土器×2タッチ、今年もやります!

博物館で遺跡に親しんでもらうために、当館では「土器×2タッチ」を一昨年から始めています。
以前、この記事でも紹介しました。
このイベントは市内出土の土器・石器に実際にさわってもらう企画です。

今年は博物館の考古のボランティアである「相模原縄文研究会」と一緒に、
さわれる土器の選定作業を行いました。



縄文土器と一言で表現しますが、すべてが唯一無二!
面白い土器をさわってもらいたいので、一生懸命選びました。


今年度は以下の日程で行います。時間は13:30~15:30まで、エントランスで行います。
4月27日(日)、5月25日(日)、6月22日(日)、8月23日(土)、9月14日(日)、
10月26日(日)、11月23日(日)、12月21日(日)、1月24日(土)、2月21日(土)
3月21日(土)

ぜひこの機会にタッチしてください!
ご来館をお待ちしております。
(考古担当学芸員)

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今年もエナガ団子

4月下旬に入ると、エナガの巣立ち期になります。巣立ち後10日間くらいは、ヒナたちはまだ十分に体力も無いため、時々枝上に並んで休息します。その時、エナガはくっつき合って休息する習性があり、ぎゅうぎゅうにとまるその状態を“エナガ団子”などと呼び、バードウォッチャーの「見たいシーン」の一つになっています。今年も市内緑区の相模川で、エナガ団子を観察することができました。
まず、エナガの家族群を探すところから始まります。この日も歩いて10分ほどで、小さな地鳴きの声が頭上から聞こえてきました。

エナガの巣立ちビナ

エナガの巣立ちビナです。親鳥について回りながら、自分たちでも食料を探しますが、まだまだうまくはいきません。親鳥から頻繁に給餌を受けています。

餌をねだる巣立ちビナ(左)

そして、30分近く群の様子を眺めていると、ある木の枝の中にヒナたちが集まりだしました。次々と体をくっつけ合って並び、エナガ団子が大きくなっていきます。ただし、団子の中へ入るのはかなり強引です。どの子も内側でぬくぬくしたいので、真ん中あたりへ飛び込んで無理やり入ります。

内側へ入ろうとしてきょうだいの背中に乗ってすき間をこじあけるヒナ

この家族群の巣立ちビナは10羽でした。エナガでは標準的な数ですが、一つの巣から一度にこんなたくさん巣立つというのも驚きです。ある子は目をつむって眠り、ある子はまわりを気にしてキョロキョロ。そしてもちろん、親鳥が近づくとみんな揃って餌をおねだり。

一斉に餌をねだる巣立ちビナたち

こんな様子を映像でも撮影してみました。

ところで、給餌している個体を親鳥と書きましたが、この家族群には給餌個体が少なくとも3羽いました。オス親、メス親と、もう1羽はヘルパーです。ヘルパーとは、繁殖に途中で失敗したり、つがい形成できなかった成鳥が、子育てを補佐して給餌する個体のことです。エナガではよく知られています。これだけの数を数週間のうちに育て上げるには、ヘルパーの存在が重要なのかもしれません。
(生物担当学芸員)

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馬入水辺の楽校で自然観察入門講座を実施

4月19日、平塚市の相模川河川敷内にある「馬入水辺の楽校」で自然観察入門講座が実施され、当館生物担当学芸員が講師としてお手伝いしてきました。
水辺の楽校とは、市民団体や河川管理者、教育関係者などが一体となって、地域の身近な水辺における環境学習や自然体験活動を推進するため、国土交通省、文部科学省、環境省の3省が連携して進めているプロジェクトです。
今回は、自然観察をとおして水辺の楽校の仲間を増やすため、様々な自然観察の実践を紹介するシリーズの講座の初回でした。朝、集合して早速、たくさん飛んでいるクマバチの観察です。捕虫網で捕まえたい参加者のお子さんのはやる気持ちを少し抑えてもらい、すぐに捕まえずに、飛んでいる様子を観察しました。すると、何のために飛んでいるのか?飛んでいるのはオスか?メスか?などさまざまな疑問が沸きました。そこで、改めて、参加者に捕まえてもらいました。

ケースに入れてクマバチを観察

ケースに入れてじっくり観察すると、顔はかっこよくて、お尻はカワイイ、などの感想が聞かれます。そして、昆虫図鑑を持参していた参加者から、オスとメスの見分け方がレクチャーされました。結果、オスもメスも飛んでいることがわかりました。
この日はいろいろなミッションを用意して取り組んでもらったのですが、その一つが、タンポポの識別です。咲いているタンポポをよく観察して、在来種と雑種、シロバナタンポポなどを見分けたうえで、頭花を採集しました。

