本年最終の営業日です!

12月27日は、相模原市立博物館の本年最終の営業日です。明日、28日は館内メンテナンスのための休館となります。新年は1月4日から通常どおり開館します。詳しくは博物館のホームページをご覧ください。
さて、このところ博物館駐車場で、いわゆる「カラ類混群」を見ることが多くなっています。カラ類混群とは、シジュウカラの仲間を中心に、いくつかの小鳥が混成の群を作って行動する様子です。

シジュウカラ

シジュウカラの他に、定番はヤマガラやメジロ、コゲラ(キツツキの仲間)、エナガです。

メジロ

エナガ

エナガは単独の群をつくることも多いのですが、最近、駐車場付近にいる時はシジュウカラとメジロがたいてい一緒にいます。シラカシやコナラ、エノキなどの木々の枝をせわしなく動き回っています。かなり長い時間滞在することも多く、この時期はエナガのかわいい姿をじっくり見るのに適しています。
そして、エナガの群に時々くっついて行動しているのが、リュウキュウサンショウクイです。

リュウキュウサンショウクイ

もともと名前のとおり、南西諸島に分布する鳥でしたが、どういうわけか、近年になって徐々に布を東日本へ広げてきています。なぜエナガと行動を共にするのかわかっていません。しかし、鳴き声が少し似ていることや、大きさはエナガの方がずっと小さいものの、色合いが少し似ているから、つい近寄ってしまうのではないか・・そんな妄想めいたことを考えています。
年末年始も寒さが厳しい予報となっています。こうした小鳥たちが無事に冬を乗り切れるよう祈るばかりです。

カテゴリー: おしらせ, 生きもの・地形・地質 | タグ: | 本年最終の営業日です! はコメントを受け付けていません

うね雲

12月22日は二十四節季(にじゅうしせっき)の冬至(とうじ)です。昼間の時間が一年で一番短い日です。ただし、日の入り時刻が一番早いわけでも、日の出時刻が一番遅いわけでもありません。日の入り時刻が一番早いのは12月初旬で、日の出時刻が一番遅くなるのは来年1月初旬です。つまり、すでに日の入りはだんだんと遅くなっている途中で、日の出はこれからしばらく遅くなっていきます。
さて、下の写真は冬至とは関係のない、12月17日朝に博物館近くで撮影した写真です。

うね雲(波状層積雲)

重く垂れこめた灰色の雲が、縞状になっています。これは、うね雲と呼ばれ、雲の分類では波状層積雲(はじょうそうせきうん)です。層積雲は低い空にできる雲で、いわゆる雨雲の多くが含まれます。うね雲には高度などの条件によって様々な形がありますが、写真のように地面と水平に長く見えるのはちょっと珍しく、遠近感もよく出ていたので思わず写真を撮りました。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | うね雲 はコメントを受け付けていません

学びの収穫祭の出展研究が受賞

11月19日から12月16日まで行われていた今年度の「学びの収穫祭」展示発表に、相模原市立相原小学校5年生の小室孝介さんによる「スーパーの⿂の廃棄物からペットボトルが作れるか〜⿂や⿃が⾷べても影響がでないペットボトルを作る〜」が出展されていました。その小室さんから報告があり、この研究が木原記念こども科学賞で優秀賞を受賞されたそうです。

賞状とともに

木原記念こども科学賞は、神奈川県内の小中学生を対象として、「生物の不思議や科学する楽しさを知ってもらうとともに命の大切さを学ぶ機会となること、さらに将来は“科学する目”をもつ市民・県民に育ってもらうことを願って」実施されています(同賞ホームページより)。
博物館には、自由研究の相談に来られる小学生が多くいますが、これまでにも同賞受賞の嬉しい連絡を何度もいただいています。小室さんもそのお一人で、小学校低学年の頃から学芸員が相談に乗ってきました。
じつは、受賞者にはいくつかの共通点があります。それは、①発想がユニークであること、②ご家族が、指示するのではなく、サポートに徹していること、③夏休みだけでなく、年間を通して取り組んでいることの3点です。
博物館では今後もこうした研究活動をサポートし、「学びの収穫祭」などの場で広く紹介していきたいと考えています。

