ホウジャクの産卵

8月11日、博物館駐車場のフェンス沿いを歩いていると、ホウジャクが飛んでいました。

ホウジャク

一見するとハチドリのように見える蛾なので、蜂雀(ほうじゃく)という名が付いています。他の蛾の仲間と異なり、昼間、ホバリングしながら盛んに花の蜜を吸います。ところが、飛んでいる場所には花など咲いておらず、何をやっているのかなとしばらく観察していると・・

ヘクソカズラの葉裏に産卵するホウジャク

産卵でした!ホウジャクの幼虫はヘクソカズラを食べます。果たしてホウジャクが飛び回っていたのは、フェンスに絡みついたヘクソカズラのまわりです。ホウジャクが飛び去った後に葉裏を覗いてみると・・

真珠のようなホウジャクの卵

真珠のような卵がついていました!ホウジャクはとても美しい蛾なので、それだけでも見られるとちょっと嬉しいのですが、この宝石のような卵を見ることができて、とてもラッキーな気持ちになりました。
(生物担当学芸員)

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ゴミを背負う虫

博物館駐車場のクワの木を見ていたら、葉の上をゴミが動いていました。

葉の上を動くゴミ

おやおや?と思って接写してみました。

ゴミの下には脚や口器が見えます

さらに拡大すると・・・

正体は、クサカゲロウ類の幼虫でした

クサカゲロウの仲間の幼虫です。背中の鉤(かぎ)状の毛で、植物片や捕食した虫の死骸などをひっかけて背負って行動します。ゴミにカモフラージュしているのでしょうか。
しかし、撮影した際も、かなり活発に動き回っていて、せっかくゴミに似せても虫であることはバレバレです。
こんなふうにカモフラージュしている虫もいれば、サクラの幹にはこんな虫が歩いていました。

ヨコヅナサシガメの幼虫

ヨコヅナサシガメの幼虫です。樹脂で作った人形のような光沢があり、こんな色合いでは目立ってしまうように思います。カモフラージュなのか、警告なのか、一筋縄では理解できないような色あいや形の虫たちです。
(生物担当学芸員)

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砂を顕微鏡で見てみよう

こんにちは!令和5年度地質分野学芸員実習生です。

8月4日に実習実験室で「いろいろな砂を顕微鏡で見てみよう」を開催しました。

神奈川県の河川の砂から全国の海岸の砂、海外の砂、南極の砂まで様々な砂を顕微鏡で観察してもらいました。

砂はただ見ただけでも色や粒の大きさが様々ありますが顕微鏡をのぞくとどうやら別の世界が見えたようです。

「わぁー!お母さんすごいよ!みてみて!」とかわりばんこに顕微鏡をのぞいていきます。

キラキラしている石や、貝殻のかけら、とげとげした生き物の殻など砂の中には様々なものが見えました。

みんな集中して顕微鏡をのぞく場面も。

こちらは鳴き砂体験コーナー。

キュッと音が鳴る不思議な砂ですが、鳴らすには少々コツがいるようです。

うまく鳴らすことができると拍手が!

最後には記念に砂カードを作成しました。

サハラ砂漠の砂、沖縄の砂、由比ヶ浜の砂の中から一つ選んでカードを作ってもらいました。

どうやらサハラ砂漠が人気のようです。

実際に作ったカードはこちら。↓

みんな喜んで持ち帰っていました。

皆さんも河原や海岸に行ったときに砂に何が入っているか観察してみてください。

たくさんの方にご来館いただき、ありがとうございました。

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放送大学の資料映像を収録

8月6日、博物館2階の市民研究室がスタジオに早変わり!

市民研究室でのインタビュー

これは、放送大学の2024年度前期の講座「コミュニティと教育」の第10回「地域社会の学習拠点としての施設」の中の資料映像を収録しているところです。この回を担当する青山学院大学コミュニティ人間科学部の大木真德准教授が、当館の市民学芸員のお二人から話をうかがっているところです。
市民学芸員はこの日、3日間にわたるクイズラリーの最終日でした。運営の様子も撮影。

景品の交換の様子を撮影

参加者の声も取材されていました。

的確なコメントをいただいています!

