博物館収蔵資料紹介~蠅取りの道具

私たちの回りにはさまざまな虫が見られますが、その中でも蠅(はえ)は伝染病を運び、また、家畜や農作物に害を与えるものとして嫌がられたものの一つです。

昔は多くの蠅が食べ物や赤ん坊の顔などにたかって、手で払いのけるようだったとの話もよく聞かれるところで、蠅を取る道具も各家にありました。

最初の写真はガラス製の「蠅取り器」です。ちょうどタマネギのような形で、底は中央が内側に丸く湾曲して立ち上がっています。容器の下に食べ物を置いておくと、下側の隙間から蠅が入りますが外に出ることができず、湾曲した部分に入れた水に落ちてしまいます。

南区下溝の方からの寄贈で、第二次世界大戦後に、粘着性のある薬品を塗った蠅取り紙が出まわるまではよく使っていたそうです。                

 

また、天井に止まっている蠅を捕らえる、ラッパ状の口に細長い管を付けて下の丸い溜まりに水を入れて使う「蠅取り器」もありました(収集地・南区磯部)。

      

 

こうした道具のほかに、蠅を叩いて打つ「蠅たたき」もあります。写真は叩く部分が樹脂製で、広く販売されていました。南区の相武台団地にお住まいだった方からの寄贈で、農家だけでなく、コンクリートでできた住宅でも必需品でした。                    

 

最後の写真は「蠅帳(はえちょう・はいちょう)」です。食卓に置かれた食べ物を蠅から防ぎ、また、風通しをよくして食べ物が腐らないように被せるもので、四本の骨があり、傘(かさ)のように開閉することができました。こちらは南区上鶴間団地で昭和33年(1958)に結婚した当時に購入されたとのことで、団地に入居した当時は蠅が多かったそうです。                    

 

現代は衛生状態も改善され、家庭の中で多くの蠅を見ることは少なくなりましたが、今回紹介した道具からは、蠅などの害虫を防ぐための工夫をしてきた生活の様子を知ることができます。

カテゴリー: 未分類, 考古・歴史・民俗 | タグ: | 博物館収蔵資料紹介~蠅取りの道具 はコメントを受け付けていません

【8/24配布終了しました】BUNCARD(ブンカード)を配布中です!!

当館で配布中のBUNCARDについて、8月24日に配布終了となりました。
多くの方の思い出のカードとなるよう祈念しております。また、おびのっちのモデルとなった土器についても、またご覧いただければ幸いです。

以下、BUNCARDの紹介です。

現在、博物館ではBUNCARD(ブンカード)を配布しています。

みなさん、BUNCARDをご存じですか?

これは遺跡の発掘調査や、土器・石器の収納などでよく使用されるテン箱を製造・販売している第一合成株式会社様の企画で、各地の博物館などの一押しの資料をカード化し、他の施設と地域の枠を超えた文化財の交流を目的としたものです。

BUNCARD一覧

BUNCARDの概要

相模原市立博物館では、大日野原遺跡(おびのっぱらいせき)の土偶付深鉢形土器をカード化しました!
当館のキャラクター「おびのっち」のモデルとなった土器でもあります。

市指定文化財 当館寄託資料(個人蔵)です。

常設展示でもアピール中!

配布場所は1階受付で、アンケートにご回答いただくと贈呈します。先着順で9月11日(日)まで行っていますので、この機会に是非!

配布場所はこちら。

BUNCARDをきっかけに相模原の歴史や遺跡について注目していただければと思います。

カテゴリー: おしらせ, 未分類, 考古・歴史・民俗 | 【8/24配布終了しました】BUNCARD(ブンカード)を配布中です!! はコメントを受け付けていません

考古担当学芸員、相原遺跡群を語る。

7月2日(土)に相原公民館で考古分野の講義を行いました。これは「相原の歴史をさぐる会」の講師として招かれたものです。

会場の様子

今回のテーマは「相原地区周辺の旧石器・縄文時代」。相原の歴史をさぐる会の方から古い相原の歴史を知りたいとのことでした。参加者は40名で、皆さんに熱心に聴いていただきました。

相原地区の旧石器時代は遺跡があまり発見されていないことから、相原地区の東に位置する橋本遺跡の旧石器時代を説明しました。
縄文時代では中期が多く、相原地区のどのあたりに縄文人が住んでいたのか、どのような土器が出土しているのか、などを写真を中心に紹介しました。

遺跡が残る土層を説明中

黒曜石の産地について説明中

最後に、相原地区に貴重な遺跡が残っていること、そしてその遺跡からしかわからないことがあることを伝えました。
講義後は複数の方から質問をいただき、相原地区の遺跡について関心が高いことがわかりました。