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 学びの収穫祭の出展研究が受賞 はコメントを受け付けていません

冬のダム湖にて

12月20日、緑区のダム湖で水鳥の調査を行いました。この調査は毎年実施していますが、年によってカモ類などの冬鳥の数や種類が大きく変動するため、今年はどんな結果になるのか、楽しみな調査です。
ここ数年の傾向は、オシドリの数がとても多いことが特筆されます。

オシドリ メス(左)、オス(右)

今回も、合計で500羽を超えるオシドリをカウントできました。何度でも、何羽見ても見飽きない美しさですね。
美しいと言えば、やはりカワセミです。天候にも恵まれ、緑や青に変化する羽根の色合いを堪能しました。

カワセミ

こちらは冬鳥ではありませんが、カイツブリです。何か大きなものをくわえていると思ったら、ハゼの仲間のようです。

大きなハゼの仲間をくわえたカイツブリ

カイツブリの体に比べてずいぶんと大きく、飲み込めるのかなと思って見ていました。しかし結局、飲み込めずにいるうちに別のカイツブリが興味津々で近づいてきたりたため、魚をくわえたままヨシ原へ入ってしまいました。
水鳥ではありませんが、ジョウビタキも冬鳥の定番です。市内ではどこでも普通に見られる鳥なのに、ついカメラを向けてしまいます。

ジョウビタキ(オス

そしてこちらも、ついカメラを向けてしまう小鳥、エナガです。

枝にぶら下がるエナガ

10羽ほどの群が長い時間、低木の林を行ったり来たりして、いろいろな動作を見せてくれました。尾羽を除くと、ゴルフボールくらいの大きさしかありません。そんな鳥が枝から枝へと飛び回る様子はなんともかわいらしく、つい見とれてしまいました。
このところの冷え込みで防寒対策を万全にしていたのですが、歩くと汗ばむようなお天気でした。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , , | 冬のダム湖にて はコメントを受け付けていません

博物館収蔵資料紹介~明かりの道具

明かりは住まいにとってもっとも重要かつ基本的なものの一つです。博物館でもさまざまな明かりに係わる資料を保管しており、最初の写真は「行灯(あんどん)」です。真ん中や下の台にある燭台(しょくだい)に油を入れ、その炎で明かりを取りました。

本来は風の影響で炎が揺れたりしないように紙の覆いがありますが、この資料は古いこともあって覆いはなくなっています。寄贈いただいた方も実際に使ったことはないとのことです(寄贈地・緑区相原)。                   

 

電気が引かれる以前の主な照明は石油ランプでした。例えば、南区下溝の古山(こやま)地区に電気が引けたのは大正8年(1919)で、最初は各家に一灯くらいで、電気になってからもランプを使っていました。

次の写真は天井などから吊るす「吊りランプ」(緑区大島)です。ランプは一晩使うと、火屋(ほや)と呼ばれるガラスの内側が煤(すす)でくもってしまい、手が小さくて火屋の中に手が入る子どもが毎日掃除をしました。                   

 

ランプとともに大切だったのは蝋燭(ろうそく)です。次の写真の右側が部屋などに置いて使う「燭台(しょくだい)」(南区新戸)、左側が手に持って運べる「手燭(てしょく)」(南区下溝)です。ちょっと外に出たり、家の中を探したりするのは蝋燭を使いました。                   

 

次の写真は「がんどう」(南区当麻)で、二枚目は内部を写した写真です。一方向を照らすために桶状の容器の中の芯に蝋燭を立て、また、把手(とって)を持って回しても蝋燭は水平で倒れないようになっています。

古山地区ではかつてワサビを作っていて、春の収穫前に盗難などの見張りとして小屋に泊まりましたがその際などに使いました。                

 

電気以前には、明かりの元となる火種(ひだね)をどうするかといったことも重要でした。最後の写真は、囲炉裏(いろり)などから火種を移す時に使われた「つけ木」(南区下溝)で、薄く削った木の片方に硫黄(いおう)が塗られています。

