青い果実

そんな題名の懐かしい歌謡曲がありますが、ここではリアルな青い果実の話です。
ふつう、果実に対して青いというと、未熟である状態を指します。緑色を含めて寒色を「あお」と呼んだ古語の名残です。しかし、リアルに青い果実が、この季節、身近なところにもあります。それは、ジャノヒゲの仲間の果実です。

ジャノヒゲ(果実)

これだけはっきりと青い果実はあまり無いので目立ちそうですが、あまり人目につくことはありません。それは、ジャノヒゲのもっさりとした株の下の方に、隠れるように実るからです。株をかき分けるか、めくって下の方を探さないと見つからないことが多いのです。
一方、一見すると黒い果実ですが、指ですり潰すと紫色の果汁が出るものも多くあります。代表的なのはミズキです。

ミズキ(果実)

ミズキやクマノミズキは、渡り鳥にとって秋の重要な食料です。ツグミ類などが大量のミズキを食べるので、その季節には落ちているフンが紫色になります。
博物館の前庭では、ヤブランもたくさん実っています。

ヤブランの果実

こちらも見た目は黒色ですが、やはりつぶすと指が紫色に染まります。先日の生きものミニサロン「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう!」でもデコレーションに使った果実は、赤、黄、紫、青と様々でした。多くは野鳥に対する「食べて」というアピールなのですが、そんなふうに色とりどりになるのが興味深いですね。
(生物担当学芸員)

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淵野辺小学校で遺跡のお話。

12月16日に相模原市中央区にある淵野辺小学校で、遺跡についてお話ししてきました。

淵野辺小学校は今年、縄文体験キットを授業で活用していただきました。
その6年生の先生から、総合の時間で近くの遺跡を調べており、縄文~古墳時代の話をしてほしいとご依頼をいただきました。

対象の遺跡は山王平遺跡(縄文時代)、上矢部和組遺跡(弥生時代)、御所ノ入(ごしょのいり)横穴墓群(古墳時代)です。
まずは淵野辺の地形や遺跡の様子からはじめ、それぞれの遺跡を説明しました。

縄文遺跡の説明中

各遺跡の時代背景は異なるので、その点も強調します。
例えば、明瞭な権力差は古墳時代からより明らかになり、古墳は王様クラスでなければ造られません、など。

その後は、山王平遺跡出土の縄文土器・石器から説明します。

縄文土器の違いはどこかな?

児童が土器をさわるのは2回目となり、縄文土器の具体的な特徴、例えば施文方法や土器の大きさの見分け方など、いつも土器×2タッチでお話しするような、密度の濃い説明ができました。

地域の歴史を、考古学の視点から勉強することは大変重要です。先生にお話を伺うと、初めに遺跡現地を訪れたのですが、よく分からないので博物館の学芸員に遺跡の話をお聞きしたいとのことでした。そのため質問の内容が具体的であり、知りたい気持ちにあふれていました。

地域のこれからを担う児童へ遺跡の話をすることができ、大変有意義な出前授業となりました。今後も積極的に取り組んでいきます。
(考古担当学芸員)

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天使か、悪魔か

二十四節気の冬至まで、あと1週間を切りました。そして、フィールドは冬芽の季節になりました。
冬芽は葉が落ちると目立ちますが、じつは、落葉の前、すでに冬芽は形成されています。植物学用語としては、休眠芽(きゅうみんが)と言って、一年中ついていて、虫に食べられたり、不慮の落葉などの場合にすぐに次の葉が展葉する仕組みです。晩秋から初冬に落葉すると、休眠したまま越冬するので、そのころの休眠芽を特に冬芽と呼んでいるのです。冬芽は葉が落ちた痕(葉痕:ようこん)とセットで観察すると楽しいので、冬の植物観察の定番となっています。博物館お隣の樹林地には、天使のような冬芽があります。

サンショウの冬芽

これはサンショウの冬芽です。2本、対になっているトゲと冬芽、そして葉痕がセットで、かわいい天使のように見えます。
一方、こちらの枝には悪魔がついています。

ハリエンジュの冬芽(葉痕)

ハリエンジュの冬芽です。正確には、冬芽は葉痕の中に埋没しています。鬼とも、般若(はんにゃ)とも言えそうですね。隣の枝にも・・

こちらもハリエンジュ

頭上では、ヤマガラがミズキの冬芽をつついていました。

ミズキの冬芽をつつくヤマガラ

本格的に何かついばんでいるというより、何かおいしそうなものでも入っているかと探っている様子で、すぐに飛び去ってしまいました。冬本番になると、冬芽を食べる鳥もいます。冬芽は大切な芽を凍らせないために、糖分をまとっているものもありますし、葉を開くエネルギーが凝縮しているので、何かしらの栄養価があるのかもしれません。食べられてしまっては、樹木にとってとんだ災難ですが・・
種類によって冬芽にはいろいろな表情があるので、また写真で紹介したいと思います。
(生物担当学芸員)

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生きものミニサロン「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう!」を実施しました

毎月恒例の生きものミニサロン、12月はさらに毎年の恒例となっている「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう!」を13日(土)に実施しました。
今回も、リースの台となる植物の“つる”は、前日までにお隣の樹林地からクズのつるを学芸員が採集し、相模原植物調査会のみなさんがデコレーション用の植物素材を集めてくれました。当日はまず、素材をきれいに仕分けます。

植物調査会のみなさんを中心にたくさんの素材を集めてくれました!それをさらに、使いやすいように切り分けます

それぞれの素材の植物名の札も付けました!

