生物分野実習1日目(8月19日)

こんにちは!生物分野の博物館実習生です。

本日は、昆虫採集と標本作製を行いました。
採集にはいくつか方法がありますが,今回は捕虫網を使った採集を行いました。
炎天下の中、汗をかき、網を持ち、散策路でウロチョロ…
そんな中、実習生の1人がミンミンゼミをゲット!

ミンミンゼミをゲット!

それを見た他の実習生たちも、争うようにたくさんの虫を捕まえていきました。

汗水垂らして捕まえてきた虫たちを、全て標本に。

脚や触角を丁寧にひろげていきます

虫の種類よって技法は変わりますが、実習生全員が昆虫標本の作製に経験があったため、スムーズに進行することができました。

展翅台を使って固定

終盤には今週に開催する生きものサロンの企画について、実習生で話し合いました。紆余曲折ありましたが、テーマや企画内容を決めることができました。企画を素敵な形にしていけるよう、頑張っていきたいと思います。

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【企画展イチ押し資料】尾崎行雄の書(愕堂・咢堂・卆翁)

先日の生物分野のブログに始まり、企画展「相模原市立博物館 30年の歩みを未来へ」のイチオシ資料を紹介するこの企画。歴史分野からはタイトルのとおり、「尾崎行雄の書」を紹介します。

尾崎行雄(安政5(1885)~昭和29(1954)年)は、相模国津久井県又野村(現在の相模原市緑区又野)生まれの政治家です。通算議員在任歴60余年の間、民主主義と国際平和のために尽力したことから、「議会政治の父」、「憲政の神様」とも称されています。

開館30周年の節目に、当館が積極的に収集してきた成果として、郷土の偉人に関する歴史資料を展示することにしました。

「博物館資料を一挙に紹介!」コーナーにおける歴史分野の展示

このブログで取り上げる資料は、「博物館資料を一挙に紹介!」コーナーで一番初めにご覧いただくケース内の掛軸三幅です。

左から古い年代順に展示しています。

書を嗜(たしな)む尾崎は、「琴泉(きんせん)」→「学堂(がくどう)」→「愕堂(がくどう)」→「咢堂(がくどう)」→「卆翁(そつおう)」と、生涯で5つの雅号(=ペンネーム)を名乗りました。うち、市立尾崎咢堂記念館の名称にもなっている「咢堂」は、称した期間が最長だったこともあり、よく知られています。

この展示では、様々な時期に書かれた尾崎の書を同時にご覧いただくため、「愕堂」(明治20(1887)年~)から「咢堂」(明治45・大正元(1912)年~)、さらに「卆翁」(昭和22(1947)年~)の雅号で署名された掛軸を並べました。
一番右側の掛軸は、尾崎が90歳を超えてから書かれたものです。高齢になってからの筆跡とは思えないような力強さを感じます。題字の「善悪の標準」は、同じ言葉が刻まれた碑が、尾崎の生誕地である市立尾崎咢堂記念館の前庭に建っています。

善悪乃標準の碑(市立尾崎咢堂記念館/緑区又野)

ここまで本企画展の歴史分野イチオシポイントを紹介しましたが、照明の影響を受けやすい紙資料を保護する観点から、8月末を目途に「博物館資料を一挙に紹介!」コーナーの展示替えを予定しています。実物をご覧になりたい方は、ぜひお早めにご来館いただけますと幸いです。
また、資料を入れ替えた後の展示も、どうぞ楽しみにお待ちください!

(歴史担当学芸員)

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【企画展イチ押し資料】標本ダンスと昆虫標本箱

現在開催中の企画展「相模原市立博物館 30年の歩みを未来へ」の展示物から、専門分野ごとにイチ押しの資料を紹介します!
初回の今回は、生物分野です。
生物分野の展示のうち、博物館の役割についてのコーナーでひときわ目を引く大きな棚。

棚を持ってきました!

