際に目にすることができる機会はかなり限定されます。

これからも機会を捉えて、遺跡の重要性、さらには保護していくことの大切さを伝えていきます。

(考古担当学芸員)

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ウグイスカグラ開花

博物館の前庭で、ウグイスカグラの花が咲きだしました。

ウグイスカグラの花

博物館は現在休館中ですが、歩道から入ることのできる場所です。それにしても、注意深く見ないと、花が咲いている木にはとても見えません。

中央の、葉がまったく開いていない低木がウグイスカグラです

冬の間に咲く花は、例えばツバキやフクジュソウなどいろいろありますが、ウグイスカグラの花は直径1センチメートルほどで、あまり目立ちません。なぜ、よりによってこんな真冬に・・と思えてなりません。
ただ、ウグイスカグラの花期はとても長く、これから春まで咲き続けます。夕方の日がはっきりと伸びてきたこの頃です。気候の変化を敏感に感じ取り、本格的な開花期の助走をしているようなものかもしれません。
(生物担当学芸員)

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「若あゆ」「やませみ」といえば‥?

相模原市民のみなさんは、「若あゆ」と聞いたら、相模川沿いの体験施設のこと!?とピンとくる人も多いのでは?

11月の出来事になりますが、昨年度に引き続き、若あゆ(相模川自然の村野外体験教室)との連携事業「博物館×若あゆ 宇宙&野外炊事イベント」を実施しました。博物館と若あゆ、どちらにもある大型望遠鏡を一日で両方とも使って星空を観察してみるという「宇宙を身近に感じられるまち さがみはら」ならではの企画です。

今年度は試行的に受付をネット予約のみにしたところ、定員の約2倍のお申し込みをいただきました。参加できなかった方ゴメンナサイ。

若あゆにあったウェルカムボード

野外炊事では、おいしいカレーに舌鼓だったそう!(羨ましい!)

当日は曇天だったため、昼夜ともに星空観察はできず、望遠鏡の仕組みなどのお話のみになりました。

昼間の観望会イメージ

それでも博物館のプラネタリウムでは星空解説をばっちりご覧いただけましたので、天気の良い日、ぜひ実際の空で星空観察を楽しんでくださいね!

(別日に撮影。若あゆの天文台からこんな夜空が見えるはずでした)

参加者のみなさん、ありがとうございました。

さて、タイトルに「やませみ」と書きましたが、「若あゆ」ときて「やませみ」と続けば、藤野にある体験教室のこと?と、これまたピンとくる方も多いのでは?

やませみ」では(これは博物館との連携事業ではありませんが)、第3回やませみ自然体験スクールとして、「昔体験」をテーマにした、こんな事業を実施するそうです。

イベントチラシ表面

好評につき、既に満員とのこと。こうしたイベントに興味を持っていただけた方は、ぜひ今後のイベント情報にもご注目くださいね!

(館長)

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【伊勢との同時展も!】出張ミニ企画展「憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)」

昨年、本市出身の政治家・尾崎行雄(咢堂)が議会史上に残る「桂内閣弾劾演説」を行ってから110年の節目にちなんだミニ企画展「憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)」を当館で開催しました。

当館の展示をお見逃しの方や、もう一度展示をご覧になりたい方に朗報です!
好評いただいたこのミニ企画展を、本日1月27日(土)から尾崎の生誕地である市立尾崎咢堂記念館(緑区又野)で出張展示します。展示情報はこちらをご確認ください。

憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)

第三次桂太郎内閣を倒閣に至らしめた「桂内閣弾劾演説」や、盟友・犬養毅とともに「憲政の二柱(ふたはしら)の神」と並び称された第一次護憲運動における尾崎の活躍を中心に紹介していますので、この機会にぜひ市立尾崎咢堂記念館へお出かけください。
(※パネル展示の内容は、昨年当館で開催したものと同一です。)

展示の様子

また、今回の出張ミニ企画展には、もうひとつ特別な意味合いが込められています。このブログをご覧の皆さまは、三重県伊勢市にも「尾崎咢堂記念館」があることはご存知でしょうか?
尾崎は本市で生まれた後に上京しますが、13歳の頃から2年半ほど伊勢で過ごした時期がありました。その当時に政治家になることを志し、第1回衆議院議員総選挙で三重県から立候補して初当選、のちに連続当選25回の偉業を成し遂げます。いわば、伊勢は尾崎の立身の地なのです。

尾崎咢堂記念館(三重県伊勢市)

このたび、縁あって伊勢市の尾崎咢堂記念館でもこのミニ企画展を開催することになりました!尾崎の生誕地である相模原、尾崎が政治家を志した伊勢、ふたつの「尾崎咢堂記念館」による同時展をたくさんの方にお楽しみいただければと思います。
本市とは展示期間が異なりますので、詳細はこちらをご覧いただき、あわせて伊勢市ホームページもご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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1月星空情報②「カノープス」

冬の夜空には多くの一等星が輝いています。
この中の星をいくつか結ぶことで、この時期の夜空のシンボル「冬の大三角」と「冬のダイヤモンド」を作ることができます。

冬の大三角
(相模原市立博物館天文クラブ会員 撮影)

冬のダイヤモンド
(当館職員 撮影)

そして、そのいずれにも使われていない一等星、
それが今回ご紹介する「カノープス」です。

相模原から見たカノープス
(当館職員 撮影)

この時期、南の空で見頃になるカノープスですが、相模原市内から見る空では、地平線に近いところまでしか昇りません。そのため、相模原市内で目にする際は、南の低い空が見渡せるところを探す必要があります。

カノープスは全星座の中で二番目に明るく輝く白い星です。しかしながら、相模原市内から実際に目にすると少し暗めの赤っぽい星として見えます。空の低い位置に見える星は、夕日が赤く見えるのと同じように地球大気の影響などにより、本来の明るさや色と比べて暗く赤っぽく見えるようになります。

カノープスを見つけるには、冬の大三角や「シリウス」を目印に使うと探しやすくなります。

カノープスの探し方
(当館職員 撮影)

また、見頃となる時間はわずかなため、南の空に昇る時間帯を調べておくのも大切です。相模原市内の空で、カノープスが真南に見える時間は以下になります。

1月20日 22時07分頃

2月1日  21時20分頃

2月10日 20時45分頃

2月20日 20時06分頃

中国では、カノープスを見た人は長生きできると伝えられています。
めったに見えないことから、このような伝説が作られたのかもしれません。
今月と来月はカノープス探しにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
(当館プラネタリウム解説員)

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