これで半分! 30種類以上の素材が並びました

簡単な説明の後、参加者約50名のみなさんがリース作りを始めます。まず、リースの台を丸く編みます。そして、いよいよ素材をデコレーション。

真剣に配置を考えています

今回は、マンリョウ、センリョウ、ノイバラ、ピラカンサなどの赤い果実や、オオバジャノヒゲの青い果実、キミノセンリョウやヘクソカズラの黄色い果実、さらにはオオウバユリやケヤマハンノキ、ヒマラヤスギなどおもしろい形の果実や松ぼっくりに、ヒイラギ、キヅタ、イタビカズラなど緑の葉が並びました。その数30種類以上!さすが、市内外の植物の生育場所を熟知した植物調査会のみなさんの収集力です。
どれも使いたいと迷いつつ、選びます。

迷うほどたくさんの素材が・・

ふだん見慣れた葉や果実も、飾り付けるとびっくりするくらい引き立ちます。

特別な素材や、色など後から付けたものはありません

すばらしい作品をそれぞれ作ってくれました。

お父さんと作品とポーズ!

どれ一つとして同じものがない、オリジナルのリースです。

じゃーん!!と仲良し姉妹

こんな渋いリースを完成させてくれた子も!

イタビカズラの葉オンリーがいいと渋いチョイス!

最後に全員で記念写真!

たくさんのリースができました!

外での実施はちょっと寒いかな?と心配しましたが、みなさんの熱気で寒さも吹き飛んでしまいました。
次回は1月18日(土)12時から実施予定です。お楽しみに!
(生物担当学芸員)

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海岸で資料採集

12月10日、博物館を拠点に活動する市民グループである「さがみホネホネ団」(通称さがホネ団)の有志で、茨城県の海岸へ資料採集に行きました。さがホネ団は、博物館の冷凍庫に眠る動物の検体を標本化する活動をしていますが、時々こうして“遠征”します。今回向かった海岸は外洋の鹿島灘に面しています。

鹿島灘に面した海岸線

相模湾の海岸とは、風景も波の様子も、そしてそこで採集できる資料もまったく異なります。

いろいろな生物資料を採集

資料を採集しつつ、海岸の野鳥も観察しました。相模原市内ではまず見ることのできない、シロチドリです。

シロチドリ

そして、この海岸の定番、ミユビシギです。波打ち際を高速歩行で歩きながら採食する様子が、「高速とおりゃんせ」などと言われ、バードウォッチャーに人気のシーンです。

ミユビシギ

動画を撮影したので、ご覧ください。

こちらは県内にも多いセグロカモメの若鳥ですが・・追いかけっこしていたのは、左の個体がくわえているハマグリのためでしょう。

セグロカモメの若鳥

浜にはヤシの実や、サキシマスオウの実も漂着していました。どちらも南方の植物です。改めて海が遠い地とつながっていることを感じました。
(生物担当学芸員)

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博物館見学実習

12月6日、桜美林大学で学芸員資格取得を目指して勉強中の学生さんが、当館で見学実習を行いました。
午前中はバックヤードなどの見学です。

まずは、多目的室の改修についての説明から…

専門的な学習をしている学生さん向けなので、ややマニアックな解説を交えつつ見学してもらいました。

大型収蔵庫の収蔵資料解説

午後は展示室見学で、先生の解説のもと常設展示を一周しました。

展示についての解説を聞きます

じつは今回の見学実習は、当館で学芸員として勤務されていたご経歴を持つ先生の引率により実施しています。
そのため、収蔵庫の様々な資料や常設展示における展示の意図、設計について私(動物担当学芸員)の知らないお話をたくさん聞くことができ、学生さんと同様に学びの深い一日でした。
(動物担当学芸員)

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【市民学芸員かわら版】津久井地域の日本固有種(動物)

12月2日(火)、当館のボランティア「市民学芸員」情報発信チームによる『市民学芸員かわら版』の最新第19号が発行されました。題して、「津久井地域の日本固有種(動物)」です。

『市民学芸員かわら版』とは、テーマ選定から情報収集、記事のレイアウトまで全て市民学芸員が行い、自然・歴史・文化に関する様々なトピックスについて、市民目線を取り入れながらわかりやすく紹介している不定期刊行の壁新聞です。

今回の『市民学芸員かわら版』は津久井地域の日本固有種の哺乳類を、市民学芸員による写真を添えて紹介しています。

動物たちの豊富な写真や冬はどのようにすごしているのか、わかりやすく解説しています!


