内がさと幻日と環天頂アーク

1月6日、少しもやっとした青空の1日でしたが、こんな空模様の日はハロなどの大気光学現象が起きやすくなります。夕方になり、果たして3種類の現象を見ることができました。当館Twitterにも図解が出ているので、位置関係はそちらをご覧ください。
まずは、22度ハロ(内がさ)と幻日です。

15時30分頃の西の空

太陽を中心にコンパスで円を描いたように光の環がとりまいています。これが内がさです。そして、太陽と同じ高さの内がさの部分に虹色の点が見えます。これが幻日です。

幻日

さらに太陽から天頂方向を見上げると、虹を逆さにしたような現象が見られます。これが、環天頂アークです。

環天頂アーク(真ん中より少し上に見える、上に反らせたような薄い虹色の部分)

いずれも特に珍しいものではありませんが、3つ揃うとやはり嬉しくなります。

環天頂アーク

特に環天頂アークは、頭の上にうっすら出ることが多いので、見逃しやすい現象です。今日は比較的はっきりと見ることができました。

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ガガイモのタネ

先月、つまり昨年12月末のことになりますが、市内緑区の林道へ、ガガイモのタネ(種子)を採集しに行きました。なぜかというと、生きものミニサロンなどのイベントで使用するためです。ガガイモのタネは典型的な風散布型の種子で、大きな綿毛を使って空中を長く漂うことができるからです。

ガガイモの種子と綿毛

同じ風散布型種子のタンポポの綿毛よりもだいぶ大きくて、立派な綿毛です。そして、ガガイモは種子が固い鞘(さや)の中にぎっしり納まっています。それを取り出した瞬間にふわりと綿毛が広がり、その様子がとても美しいのです。そんなわけで、イベントでも鞘から取り出したところをお見せしたいため、結実期の12月頃、採集しに行っています。
しかし今年はちょっと時期を外してしまったようで、すでにこのように、鞘が割れて中身が出かかっているか、空になってしまっていました。

鞘(袋果)から中身が飛び出しかけている様子

ちなみに、ガガイモの花は夏の終わりに咲きます。

ガガイモの花

ガガイモは特に珍しい植物ではないのですが、どこにでもあるというものでもなく、いざ種子を鞘ごと取ろうとすると意外と苦労します。
落葉樹はすでに葉が落ちて、カラスザンショウの枝は葉痕(ようこん:葉が落ちた痕)と冬芽でかわいい顔が現れていました。目や口のように見えるのは、維管束痕(いかんそくこん:水分や養分を通り道の痕)です。

カラスザンショウの葉痕と冬芽

こちらはつる植物のヒヨドリジョウゴです。明るい朱色の果実が西日に照らされていました。

ヒヨドリジョウゴの果実

残念ながらガガイモの種子は少量しか採集できませんでしたが、飛んで行った種子が発芽して増えてくれれば、材料も取りやすくなるので、気長に待ちたいと思います。

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★初コラボ★博物館に市民会館のランチタイムコンサートがやってくる!

12月17日に3年ぶりのプラネタリウムコンサートを実施した直後に、標記の件について情報解禁させていただきました!

プレスリリース資料はこちら

構想二年。
感染拡大の状況や、他の事業との兼ね合いで、実現まで時間がかかりましたが、念願の企画の実現が叶いました。

詳しくはこちら(博物館ホームページ)をご覧ください。

平日の夕方ということで、都合がつきにくい方には申し訳ないのですが、めったにない機会です。みなさまのご来館、ご観覧をお待ちしております。

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博物館収蔵資料紹介~化粧や髪結いの道具

博物館では、これまで取り上げてきた桶や甕(かめ)のような食に係わるものをはじめ、明かりや暖房といった住まいに必要な資料とともに、衣生活に分類されるさまざまな資料も保管しています。今回は、その中でも女性の身づくろいや化粧に係わる道具を紹介します。

最初の写真は、左右に耳状の把手(とって)の付いた銅製の小さな「耳盥(みみだらい)」(収集地・中央区矢部)と言われるもので、お歯黒(はぐろ)を塗る時に使いました。

お歯黒をするのは結婚している女性のしるしであり、耳盥も婚礼道具の一つですが、南区下溝で明治末に生まれた人でも、話には聞いていたものの実際にお歯黒をした人は子どもの時でも見なかったとされ、今では珍しい資料の一つです。                   

 