今年度は講師の依頼をいただくことが少しずつ増えています。
考古学の視点から各地域の特徴をより分かりやすく紹介できるよう頑張っていきます。

カテゴリー: 考古・歴史・民俗 | 考古担当学芸員、相原遺跡群を語る。 はコメントを受け付けていません

生きものミニサロン 傘をさして自然観察!を実施しました

7月16日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。あいにく、外は土砂降りの雨です。でも、そんな中でも生きものたちは野外で生活していますし、雨の日は雨の日なりの自然を見ることができます。そこで、博物館正面入り口のアプローチの、屋根のある場所を中心に生きもの観察を行いました。

博物館入口のアプローチ

観察は、「生きものビンゴ」にチャレンジしながら進めます。自分でランダムに1~16の番号をマス目に書き入れてから、16個のお題にチャレンジします。

生きものビンゴ

例えば「ザラザラしている葉っぱ」というお題は、アプローチの脇にこんな植物があるのをご案内しました(雨脚が強かったので、なるべくヒントを出しました)。

ケヤキの葉

ケヤキの幼樹です。幼樹のころの葉は、とてもザラついています。実際に触ってくれた参加者から「ザラッザラ!」と声が上がりました。見つかった番号に〇をつけます。

見つけた番号に〇をつけて

さらに、「真っ白い虫」というお題では、コナラの枝にこんな虫を見つけてくれました。

アオバハゴロモの幼虫

アオバハゴロモの幼虫です。真っ白い虫ってあまり見ないのですが、この虫はカンペキな真っ白ですね。
そのほかにも「着ている服と同じ色の花」や「まきヒゲでからみつく、つる植物」など、しっかり探さないと見つからないお題にもチャレンジしてもらいました。
すこーし雨脚が弱くなったのを見計らい、屋根の無い場所にちょっと出て、ちょうど咲いていたヤマユリのにおいをかいでもらいました。

暈をさして自然観察!

花が終わりかけているのと、大雨でちょっとにおいは淡かったのですが、「甘いにおい」といってくれた参加者がいました。こちらは、「好きなにおいの葉っぱか花」「きらいなにおいの葉っぱか花」のどちらかに〇をつけてもらいました。
最後はチャレンジナンバー17番で「雨の音を文字でかいてみてください」というお題です。「ザーザー」や、「バラバラ」など、今日の雨音らしい表現をしてくれました。このナンバーは好きなマスに入れてよいことになっています。全員が2つ以上のビンゴを達成して終了しました。
次回は8月27日(土)12時から実施の予定です。

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 生きものミニサロン 傘をさして自然観察!を実施しました はコメントを受け付けていません

カイコの産卵

7月13日に羽化したカイコの成虫2匹は、オスとメスでした。せっかくなので半日ほど交尾させました。

交尾するカイコのオス(左)とメス(右)

その後、オスとメスを離してメスを紙の上に置いて産卵させました。オスとメスを離すときはちょっとコツがいります。オスの交尾器がかぎ状になっていてメスをがっちりとつなぎとめているため、そのまま引っ張るとメスが怪我をしてしまいます。そのため、オスとメスの腹部をつまんで、少しねじるようにしながら引くと、スムーズに離れます。
そうしてメスを産卵させる紙の上へ乗せます。すると・・

産卵するカイコ

丁寧に1卵ずつ、重なり合わないように産みつけていきます。

産卵するカイコ

1晩かけて産んだ卵は約600粒。

7月15日朝、産み終わりました

この卵や、オス、産卵後のメスは7月15日から来週前半くらいまで展示します。カイコの成虫は食べるための口が無いため、産み終えたカイコは、このまま衰弱して1週間ほどで死んでしまいます。ふ化してから6週間ほどの間に劇的な成長と命の営みを見せてくれたカイコの姿を、ご来館の際にはぜひご覧ください。

カテゴリー: オカイコサマ, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | カイコの産卵 はコメントを受け付けていません

「アイドルマスター SideM」×相模原市、本日スタート!

人気ゲーム「アイドルマスター SideM」に登場するアイドルと、「宇宙を感じられるまち」としての相模原市とのコラボ、「アイドルマスター SideM」×相模原市、本日スタートです!

「アイドルマスター SideM」に登場する315プロダクションの「Jupiter」と「DRAMATIC STARS」のユニット名が宇宙にちなんでいることから、宇宙を感じられるまち相模原をPRします。
コラボを記念して、相模原市立博物館と淵野辺駅周辺の参加店舗を利用していただいた方に特製クリアカードをプレゼント。また、各所にアイドルのパネルが登場します。
当館ではこちら、火星探査機「のぞみ」地上実験機モデルの横に、特別衣装のスペシャルパネルが設置されました!8月31日まで設置の予定です。

そして、なんといってもこちらのクリアカード!

プラネタリウム(おためしタイムを除く)を観覧いただいた方に1枚ずつ差し上げます。
初日の本日7月15日は「HAYABUSA2REBORN~帰還バージョン」を13時から追加上映することになりました。クリアカードの数に限りがありますので、ご希望の方はお早めにお越しください。配布状況などは当館公式Twitterでも随時お知らせしますので、そちらもぜひご覧ください。

カテゴリー: おしらせ | タグ: , | 「アイドルマスター SideM」×相模原市、本日スタート! はコメントを受け付けていません

カイコが羽化しました!