つけ木はマッチが普及するまで使われたものでしたが、この資料を所有されていた方も、第二次世界大戦前後の物資が乏しい時にマッチ代わりに使用したとのことです。                   

カテゴリー: 考古・歴史・民俗 | タグ: | 博物館収蔵資料紹介~明かりの道具 はコメントを受け付けていません

生きものミニサロン「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう!」を実施しました

12月17日、生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう!」です。毎年12月の恒例でもあります。駐車場の一画で、まずは土台となるクズのつるや、植物素材などについての説明です。

色とりどりの植物素材(前日に撮影)

デコレーション用の植物素材は、博物館を拠点に活動する専門ボランティアの相模原植物調査会のみなさんが集めてくれました。そして、クズのつるは、相模川の河川敷で前日に採取してきたものです。ボランティアスタッフと学芸員が、リースに使えるものを選んで集めました。

クズのつるは、地面を這っている柔らかいものでないと使えません

こうして準備された素材を使い、早速リースづくり開始です。

材料を吟味して選びます

ご家族でああでもない、こうでもないと意見を出しながら作っています。

立体的!

意見を出し合って作っています

思い思いにデコレーションして、かわいいリースの完成です。

ナチュラルな美しさ!

こちらはとってもゴージャス!

ゴージャス!

ボランティアスタッフが作った変わりダネ、雪ダルマ形!

雪だるま形リース!

みなさん大切そうに持ち帰っていきました。今年のクリスマスは、手作りリースとともに過ごしていただけそうです。
来月の生きものミニサロンは、1月28日(土)12時からとなります。お楽しみに!

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | 生きものミニサロン「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう!」を実施しました はコメントを受け付けていません

今年もスタート!十二支ミニ展示

年末年始の恒例となっている、十二支ミニ展示がスタートしました。
令和5年の干支「癸卯(みずのとう)」にちなみ、「卯(うさぎ)」にまつわる博物館資料を紹介しています。

十二支ミニ展示「卯」

まずは、ノウサギのはく製です。市内でも広く生息する野生動物ですが、タヌキのように街中に生息していないこともあり、実際に目にする機会は少ない動物です。

ノウサギのはく製 撮影できます!

このはく製はふだん、自然・歴史展示室に展示されているものです。
そして、ちょっと珍しいのがこちら、オーケン石です。

ふしぎな質感のオーケン石(ラビットテール)

別名、ラビットテールと呼ばれ、その形がウサギの尾を思わせるからです。れっきとした鉱物なのですが、写真で見ると石には見えませんね。
さらに天文分野では「うさぎ座」の解説パネル、民俗分野からは「武相卯歳四十八ケ所観音霊場御朱印帳(ぶそううどし しじゅうはっかしょかんのんれいじょう ごしゅいんちょう)」と、毎年実施している「繭うさぎづくりワークショップ」の「繭うさぎ」も登場しています。
新年のメールや年賀状の図案にも使えるかもしれない十二支ミニ展示、1月9日までとなりますので、ぜひご覧ください。

※相模原市立博物館は12月28日~1月3日まで年末年始休館となります。

カテゴリー: 今日の博物館 | タグ: , , , , | 今年もスタート!十二支ミニ展示 はコメントを受け付けていません

さがまち学生Clubが来館されました

12月11日、さがまち学生Clubの学生さん4名が来館されました。さがまち学生Clubとは、相模原・町田大学地域コンソーシアム(さがまちコンソーシアム)の人材育成事業の一つです。今回は「生物多様性を守るために若者(高校生、大学生)が身近に取り組んでもらえるアクション」を考えるプロジェクトということで、生物多様性について学びに来館したのです。

室内で講義

館内でまず、相模原市水みどり環境課の職員から生物多様性についての基礎的な講義を受けました。続いて、生物担当の学芸員から、身近な生物や環境から生物多様性の課題を考える講義を受けました。ただ、この日はとてもお天気が良くて、フィールドワーク日和でした。室内にいるだけではもったいないので、駐車場へ出ることにしました。11月生きものミニサロンでも実施した、落ち葉の色相環などで身近な自然の中の生物多様性を実感してもらいます。

みんなで力を合わせて・・

落ち葉の色と形の多様性を実感

その後、博物館が生物多様性の基礎資料をどのように扱っているのか理解してもらうために、動植物資料収蔵庫を案内しました。これから学生さんたちがどのような切り口で生物多様性の保全についてアクションを起こしてくれるのか、とても楽しみです。