化粧や髪型を整える時には今でも鏡を使いますが、古く鏡は、現在のような鏡面がガラスではなく金属製でした。次の写真は柄がついた「柄鏡(えかがみ)」で、右側は姿を映す鏡面、左側はその裏側で模様が打ち出されています。

この資料は東京都府中市の方から寄贈いただいたもので、昭和30年(1965)代まで緑区青根にお住まいだった家が所有していたと言います。                     

 

こうした柄鏡をかけるものが「鏡台(きょうだい)」です。古くの鏡台は、両手が使えるように柄鏡を掛けるようなものでしたが、ガラス製の鏡が普及すると、洋式の化粧台にならって全身を映して見ることができる姿見(すがたみ)の縦長の鏡を付けるようになりました。次の写真は緑区向原からの寄贈で、母親が結婚した際に購入したものです。

 

以前の女性は長く髪を伸ばして結っており、そのための髪をとかしたり髪飾りの道具も大事なものでした。最初の写真は「整髪用のコテ」(中央区田名)、二枚目は、上側に「櫛(くし)」、下側左は髪型が崩れたりするのを防ぐとともに飾りともなる「簪(かんざし)」、右が髪を巻き付けてまとめる「笄(こうがい)」です。寄贈者によると、明治時代に使われたとのことです(いずれも緑区大島)。                   

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2023年、相模原市立博物館の初日です!

明けましておめでとうございます。

1月4日、相模原市立博物館は新年の開館初日を迎えました。

ノウサギ(はく製)

昨年の暮れから続く、十二支ミニ展示「卯(うさぎ)」は1月9日までご覧いただけます。相模原市内にも広く生息するノウサギのはく製が、りりしくみなさまをお出迎えしております。
さて、卯年ということで、ノウサギ以外にも何かしらうさぎにまつわる生きものを紹介しようと思ったのですが・・

ウサギギク

上の写真の植物は、ウサギギクです。ヒマワリを手のひらサイズに小さくしたようなかわいらしい花なのですが、高山植物で、残念ながら神奈川県内には分布していません(写真は北アルプス白馬岳のものです)。
そんなわけで、かなりの変化球になりますが、エビラシダを紹介します。

エビラシダ

箙(えびら)とは、矢筒(やづつ)とも言われる、矢を入れる武具の一つです。地面から伸びた葉柄(ようへい)に対して、葉身(ようしん)が角度を少しつけて斜めに伸びる姿を、箙に矢が刺さる様子に見立てた・・と言われますが、どうもピンときませんね。そもそも箙が身近なものではないからでしょうか。
そして、なぜエビラシダを紹介したかというと、このシダは分類上、ウサギシダ属(Gymnocarpium)に含まれるからです。それなら本家本元のウサギシダを紹介すればよいのでは、となりますが、残念ながらウサギシダも県内には分布しません。
ちょっと苦し紛れのこじつけになりますが、エビラシダは市内の丹沢山麓部などに生育する、ちょっと珍しいシダです。葉のかわいらしさもあって、見つけると嬉しくなる植物なので、今年も生きものとの素敵な出会いを願って、新年冒頭のブログを飾ることにしました。
本年もよろしくお願いします。

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2022年、ありがとうございました〜感謝を込めて〜そして今後の予定も・・・

2022年もいよいよ暮れようとしています。

博物館は条例通り12月28日はお休みですが、職員は本日が「仕事納め」なので、まだまだ多くの職員が汗を流しているところです。

さて、この一年を振り返ると、やはり新型コロナウィルス感染症の影響を抜きには語れないでしょう。
相模原市役所が一丸となって取り組む中、博物館の職員も単発での動員(みなさんがお出かけになったワクチン接種会場にいたのは博物館の職員だったかも)だけでなく、数か月間という長期にわたる職員派遣などがありました。
この一年は、長期休館こそなかったものの、事業実施にあたって令和元年以前のようには開催できない状況が続いています。
こうした中でも、様々な工夫を凝らし、博物館はもとより所管施設で、また、出張展示・巡回展示など精力的に各種事業を実施した一年でもありました。

3月には絵本作家舘野鴻氏にも全面協力いただいた「がろあむし」展
4月からは新たな取り組みとして「ナイトプラネタリウム&観望」。
6月には相模原市全体で盛り上げた「はやぶさWEEK」。このときに実施した「全国200か所一斉「リュウグウサンプルレプリカ」公開」は所管3施設で引き続きご覧いただけます。
夏にはスマホゲームアプリ「アイドルマスター」とのコラボ企画
並行して、「BUNCARD」配布