これは、昆虫標本を収蔵するために作られた専用の棚で、「標本ダンス」と呼ばれています。当館の収蔵庫では、このような棚を使って、昆虫標本を収蔵しています。
この棚、今回の展示の際には一度分解し、ボトルシップのように展示ケースの中で組み立てました。

標本ダンス

棚の中身は、というと、びっしりと木箱が並んでいます。
これは「ドイツ箱」と呼ばれる昆虫標本専用の標本箱です。ドイツと名がつきますが日本製で、職人さんが手作業で作っている高級品です。

ドイツ箱

この箱は、箱本体と蓋のあいだに凹凸の構造があり気密性が抜群で、標本を食べる害虫の侵入を許さない優れモノです。

ところで、このような資料を収集する箱の規格は、専門分野ごとに異なります。今回の企画展では、昆虫のほかに地質、民俗、歴史と、様々な専門分野で使っている「箱」を見ることができます。資料そのものに加えて、資料を入れている箱についてもぜひ注目してみてください。
(動物担当学芸員)

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中庭のミノムシ

※8月18日(月)は休館日です

お盆休みも最終日となった8月17日、プラネタリウムはこの日も朝から観覧券を求める方の行列が長く伸びていました。そんな中、並んでいたお子さんが中庭のガラス壁を指さして「なにアレ?」とつぶやきました。それは、こちらです。

ガラス壁に何かがくっついています

蓑虫(みのむし)です。蓑虫とは、枯葉や枯れ枝などを集めて繭をつくり、その中で幼虫が成長するミノガ科の総称で、こちらは最も一般的に見られるオオミノガの蓑虫です。
一時期、オオミノガに寄生するヤドリバエの仲間の影響で数が減ったと言われていましたが、近年、再びよく見られるようになりました。博物館でも、毎年中庭のガラス壁に複数のオオミノガがくっついています。

オオミノガの蓑虫

同じ日、前庭の入り口アプローチ近くのアオキの葉をふと見ると、何か違和感がありました。クルっと丸まった葉の中に、斜線が・・

丸まった葉の中に何かが

こちらは、シャクガの仲間の幼虫でした。ふだんは枝に擬態してこんな姿勢をとっているのですが、ここではバレバレです。鳥に見つからないうちに、どこかへ移動するとよいのですが・・

シャクガの仲間の幼虫

今週は本当にたくさんの来館者をお迎えしました。明日、8月18日は休館日となります。プラネタリウムは、19日から24日まで、再び夏休み特別上映期間として、1日5回の投影を行います。リニューアルしたプラネタリウムをぜひご覧ください!
(生物担当学芸員)

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【企画展関連事業】8月15日にバックヤードツアーを追加開催しました!

先日のブログでもお知らせしたとおり、現在開催中の企画展「相模原市立博物館 30年の歩みを未来へ」の関連事業として8月2日(土)に実施したバックヤードツアーは、予想以上の盛況となりました。残念ながら、その日だけではご参加いただけなかった方々もいらっしゃったことを受け、急遽追加開催を決定しました。

前回と同様、1日2回実施することにしましたが、開館と同時に配り始めた整理券は約30分で配布終了となる人気ぶり。改めてバックヤードツアーへの注目度の高さを実感しました。

最も厳重な特別収蔵庫などの前室を見学中。

大型資料収蔵庫について解説しています。

このバックヤードツアーでは、企画展の中で博物館の役割や未来を見据えた現状と課題などを紹介していることに関連して、資料を収集・保存する意義、博物館ならではの機能についてもお伝えしました。単に「珍しい場所を見ることができる体験」としてだけでなく、当館についてより深く知っていただけたように思います。
参加された皆さまがこちらの解説にしっかりと耳を傾け、時折大きくうなずきながらお話を聴く姿が印象的でした。

記念に参加証をプレゼントして終了しました!

お盆休み期間だったこともあり、ご家族で参加された方も多数いらっしゃいました。お越しいただいた皆さま、ありがとうございました!