タンポポを採集してデータを記入

採集した頭花は、午後の室内実習の際に、花粉を顕微鏡観察しました。
さらに、ルーペを使わないと見つけられない小さな花の観察や植物の分類クイズなど、ふだんはあまり植物を扱わない子どもたちも積極的に参加してくれました。特に、このブログでも紹介したキュウリグサとハナイバナの違いの観察では、キュウリグサばかりの中で、ハナイバナを全員で探し回りました。結果、限られた区域にしか生えていなかったハナイバナを見つけた大人が本気で喜んで盛り上がっていました。
途中、コナラの枝が積んである下の腐葉土に、カブトムシの幼虫がいると子どもたちが教えてくれました。子どもたちは掘って幼虫を見たくてしかたありません。そこで、ここの幼虫をまだ見たことない大人の参加者に対して、子どもたちがレクチャーすることを条件に掘ってもらいました。

おっきい!カブトムシの幼虫

オスとメスの見分け方も大人へ教えてくれています。

子どもの説明に聴き入る大人たち

近くのエノキの大木では、枝が子どもたちの“ゆらゆらイス”になっていました。こんな光景を見ているだけで幸せな気分になります。

エノキの下は休憩所

お昼を挟み、午後は室内で自然観察会をどのような方針で企画するのかという大人向けのお話をしましたが、途中、室内でもできる自然観察のプログラムを入れて、子どもたちにも参加してもらいました。最後には飛ぶタネのモデルとして、ティッシュペーパーだけを使った落下傘作りをして終了。

のりもテープも使わず、ディッシュペーパーだけで作った落下傘

朝から午後までの長丁場の講座でしたが、自然観察は、まずはじっくり見て、それをみんなで共有することが基本であることが伝わったのではないかと思います。
(生物担当学芸員)

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ミニ展示「博物館で五月人形」が始まりました。

本日、4月22日から当館エントランスに五月人形が展示されています。
これは当館の博物館ボランティア「市民学芸員」によるものです。

場所は情報サービスコーナーであり、ちょうど津久井城跡の展示の正面になります。
昨日21日に、市民学芸員により設営されました。

展示準備中!

壁には・・・

ミニこいのぼりが!

当館の体験学習用に活用していた鎧兜も展示中!

下から撮ってみました。

今回は関連行事「博物館で端午の節句!」を予定しており、5月5、6日の午前11時~3時まで、フェルト製の兜をかぶっての写真撮影や、ぶんぶんゴマを作って遊べます。
また、市民学芸員「紙芝居クラブ」による端午の節句にちなんだ演題の紙芝居も、
各日2回上演します。
いずれもエントランスで行いますので、ぜひご参加ください。

五月人形は5月18日(日)まで開催いたしますので、併せてご覧ください。
(担当学芸員)

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カワラゴミムシ

市内の河川敷で、カワラゴミムシという昆虫を観察しました。
カワラゴミムシは環境の良い河川の砂地にのみ住む虫で、生息地はあまり多くはないといわれています。良好な河川環境がまだ残る相模原市は、この虫の県内における重要な生息域のひとつです。

カワラゴミムシ

とても素早く動くことができる虫で、砂の上を驚くようなスピードで走り回るため、撮影にはとても苦労しました。
おまけに、少し落ち着いたかと思えば、すぐに隠れようと砂の中に潜ってしまいます。

カワラゴミムシを正面から

正面から見ると、かなり大きな眼をしているのが分かります。
茶色の大あごもよく目立ち、面白い顔です。

まん丸の体に、黄色と緑の模様が美しいです。
鮮やかなはずの模様は、砂の上では、砂粒の色に紛れて見事な保護色となります。
最初の写真とぜひ見比べてください。
(動物担当学芸員)

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生きものミニサロン「春の花と虫を探そう!」を実施しました

4月19日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。
今回の主役は博物館周辺の春を彩る青い花、フデリンドウです。
(フデリンドウについては、本投稿以前のブログ記事(4月5日)(4月19日)もぜひ併せてご覧ください。)
博物館の敷地とお隣の林の中を歩き、今が見ごろのフデリンドウを探します。

フデリンドウ

実は、今日のミニサロンではみなさんと取り組むミッションがあります。
それはフデリンドウマップ作り!
花を見つけたら大きな紙の地図に水色のシールを貼って、花の場所をマップにします。

まずはフデリンドウについて簡単にお話をし、実際に花を探して目を慣らします。

たくさんの株が見つかります

みなさん、次々と発見して場所を教えてくれます。

見つけたら、地図にシールを貼っていきます

あった!

あった!

ひととおり探し終わったら、林に場所を移してもうひと探し。

たくさん見つかります!

途中、カナヘビも姿を見せました。

カナヘビ。尻尾が一度切れてしまった個体です。

観察会の最後に、出来上がったマップをみんなで見てみました。
花があった場所となかった場所があることが分かりました!

完成した地図を囲んでにっこり!