そして昨年は会期短縮の憂き目にあったJAXA連携天文企画展をブラッシュアップして開催。
秋から冬にかけては、恒例の「学習資料展」と、「ようこそ!竹細工ワールドへ!!~久保沢最後の籠屋さん~」。これらは市民協働で作り上げた展示です。
市内の全小学4年生の校外学習(スケートとプラネタリウム)も再開されました。
12月にはまだ記憶に新しい、3年ぶりに開催できたプラネタリウムほしぞらコンサート(出演者の浅尾真実さんのツイッターにリンクしています)。
列挙しきれないほど多くの事業に取り組んできました。
ただ、事業に取り組むといっても、それは参加してくださる来館者・観覧者のみなさまあってのこと。足を運んでいただいていることに、日々感謝しています。

また、資料収集や研究など、来館者のみなさまには直接見えない部分でも活動は進んでいます。(これらの成果をお披露目する機会も今後あるかと思いますので、どうぞお楽しみに)
施設管理の部分でも、目に見える部分だけでなく、将来的な修繕などについても手続きなどを進めているところです。

今年は、テレビやラジオ、ネット媒体での露出も多い年になりました。
所さんの番組からお声がかかったことや、ドラマ「科捜研の女」に協力したこと、自然にまつわる各種取材を受けたことなども、日頃からの活動の成果の表れであると感じています。

新しい年、1月4日から博物館は通常開館いたします。

年末から引き続き展示している「十二支ミニ展示」や、令和4 年「宇宙の日」記念 作文絵画コンテスト入賞作品展のほか、1月4日からは映像クリエイターKAGAYAさんのミニ写真展も始まります。これは全天周映画「富士の星暦」(KAGAYAスタジオ公式ツイッターにリンクしています)の関連企画です。

全天周映画といえば、上映中の「ノーマン・ザ・スノーマン~流れ星のふる夜に~」では、年末から引き続き観覧者のみなさまにオリジナルポストカードをプレゼント。ポストカードはわれらがさがぽんにご紹介いただきましょう。こちらの図案です。画像

こちらは博物館からのお年玉?お年賀?企画ですので、未見の方や、もう一度見たい方、どうぞこの機会にご鑑賞ください。

新しい大河ドラマの関連ミニ展示も1月7日からいよいよ登場します。
1月25日に開催するプラネタリウムウィンターコンサートの前売り観覧券も1月13日から発売開始です。

これからも、みなさんと一緒に、ワクワクする一年にしていきたいと思っています。
年明け早々に情報解禁できそうな話題もありますので、こちらもどうぞお楽しみに。

2023年も博物館・尾崎咢堂記念館・吉野宿ふじやをどうぞよろしくお願いします!

※12月31日の16:50ごろから、FMHOT839にて、博物館長からの年末のご挨拶を放送していただく予定です。ご都合が合えば、ぜひお聞きください。
※1月は臨時休館もありますので、ご来館の際にはホームページで確認をお願いします。年間カレンダーはこちら

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本年最終の営業日です!

12月27日は、相模原市立博物館の本年最終の営業日です。明日、28日は館内メンテナンスのための休館となります。新年は1月4日から通常どおり開館します。詳しくは博物館のホームページをご覧ください。
さて、このところ博物館駐車場で、いわゆる「カラ類混群」を見ることが多くなっています。カラ類混群とは、シジュウカラの仲間を中心に、いくつかの小鳥が混成の群を作って行動する様子です。

シジュウカラ

シジュウカラの他に、定番はヤマガラやメジロ、コゲラ(キツツキの仲間)、エナガです。

メジロ

エナガ

エナガは単独の群をつくることも多いのですが、最近、駐車場付近にいる時はシジュウカラとメジロがたいてい一緒にいます。シラカシやコナラ、エノキなどの木々の枝をせわしなく動き回っています。かなり長い時間滞在することも多く、この時期はエナガのかわいい姿をじっくり見るのに適しています。
そして、エナガの群に時々くっついて行動しているのが、リュウキュウサンショウクイです。

リュウキュウサンショウクイ

もともと名前のとおり、南西諸島に分布する鳥でしたが、どういうわけか、近年になって徐々に布を東日本へ広げてきています。なぜエナガと行動を共にするのかわかっていません。しかし、鳴き声が少し似ていることや、大きさはエナガの方がずっと小さいものの、色合いが少し似ているから、つい近寄ってしまうのではないか・・そんな妄想めいたことを考えています。
年末年始も寒さが厳しい予報となっています。こうした小鳥たちが無事に冬を乗り切れるよう祈るばかりです。