 

 

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | さがまち学生Clubが来館されました はコメントを受け付けていません

【博物館収蔵資料紹介~学習資料展の展示資料】

博物館の特別展示室では、学習資料展「昔の小学生―昭和30~40年代の子どもの世界を開催しています(会期・令和5年1月15日まで)。毎年恒例の学習資料展は、市民学芸員の皆様とともに協働で実施しており、今回は、昭和30~40年代をイメージしながら、子どもたちの「学び」「遊び」「家庭生活」をテーマとしています。

最初の写真は、当時の教室の様子を再現したジオラマです。机や椅子(いす)を見ると、思わず懐かしいとか、こんな感じだったなと思い出される方も多いのではないでしょうか。                   

 

次の写真は、いろいろな教材です。手前にメートや筆箱、下敷きなど、奥側には右側に習字セット、左に木琴(もっきん)などがあります。                 

 

今も昔も子どもたちの遊びにはさまざまなものがありますが、次の写真はメンコやけん玉、壁には竹馬やフラフープが見えています。そして、二枚目の写真には、子どもたちが夢中になって遊んだ野球盤や人生ゲームといったボードゲームをはじめ、トランプやおはじき等を紹介しています。                  

 

実は、学習資料展で展示した数々の資料はすべて博物館の保管で、こうした学校や教育、遊びや娯楽に関する資料も積極的に収集しています。そして、学習資料展は博物館の収蔵品を活用することも一つの目的としています。

会場では、このほかにもさまざまな資料を展示しています。現代の子どのたちにとっては学習の資料となり、大人たちにはちょっと懐かしい資料をぜひ実際にご覧いただければと存じます。

〇会場では同時開催として「ようこそ!竹細工ワールドへ!!~久保沢最後の籠屋さん~」も開催しています。併せてご観覧ください。

〇学習資料展では関連事業も開催しています。関連事業や休館日の情報など、博物館のホームページ等でご確認ください。

カテゴリー: 考古・歴史・民俗 | タグ: | 【博物館収蔵資料紹介~学習資料展の展示資料】 はコメントを受け付けていません

猛禽類もつらいヨ

12月10日、今月の生きものミニサロンで使用する材料採集の下見に市内の何カ所かのフィールドを巡りました。今月は、毎年恒例になっている。「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう」(12月17日実施)です。リースの台になるクズのつるの状態や、果実の実り具合などを確認するのが目的でした。
さてそんな中、南区下溝でチョウゲンボウの若い個体を見つけました。堤防の法面(のりめん)上空を低く飛んでいます。

低く飛ぶ若いチョウゲンボウ

そのうち地面に下りて、刈り込まれた草地をゴソゴソしています。

地面でなにやらゴソゴソ

そして飛び立ち、近くの杭に止まりました。どうやら、コオロギの仲間を食べているようです。

小さな昆虫を大切そうに食べています

チョウゲンボウはハヤブサの仲間で、小鳥やネズミ、昆虫などを主に食べます。近くにはハクセキレイなど小鳥がたくさんいるのに、どうやらこの若いチョウゲンボウはそうした鳥のハンティングはまだ苦手なようです。昆虫に栄養が無いわけではないのですが、ドタバタと動き回っているわりに獲物は小さく、効率的とは言えません。寒くて動きが鈍くなった昆虫で糊口(ここう)をしのいでいる、というのが実情でしょう。
そして、上空ではこんなバトルが。ハイタカが、ハシブトガラスの攻撃を受けていました。カラスの仲間は、自分たちの存在を脅かす可能性のある猛禽類に対して、徹底的にスクランブルをかけて攻撃します。

ハシブトガラス(上)とハイタカ(下)

大きさが二回りほど大きなハシブトガラスから執拗(しつよう)に攻撃され、ちょっとハイタカがかわいそうになりました。

執拗に攻撃を受けています

肉眼で見えないくらい高い空へ上がったところで、ハシブトガラスはやっと諦めたようです。
勇猛果敢(ゆうもうかかん)なイメージの強い猛禽類ですが、生きていくのは大変だということを実感する光景でした。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | 猛禽類もつらいヨ はコメントを受け付けていません