また、学芸員からも、博物館におけるボランティアの存在やその意義についてコメントしました。
撮影に加えて照明・録音、ディレクターがそれぞれ配置された万全の撮影クルーが、丸1日かけて収録していました。

本格的な撮影クルーによる取材です

大学教育としてのクオリティをしっかりと意識した、綿密で丁寧な映像制作の現場を見ることができました。
放送は来年6月頃の予定です。
(生物担当学芸員)

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【最終日】探検!発見!クイズラリー2023

こんにちは、民俗担当の博物館実習生です。
8月6日、当館のボランティア「市民学芸員」によるクイズラリー2023が最終日を迎えましたので、その様子をレポートいたします。

この3日間でのクイズラリーの参加者数は600人を超える大盛況となりました。
最終日である本日は、通り雨に見舞われながら多くの来館者の方がお見えになり、クイズラリーを始めとして「岩石かあさんのパフォーマンス」などを楽しまれている様子でした。

 

私たちも実習の一環として、市民学芸員の皆さんとクイズラリーの運営をご一緒させていただきました。

流れとしては難易度別に○×クイズとクロスワードクイズの二種類を受付で配布し、来館者の方に常設展の流れに沿って解答していただきました。

私たちも午前のはじめはクイズを解きながら常設展を回り、解いていく最中で気になったポイントを確認しました。

その後は、受付係・答え合わせ係・展示誘導係に分かれて、交代しながら市民の方とのかかわり方を学ぶと同時に、市民学芸員と博物館のつながりを実感しました。

答え合わせの後は市民学芸員の皆さんが手作りした記念品をお渡ししました。
折り紙の独楽(こま)や押し花のしおりなどを悩みながら選び、笑顔で帰っていくお子さんの姿を見送りました。

当日は日曜日でクイズラリー最終日と言うこともあり、多くの来館者と学びに恵まれる一日となりました。
クイズラリーが開催される際は、また多くの皆さんに楽しんでいただけると嬉しいです。

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アシナガバチが巣をつくる場所の意味

8月6日、久しぶりの雨模様となりました。といっても、晴れ間と豪雨が交互に入れ替わる、激しい天候でした。雨が降り出すと、バケツをひっくり返したような・・という表現がぴったりの降り方で、博物館エントランスの中庭は滝が出現する演出でもしているかのような雨だれでした。

軒から滝のように落ちる雨だれ

そんな中、あのキアシナガバチの巣はどうなっているのか見てみると・・

まったく濡れていない!

なんと、この豪雨でもまったく濡れていません。キアシナガバチが、ここなら雨にあたらないということを、どのように理解して選んだのか不思議です。
この日は猛暑に加えてこの不安定な天候もあり、来館者も多く、たくさんの方がこの巣を観察していました。

少年の指先に、ガラス越しのキアシナガバチの巣

このご家族はハチたちが幼虫のお世話をするのを見て、「かわいいねー」と連発していました。餌の肉団子(イモムシなどほかの虫を捕らえて丸めたもの)を持ってきているところも見られて、間近で見るハチの子育ての様子に感動されたようです。

かぶりつきで見上げられるチャンスはそうそうありません!

まだしばらく、この巣に注目していきたいと思います。
(生物担当学芸員)

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探検!発見!クイズラリー2023

本格的な夏の訪れとともに、今年もこの季節がやってきました。当館のボランティア「市民学芸員」による夏休み恒例イベント、「探検!発見!クイズラリー2023」を8月4日(金)~6日(日)の3日間開催しています!

エントリーは受付で問題用紙をもらうだけ!