(歴史担当学芸員)

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【企画展コーナー解説④】博物館の今とこれから

現在開催中の企画展「相模原市立博物館 30年の歩みを未来へ」の見どころを紹介する連載記事、四回目の今回は、「博物館の今とこれから」コーナーを取り上げます。
~これまでの連載記事~
【企画展コーナー解説①】相模原市立博物館のこれまで
【企画展コーナー解説②】博物館資料を一挙に紹介!
【企画展コーナー解説③】博物館の役割を紹介!
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「博物館の今とこれから」コーナー

こちらのコーナーは、博物館の現状と課題を見つめなおし、そして、将来どんな博物館になったらいいかを皆さまと考えることをテーマにしてます。
30周年の今年は、プラネタリウムのリニューアルがついに実現し、当館にとって記念すべき1年になりました。

ニューアルしたプラネタリウム

一方で、ここから先の未来に向けて、当館にはまだ解決すべき課題があります。
そのうちのひとつが収蔵庫問題です。
当館では、資料を収集するための収蔵庫が満床になりつつあります。
次の写真は開館前の収蔵庫を写したものです。

特別収蔵庫(開館前)

次に、現在の収蔵庫。

特別収蔵庫(現在)

いかがでしょうか。資料がびっしりと保管されているのが見てとれると思います。
これは、当館の資料収集活動の成果の表れともいえます。
資料の収集にあたっては、必要な資料をきちんと選別したり棚を増設したりと努力を重ねていますが、それでも、30年の年月で徐々に収蔵庫が埋まりつつあるのが現状です。

さて、当コーナーでは、こうした現状を紹介したのち、来館された方にメッセージを書いていただくスペースを設けています。
次の30年に向けて、博物館に期待することをぜひお書きください!

たくさんのメッセージを寄せていただいています!

これをもって、企画展のコーナー紹介の連載は終了です。
今後、各分野イチ押しの展示資料をそれぞれの担当学芸員からご紹介予定です。お楽しみに!
(動物担当学芸員)

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相模原のシカの革でキーホルダーを作ろう!を実施しました

8月14日、エントランスで「相模原のシカの革でキーホルダーを作ろう」を実施しました。これは、野生動物との共生の会の全面的な協力を得て行ったイベントです。
毎年、全国で何万頭ものシカやイノシシなどの哺乳類が有害駆除などで捕殺されていますが、その肉や皮革部分はほとんど利用されず、焼却などによって捨てられています。そうした現状を知ってもらい、利用の促進をはかるために、地元産のシカ革でキーホルダーを作るワークショップです。キーホルダーを作る前に、そうした現状の簡単なレクチャーで始まります。

レクチャーからスタート

シカの頭骨や毛皮なども登場!

そして、お待ちかねのキーホルダー作りです。しっかり説明を聞きながら革を編んでいかないと、革が絡まってしまいます。

見ながらやってもちょっと難しい!

うまく編めたら、留め具を付けます。ハンマーでガンガン叩きます。

ちょっと心配そうに見守っていたけど、無事に完成

色とりどりのキーホルダーができました!

かわいいキーホルダーができました

同様のイベントは、今後も市内各所で行われます。インスタグラムで「とこはむ」から詳細をご覧いただけます。ご興味のある方はそちらもチェックしてみてください。
(生物担当学芸員)

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【企画展コーナー解説③】博物館の役割を紹介!