ご来館の際は、2階市民研究室前の『市民学芸員かわら版』をチェックしてみてください。
※特別企画展「ポケモン天文台」の開催に伴い、設置場所を2階市民研究室前に変更しています。

(考古担当学芸員)

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勝坂遺跡縄文まつりで土器×2タッチ!

一か月前になりますが、11月3日(月・祝)に、市内南区磯部の勝坂遺跡公園にて、勝坂遺跡縄文まつりが開催されました。
その一環として、当館の考古ボランティアとともに土器×2タッチを行いました。

会場は勝坂遺跡公園管理棟です。

左:勝坂南方遺跡出土、右:田名坊山遺跡出土 どちらも勝坂式土器です

今回は勝坂遺跡が会場のなので完形土器を2点追加しました。
午前10時から午後1時までの時間でしたが、合計380名近くの方が参加してくれました。

家族連れが大半で、幼い子たちも縄文土器を興味深そうにさわってくれました。
高校生からは学芸員のお仕事について質問を受け、遺跡の重要性を遺跡現地や出土品の特徴を端的にお知らせする楽しさをお答えしました。

地域の貴重な歴史を出土品からお伝えする貴重な機会となり、今後も継続的に取り組んでいきます。
なお、次回の土器×2タッチは1月24日(土)に博物館エントランスにて行います。
ぜひご参加ください。

(考古担当学芸員)

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神奈川県博物館協会の研修会を実施

12月5日午後、神奈川県博物館協会(県博協)の研修会を当館で実施しました。県博協とは、県内の博物館、美術館、水族館、動物園、植物園、科学館など100以上の施設が加盟する団体です。学芸員や施設職員が定期的に研修会などを実施し、交流や情報交換を行っています。今回は、7月にリニューアルオープンした当館のプラネタリウムについての研修会です。まずはプラネタリウム内で、リニューアルした機器や設備、性能などについて天文担当学芸員から解説しました。

プラネタリウム内でレクチャー

レクチャー終了後には、多目的室など新しい施設への注目が集まります。

プラネタリウム内の多目的室(遮音室)から

科学館からの参加者も多いため、プラネタリウムのコンソール(操作卓)にもみなさん興味津々です。

真新しいコンソールにも注目が

プラネタリウムの一般投影を観覧していただいた後、大会議室へ移動して、同じく天文担当学芸員からリニューアルへ至る経過を説明しました。

予算のことや庁内外との折衝など現場の話が語られました

庁内外での様々な調整や予算確保、施工に至る過程などを説明しました。
施設のリニューアルは、どこも遠からず大きな課題となることなので、みなさんとても熱心に聴講されていました。
こうした研修会を通じて県内の博物館等の施設職員が交流し、時には展示資料の貸し借りなどにつながるため、当館学芸員も積極的に参加するようにしています。
(生物担当学芸員)

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博物館で科学コミュニケーションの実習

12月4日、桜美林大学教育探究科学群3年生約60名が博物館で実習を行いました。科目は「科学コミュニケーション論」です。
まず、学芸員から博物館周辺の樹林地の成り立ちと、そこに生息する哺乳類について講義を受けました。

学芸員による講義

そして、その哺乳類の剥製(はくせい)を観察してスケッチをします。短い時間の中で足や顔などのパーツを選び、2種類以上スケッチして比較します。

科学的なスケッチとは・・意識しながら描きます

他の種の剥製の写真と比較しながらスケッチしています

スケッチの結果を各班内でディスカッションします。科学的な観察は、客観的な視点が重要です。頭の中やネット上に存在する情報ではなく、目の前の剥製に集中して観察した結果を話し合うことが狙いです。

ディスカッションもみなさん積極的です

その概要をそれぞれの班から発表してもらいました。どの班のみなさんも自主的に発表してくれて、しっかりと科学コミュニケーションできていることがわかりました。
そして後半は、博物館の常設展示室を見学し、展示の意図や狙いを推察しながら、それを的確に来館者へ伝えるために改善すべき点などを見出す実習です。ここでは批評する視点が重要です。

常設展示室で、展示だけでなく一般来館者の動きなども観察

五感を使って観覧中

各グループでそれをまとめてレポートしてもらいました。すべての班が発表する時間はありませんでしたが、みなさん真剣に展示を見て考えてくれたことがよくわかる結果で、博物館としても大変参考になりました。すべてのレポートを共有していただけることになっているので、これは今後の展示を考えていく上でとても参考になりそうです。

みなさん集中していてあっという間の3時間でした

半日みっちりと密度の濃い実習でしたが、学生さんたちの、明るく前向きな雰囲気がとても印象的でした。
(生物担当学芸員)

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