6月1日から育てているカイコは2週間前に繭をつくりました。その中から3粒だけ繭を乾燥させずに展示していたところ、7月13日夜、2匹が羽化しました。

7月13日に羽化したカイコ

成虫のカイコは翅(はね)はありますが、飛べません。指にのせるとしっかりつかまって動かないので、手乗りカイコになります。とてもかわいいですね。
いつもカイコを観察に来てくれる、ご近所の大野村いつきの保育園へお知らせしたところ、早速見に来てくれました。

早速駆けつけてくれた、大野村いつきの保育園のみなさん

とても熱心に観察していたので、手乗りカイコを体験してもらいました。

手乗りカイコ!

さらに、ちょうどオスとメスが羽化したので、交尾の瞬間を見てもらいました。フェロモンに誘われてオスが近づき、メスとオスがピタッとくっついた瞬間は、歓声が上がりました。

交尾の瞬間

最後に、記念撮影!

記念撮影

園児のみなさんは、生命の不思議を観察してどのように受け止めたでしょうか。感想をお聞きするのが楽しみです!

カテゴリー: オカイコサマ, 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | カイコが羽化しました! はコメントを受け付けていません

市民学芸員かわら版「リニューアル相模原」を掲示中!

1階の自販機のあるコーナーでは現在、市民学芸員によるかわら版「リニューアル相模原 ~変ぼうするあの場所~」を掲示中です。

今回は、橋本駅、相模原駅、相模大野駅周辺の過去・現在・未来の姿を写真などで紹介しています。大きく姿が変わっていく街の様子に、改めて驚かされます。

小さなコーナーですが、充実した内容となっています。

博物館へお越しの際は、ぜひこちらもご覧ください!

カテゴリー: おしらせ, 今日の博物館 | タグ: , | 市民学芸員かわら版「リニューアル相模原」を掲示中! はコメントを受け付けていません

ヤマユリが見ごろです

今年も博物館の前庭のヤマユリが見ごろになりました。

博物館前庭に咲くヤマユリ

一輪だけでも大きな花なのに、7月12日現在、4輪咲いています。まだつぼみも2つあるので、数日中に6輪の花が見られることになりそうです。

4輪の花と2つのつぼみがつきました

花がちょっと重そうなので、茎の途中で支えを当てています。
市内でも川沿いの斜面地や、林道、登山道脇の法面などに自生しています。斜面なら、下へ向かって垂れるように咲くので問題ありませんが、博物館に植えられたものは平らな場所なので、そのまま支えを当てないでいると、花が地面に着いてしまいます。
見ごろは今週いっぱいくらいなので、博物館へ来られたら前庭(国旗や市旗を掲げるポールの裏あたり)をぜひご覧ください。

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: | ヤマユリが見ごろです はコメントを受け付けていません

フクロウの食べ物を調べる

7月10日午後、博物館に相模原市自然環境観察員制度の有志のみなさんや、光明学園相模原高校理科研究部のみなさんなどが集まりました。目的は、この鳥、フクロウの食べ物を調べるためです。

フクロウの巣立ちビナ

上の写真は巣立ったばかりの幼鳥です。親鳥が巣の中へ運び込んだ餌は、ヒナが食べると、骨などの不消化物はお団子のようにして口から吐き出されます。そうした「残り物」を調べることによって、フクロウが子育てにどのような餌を利用しているのかがわかります。
この巣内の残り物は、公益財団法人日本鳥類保護連盟が全国各地に設置したフクロウ用の巣箱から回収されたもので、その拾い出しや分析を、有志のみなさんとこれから勉強しながら進めていこうとしています。今回はその最初の勉強会です。まず、高槻成紀さん(麻布大学いのちの博物館)から、フクロウの体の構造や餌の分析からわかることについて講義を受けました。

両目で立体視していることを確認しています

続いて、実際に試料を机に出して骨を拾い出します。

みんなで協力して試料を仕分けします

高槻さんによるすばらしい線画の資料が配られているので、骨一つでも「何の、どこの」骨かが意外とわかるものです。

高槻さんによる線画の資料

仕分けされた試料をラベルとともに小袋に入れていきます。

だんだんと目が慣れてきて、作業が進みます

巣箱の設置された環境によって、餌の種類や比率が違うことが予測されます。どのような結果になるか、楽しみですね。
終了後には、参加していた大学生が、高校生たちから進路相談の質問攻めに。

即席の進路相談

こんな光景も久しぶりです。リモートでできることもたくさん「発見」できたこの2年ですが、やはり、実際に顔を合わせてこそできることがあると、再確認しました。

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | フクロウの食べ物を調べる はコメントを受け付けていません