4月とは思えぬ暑さのなかでしたが、とても楽しい観察会になりました。

フデリンドウは毎年枯れて別の株が出てくる植物なので、来年も同じ場所で咲くとは限りません。
もし来年もマップを作ったら、年ごとの変化が分かるかもしれませんね。
(動物担当学芸員)

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いろいろ咲いています

4月18日、博物館周辺では次々と花が咲いています。
まず、野生ランのエビネがまだ少しですが咲き出しました。

エビネ

博物館の敷地内では、前庭と中庭へ開館当時に植えられたものが、少しずつ増えて毎年咲きます。前庭の方がやや早く、中庭はおそらく来週には咲くはずです。
こちらはアケビです。

アケビの花(雄花)

明るい若葉の色にマッチした絶妙な色合いです。
こちらはちょっとマニアックな花ですが、ヒメコウゾです。

ヒメコウゾ

クワに近い仲間の樹木で、花弁はありませんが、球状のものが花です。午前中の早めの時間によく見ていると、黄色く見える雄しべから、シュポっというかんじで花粉が飛びます。
そして、フデリンドウは今が見ごろです。大きな株が咲き出しています。

大きな株が咲き出しました

今年の最大級の株はこちらです。10花以上つけた株が隣り合って咲く姿は圧巻です。

今年最大の株?(2株が隣り合っています)

こちらは植物ではありませんが、正面のアプローチ付近に発生したアミガサタケの仲間です。

アミガサタケの仲間

博物館周辺では毎年どこかしらで発生しますが、場所は毎年のように移動して定まりません。まさに、神出鬼没。今年は警備員さんが見つけて教えてくれました。
次々と咲き出す花を追いかけるのが大変な季節です。
(生物担当学芸員)

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アリの巣の近くに

カタクリの自生地をめぐる調査(ブログ記事)のさなか、足元に転がっている朽木にたくさんのアリがいるのを見つけました。

クサアリのなかま

何という種(しゅ)のアリかは調べていませんが、クサアリのなかまに見えます。
どうやら近くに巣があるようです。
アリたちの回りをよく見ると、面白い昆虫が2種見つかりました。

まずは、こちらの茶色いひょうたん型のもの。

マダラマルハヒロズコガ

これは、マダラマルハヒロズコガという小さな蛾の幼虫が作ったケースです。
中を開けてみることはしませんでしたが、ミノムシの蓑のようなイメージで、中に幼虫が隠れています。

次に見つかったのはアリヅカムシの一種です。

アリヅカムシのなかま

アリヅカムシのなかまはカブトムシなどと同じコウチュウ目に属しますが、体長が数ミリ程度ととても小さい昆虫です。
今回撮影した写真をアリヅカムシのなかまの専門家に見てもらったところ、写真の個体はツノアリヅカムシ属(Basitrodes)の一種であろう、と教えてもらいました。

アリヅカムシのなかまの一部の種は、その名のとおり、アリの巣と深いかかわりのある生活をしています。このようにアリとのかかわりの深い昆虫は、「好蟻性昆虫(こうぎせいこんちゅう)」と呼ばれています。
足元のアリの巣の回りのミクロな世界も、観察するととても面白いです。
(動物担当学芸員)

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ムサシアブミ

博物館お隣の樹林地に、数年前からこんな植物が生育しています。

林内に咲くムサシアブミ

ムサシアブミという、サトイモ科の植物です。博物館やその周辺にも多いミミガタテンナンショウと同じ仲間です。ただ、この植物の本来の分布は西日本が中心で、関東地方南部には分布しません。種名に武蔵(むさし)とつきますが、これは仏炎苞(ぶつえんほう・花を包む部分)の形が馬具の鐙(あぶみ)に似ているからですが、その著名な産地が武蔵国だったとのことです。ちょっと紛らわしいですね。関東地方で見られるのは、栽培されていたものが逸出(いっしゅつ)したと推測されています。

仏炎苞が鐙(あぶみ)に似ていることから名づけられた

近隣の公園などでも増えていて、いかにも南方系の植物らしく、葉が大きくつやつやしていて、さらに変わった形の花を咲かせるため、駆除されることもなく生育しているのをよく見ます。

大きな葉は遠目にも目立ちます

博物館周辺でも爆発的に増えるような気配もないため、とりあえず駆除せずに放置しています。何より、見た目のおもしろさもあり、咲くのをちょっと楽しみにしたりしていて、(国内)外来種の扱いの難しさを実感しています。
(生物担当学芸員)

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シロバナハンショウヅル開花

4月16日、博物館お隣の樹林地でシロバナハンショウヅルが開花しました。

樹林地内のシロバナハンショウヅル

まだ開ききっていませんが、今年はたくさんのつぼみがついているので楽しみです。
ただ、上の写真の株は一般の来館者が入れないエリアにあるため、一昨年から挿し穂で増やし、駐車場のフェンス際へ植えました。今年はその株にたくさんのつぼみがつき、そちらは日当たりが良いせいか、少し早めに開花しました。

駐車場内で咲いたシロバナハンショウヅル

西側の、未舗装の駐車場の一番奥に植えていますので、どなたでも見ることができます。
同じ場所では、絶滅危惧種のカザグルマも植えてあります。これは、市内の自生地の株から、やはり挿し穂で増やしたものです。つぼみがだいぶ大きくなってきたので、来週には咲そうです。

カザグルマのつぼみ

カザグルマは開花すると、その名のとおり大きなカザグルマのような花が見られます。お楽しみに。
(生物担当学芸員)

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