受付で問題用紙を受け取るだけで参加完了!展示室にある資料を観察し、クイズの正解を見つけ出します。
今年は難易度別に「クロスワードクイズ」と「○×クイズ」の2種類をご用意しました。小さなお子さまから、クイズに自信がある方まで、幅広くお楽しみいただけると思います。

お祭りの屋台みたいに選ぶのが楽しい!市民学芸員の手作りです。

最後までクイズに挑戦いただいた方には、参加証や選べる記念品もプレゼントしています。夏休みの思い出にぜひご参加ください。

好評!岩石かあさんのパフォーマンス

また、8月5日(土)、6日(日)は、市民学芸員有志の“岩石かあさん”による「相模原の台地のでき方」も実演しています。元気いっぱいの岩石かあさんが、楽しく・わかりやすいパフォーマンスで相模原台地について教えてくれます。
イベントの詳細はこちらをご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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‟どうする家康”関連ミニ展示、今回は若竹園へ

NHK大河ドラマ「どうする家康」が絶賛放送中ですが、これに関連して相模原市立博物館ではミニ展示「相模原にもあった!?徳川家康ゆかりの地」を開催しました。
昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の関連巡回ミニ展示が大変好評だったことから、本年もドラマの放送期間に合わせ、市内各所で巡回展示を実施しています。

当館、吉野宿ふじや、麻布大学いのちの博物館と続き、4ヶ所目となる今回は施設からのご依頼により、市内南区若松にある老人福祉センター若竹園で展示をしています。

会場の様子

展示期間は8月5日(土)~8月27日(日)と、これまでの会場より短めですが、会期中は毎日開館しています!
これまでご覧になれなかった方も、もう一度ご覧になりたい方も、万全の暑さ対策でぜひお越しください。

(歴史担当学芸員)

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【開催中!】市史ミニ展示 津久井郡内郷村の民俗研究者・郷土史家-鈴木重光コレクション-

8月1日(火)から、当館の常設展示内で市史ミニ展示を行っています。

テーマは「鈴木重光(しげみつ)」です。
鈴木重光は旧津久井郡内郷村の民俗研究者・郷土史家です(1887~1967)。民俗学者の柳田國男とも親交が深く、多くの著作を残しています。

鈴木重光(左端)昭和16(1941)年撮影

当館では鈴木重光が集めた資料約8万点を収蔵しています。近年、当館歴史ボランティアグループである「水曜会」により目録が整備され、その全体像が明らかになりました。いずれも大正~昭和の貴重な資料です。

今回の展示では鈴木重光の略年譜、研究業績を紹介し、膨大な資料の中の一部を展示しています。

着せ替え人形

おばけかるた

展示の様子

このミニ展示は9月10日(日)まで開催していますので、ぜひご覧ください。
また、9月、10月には日露戦争や内郷村周辺の民俗をテーマとして、展示の内容を変更しますので、お楽しみに。

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セミの受難

このところ、セミの羽化など夜の自然観察について頻繁に投稿しています。その中で、7月29日に実施した大野南公民館でのセミの羽化観察会のために、公民館の実行委員のみなさんと7月27日に現地を下見しました。その際、衝撃的なシーンに出会いました。羽化しかけたセミの幼虫に、スズメバチが襲い掛かっていたのです。

スズメバチの一種に食べられる羽化直前のセミの幼虫

ちょうど羽化が始まって背中が開いたところを、スズメバチの一種が目ざとく見つけて食いついたのです。セミの幼虫はなすすべもなく体をちぎられて肉団子にされていました。5年余りを地中で過ごし、やっと地上へ出て成虫になろうというところで起きた悲劇です。
・・と書くのは、セミの側からの一方的な見方ですね。生態系を客観的に見れば、スズメバチにも事情があり、おそらくこのセミの肉団子は、巣へ持ち帰ってスズメバチの子育てに使われるものです。
そもそもスズメバチがそうして増えると危なくて困る、というのは人間の側からの見方です。スズメバチやアシナガバチなど肉食性のハチがいなければ、イモムシなどが増えすぎて植物が食べて尽くされてしまう可能性もあります。

羽化場所を探して地上を歩き回るアブラゼミの幼虫

懸命に羽化の場所を探して歩き回るセミの幼虫を見ていると、応援したくなるのは当然です。でも、たとえそれが鳥やハチなどに食べられたとしても、そうした関係性も含めて生態系のバランスが保たれていることを、しっかり伝えていきたいと考えています。
(生物担当学芸員)

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