現在開催中の企画展「相模原市立博物館 30年の歩みを未来へ」の見どころを紹介する連載記事の三回目です。今回の企画展では四つのコーナーを設定していますので、それらを順を追って紹介しています。今回は三つ目のコーナー、「博物館の役割を紹介!」を取り上げます。
~これまでの連載記事~
【企画展コーナー解説①】相模原市立博物館のこれまで
【企画展コーナー解説②】博物館資料を一挙に紹介!
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「博物館の役割を紹介!」コーナー

さて、「博物館の役割」と聞いて、なにを思い浮かべますか?
博物館の役割は、よく次の三つの項目に大別されます。
①収集・保存:資料を集め、保管する
②調査・研究:資料を用いて研究を行う
③展示・教育普及:調査研究の結果等を展示や講座などで紹介する
このコーナーでは、これらの三つの役割について、①収集・保存では生物と民俗、②調査・研究では地質と歴史、③展示・教育普及では天文と考古というように、当館の各専門分野における取組の事例を解説しています。

収集・保存について(生物分野)

調査・研究について(歴史分野)

展示・教育普及について(考古分野)

また、このコーナーの後半では、過去の企画展、刊行物、博物館のスタッフやボランティアについても紹介しています。
担当学芸員のイチ押しは、過去の企画展のポスターの展示です。
壁一面に張り出したポスター、その数、120枚ほど!

たくさんのポスターが並びます

実は当館では、30年の間に約160回もの展覧会を開催しています。そのうち、当館でポスターが保管されていたものについて、一挙に掲示しています。
皆さまの記憶に残る特別展・企画展はあるでしょうか?
特別展示室内の刊行物閲覧スペースでは、企画展の際に作成された図録の一部もお手に取ってご覧いただけます。併せてご覧ください!

刊行物閲覧スペース

連載記事は、次でいよいよ最後のコーナーの紹介です!
(動物担当学芸員)

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2025年度 歴史分野 博物館実習~繭うさぎ作りを実施しました!~

こんにちは!歴史分野の実習生です。

8月13日の分野別実習1日目では”繭うさぎ作り”を行いました。
まずは、相模原市の養蚕の歴史の流れを学びました。

相模原市と養蚕についてDVDを見ている姿

次に、”繭うさぎ作り”案内用のポスターと、会場へ案内するための矢印表示を制作しました。限られた時間の中でいかに分かりやすく制作できるか大変でした。

案内ポスターや矢印案内を作っている様子

生き物としての蚕について学ぶため、動物担当学芸員から説明をしていただきました。

イベントをサポートいただいた市民学芸員さんと、蚕について説明を受けている様子

そして午後のイベントに備え、民俗分野の実習生に繭うさぎの作り方をレクチャーしてもらいました。

実際に繭うさぎを作っているところ

作ってみて、繭が固くうさぎの耳をつけるのがとても大変でした。
また、実際に繭の中から出てきた蚕のさなぎには少し驚きました。

午後からは参加者の方に蚕について教えながら繭うさぎを作りました。
皆さんとても楽しそうに、時には苦戦しながら個性豊かな繭うさぎが誕生しました!

みんなの夏休みの思い出になったらいいなと思います!

参加されたお子様が作っているところ

かわいい繭うさぎ完成!

 

分野別実習2日目以降も頑張ります!!!

(2025年度 歴史分野実習生)

 

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民俗分野実習2日目 ~繭(まゆ)うさぎ作り~

こんにちは。
民俗分野の実習生です。

今日は繭(まゆ)うさぎ作りのイベント当日でした。
まずは、先日自分たちで作成した解説クイズをパネルにしました。

展示パネルを作成する様子

次に、会場の設営を行いました。
参加者の導線を意識して、展示や椅子の配置を考えました。
その後、本番の練習もかねて、歴史分野の実習生に繭(まゆ)うさぎの作り方をレクチャーしました。カッターの取り扱いは大人でも難しいようです。

会場設営の様子

午後からイベントが始まりました。
開場前から多くの方にお越しいただき、一時間で受付終了となるほどの大盛況で終えることができました。
イベントでは、博物館のボランティアである市民学芸員の方にもお手伝いいただき、子どもたちを中心に繭(まゆ)うさぎ作りを体験していただきました。
無事にけが人を出さずに終えることができてよかったです。

繭(まゆ)うさぎ作りを楽しむ子どもたち

カイコについて初めて知るというお子さんも多かったので、興味をもっていただければ嬉しいです。

(令和7年度民俗学実習生)

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