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うね雲

12月22日は二十四節季(にじゅうしせっき)の冬至(とうじ)です。昼間の時間が一年で一番短い日です。ただし、日の入り時刻が一番早いわけでも、日の出時刻が一番遅いわけでもありません。日の入り時刻が一番早いのは12月初旬で、日の出時刻が一番遅くなるのは来年1月初旬です。つまり、すでに日の入りはだんだんと遅くなっている途中で、日の出はこれからしばらく遅くなっていきます。
さて、下の写真は冬至とは関係のない、12月17日朝に博物館近くで撮影した写真です。

うね雲(波状層積雲)

重く垂れこめた灰色の雲が、縞状になっています。これは、うね雲と呼ばれ、雲の分類では波状層積雲(はじょうそうせきうん)です。層積雲は低い空にできる雲で、いわゆる雨雲の多くが含まれます。うね雲には高度などの条件によって様々な形がありますが、写真のように地面と水平に長く見えるのはちょっと珍しく、遠近感もよく出ていたので思わず写真を撮りました。

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学びの収穫祭の出展研究が受賞

11月19日から12月16日まで行われていた今年度の「学びの収穫祭」展示発表に、相模原市立相原小学校5年生の小室孝介さんによる「スーパーの⿂の廃棄物からペットボトルが作れるか〜⿂や⿃が⾷べても影響がでないペットボトルを作る〜」が出展されていました。その小室さんから報告があり、この研究が木原記念こども科学賞で優秀賞を受賞されたそうです。

賞状とともに

木原記念こども科学賞は、神奈川県内の小中学生を対象として、「生物の不思議や科学する楽しさを知ってもらうとともに命の大切さを学ぶ機会となること、さらに将来は“科学する目”をもつ市民・県民に育ってもらうことを願って」実施されています(同賞ホームページより)。
博物館には、自由研究の相談に来られる小学生が多くいますが、これまでにも同賞受賞の嬉しい連絡を何度もいただいています。小室さんもそのお一人で、小学校低学年の頃から学芸員が相談に乗ってきました。
じつは、受賞者にはいくつかの共通点があります。それは、①発想がユニークであること、②ご家族が、指示するのではなく、サポートに徹していること、③夏休みだけでなく、年間を通して取り組んでいることの3点です。
博物館では今後もこうした研究活動をサポートし、「学びの収穫祭」などの場で広く紹介していきたいと考えています。

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冬のダム湖にて

12月20日、緑区のダム湖で水鳥の調査を行いました。この調査は毎年実施していますが、年によってカモ類などの冬鳥の数や種類が大きく変動するため、今年はどんな結果になるのか、楽しみな調査です。
ここ数年の傾向は、オシドリの数がとても多いことが特筆されます。

オシドリ メス(左)、オス(右)

今回も、合計で500羽を超えるオシドリをカウントできました。何度でも、何羽見ても見飽きない美しさですね。
美しいと言えば、やはりカワセミです。天候にも恵まれ、緑や青に変化する羽根の色合いを堪能しました。

カワセミ

こちらは冬鳥ではありませんが、カイツブリです。何か大きなものをくわえていると思ったら、ハゼの仲間のようです。

大きなハゼの仲間をくわえたカイツブリ

カイツブリの体に比べてずいぶんと大きく、飲み込めるのかなと思って見ていました。しかし結局、飲み込めずにいるうちに別のカイツブリが興味津々で近づいてきたりたため、魚をくわえたままヨシ原へ入ってしまいました。
水鳥ではありませんが、ジョウビタキも冬鳥の定番です。市内ではどこでも普通に見られる鳥なのに、ついカメラを向けてしまいます。

ジョウビタキ(オス

そしてこちらも、ついカメラを向けてしまう小鳥、エナガです。

枝にぶら下がるエナガ

10羽ほどの群が長い時間、低木の林を行ったり来たりして、いろいろな動作を見せてくれました。尾羽を除くと、ゴルフボールくらいの大きさしかありません。そんな鳥が枝から枝へと飛び回る様子はなんともかわいらしく、つい見とれてしまいました。
このところの冷え込みで防寒対策を万全にしていたのですが、歩くと汗ばむようなお天気でした。

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